Freddie没年からもうすぐ10年。永遠に続くQUEENへのオマージュ
Freddie没年から、もうすぐ10年。 それでも永遠に続く、QUEENへのオマージュ! バンドも観客も、QUEEN楽曲に出会えたことへの 幸せをかみしめたトリビュート・ライヴだった。 |
いやはや、こんなに感動してしまうなんて……。ホント、不覚だった。 QUEENのコピーバンドは数あることは知っていた。Freddie MercuryがAIDSで亡くなった'91年を境に、シーンが活発になりメディアにも多く取り上げられていたからだ。 ただ、そこで私が飛びつかなかった理由は、2つ。ひとつは、コピーバンドで"エセQUEEN"を聴いて楽しいはずはないという思い込みと、もうひとつは、本家QUEENをそれほど知らなかった…という単純な理由だった。そして、後者の理由をクリアし、マイ・フェイバリットにガッシリ組みこまれたときには、…ああ、Freddieはとっくに亡くなっていたのだ。そして、それはFreddieの声を再現するスベなどありえないのだと再確認したときでもあった。 なんて思いながら、数年過ごしてしまった私。ひょんな機会でQUEENのコピーバンドKWEENのライヴへ行くことになった。KWEENの10年以上の活動実績やBrian Mayも認めた音楽性、そして私の妙なこだわりの抜け落ち、大人になった(?)という理由で、今回は即、飛びついた。(あと、毒舌まんが家・西原理恵子が絶賛していたのが気になったのもある)。 会場は、30代半ばを中心に平均年齢高めの観客で埋まっている。そして男性が多い。これが平日だったら、きっとスーツ姿人口が高いのだろう(この日は土曜だった)。気負ってなくナチュラルな大人が多いようで、お酒を片手にリラックスムードが漂っている。これからライヴ…というよりは、酒場で盛り上がっているという感じだ。 会場が暗転して、いよいよステージ開始となると、うっすらと緊張感は走る。が、仲間を歓迎するような暖かい視線と高揚感に溢れ、楽しもうよ!という雰囲気になっているのが分かる。みな、一様に笑顔だからだ。 スモークが立ち込めるなか、Brian May役で、長いスパイラル・パーマのカツラをかぶったギタリスト脇淵健二、John Deacon役のベーシスト降旗俊彰、Roger Tayler役のドラマー紀平延久、そして、5番目のQUEENのメンバーと言われるキーボーディストSpike Edney役の栗林裕がステージに登場。そして、めいっぱいスモークがたかれたステージにFreddie Mercuryこと江藤洋平が現れた。しかも、体の線がはっきりと出る白の上下のスパッツ!(写真参照)。 なんと、1曲目は、「Stone Cold Crazy」。Metallicaもコピーした曲で、スピードとスリルと緊張感が、音楽というエンタテインメントで感じられる幸せ…! 続いて「Tie Your Mother Down」「Keep Yourself Alive」「Under Pressure」「Somebody To Love」「Play The Game」など、QUEENの名曲をズラリ。速弾ギターソロを聴かせてくれたあとは、アコースティックで「Love Of My Life」を披露。ギターとヴォーカル2人だけのステージだ。そのあと、メンバー紹介をして、「I Want To Break Free」「I Was Born To Love You」「Save Me」などを聴かせた後、化粧品のCM曲でも有名な「Don't Stop Me Now」。この曲で、私の隣りでステージを観ていた女の子が感動したあまりか、泣き出していた! そしてElvis Presleyばりのロカビリー「Crazy Little Thing Called Love」で軽快さを出した後は、「I Want It All」「The Show Must Go On」でヘヴィな楽曲を披露。そして、そしてQUEENの大代表曲「Bohemian Rhapsody」で本編は終わった。 QUEENのステージを生で観たことはないが、フレディ江藤はフェイクも使ってはいたものの、聴かせるに充分なFreddieばりの歌声を駆使し、MCも流暢な英語を操っていた。バックの演奏も、タイトながらダイナミズムを展開。10年近いバンド活動の音が、こなれながらも馴れ合っていないようで、QUEENの高尚なメロディ、サウンドなど安心して気持ちよく聴いていられる。そして、KWEENのメンバーがQUEENを愛しているのはもちろん、観客もKWEENと同じ立場でQUEENを愛していて、そしてKWEENのメンバーであるかのようにライヴ自体を楽しみたいという参加のあり方が、会場全体をハッピーにさせているようだった。 アンコールでは「Fat Bottomed Girls」「Another One Bites The Dust」を、2回目のアンコールでは「We Will Rock You」「We Are The Champion」。そして「God Saves The Queen」をBGMに5人がステージ前方で挨拶。 これで通常のKWEENライヴなら終了ということだが、この日はステージに留まったメンバー5人。なんと2001年の秋をメドに活動休止の発表を行なった。KWEENを副業・趣味として活動しながらも、人生における他の生活活動の占める割合を考えての活動停止ということだ。やっと長いわだかまりからフリーになってKWEENと出会った私だったのに…! 観客それぞれの残念な思いを残して、この日は特別にもう1曲、「No One But You」を演奏してステージは終了した。 このライヴを観た後、むしょうにQUEENのトリビュート・ライヴのビデオが観たくなって、そのビデオで夜を明かした。QUEEN本人たちのライヴではなく。 文●星野まり子 |