男性たちに尊敬してもらわないとだめなの
赤ん坊の父親と友人たちが街角でぶらぶらしているときに、赤ん坊の母親と子供がそのシーンに現れる。その子供に関する衝突が、争いにエスカレートしていく。父親は母親を殴り始める。しかし、笑う者はだれもいない。 自分の女に暴力を奮うことについて書かれているこの曲は、たまたま女性のアルバムに収録されているため、そのシナリオは一般的なヒップホップ・アルバムにあるようなユーモアを呼び起こさない。スキットはフェイドアウトし、「Love Is Blind」が続く。このストーリーは、Eveが、家庭内暴力を受けた女友達の裁判をもとにしたもので、'93年に大ヒットしたQueen Latifahの「U.N.I.T.Y.」に楽々と肩を並べた。 Eveは、DMXのRuff RydersのクルーとしてMCをしていた20歳の女性で、この数年間で、彼らの中では一番能力があることを証明してきた。昨年彼女は、The Rootsの「You Got Me」、Blackstreetの「Girlfriend/ Boyfriend」、そして彼女のパートナーDMX、Lox、Drag-onが参加したRuff Rydersの「Ryde Or Die」に参加し、全国的な名声を得た。 現実的な歌詞のアプローチは、女性のヒップホップ開拓者であるRoxanne Shante、Queen Latifah、M.C. Lyte、Lauryn Hillの影響を受けたから、とEveは語る。 Eveは彼女たちの伝統を続けていきたいと考え、自分自身の性を利用することを拒んでいる。 「うわべに頼って、“私をいくらで買ってくれるの”っていうような女の子が多い」とEveは語る。 最近の女性MCによる社会的責任感の乏しいラップが、若い女性リスナーに影響を及ぼしたというのだ。 「私はそうじゃないの」 実際、シングル「What Y'all Want」が、Interscope/Ruff Rydersのアルバム『Let There Be...』のさきがけとなったわけだが、「What y'all n-ggas want/ Ya can't touch」のラップで、Eveは自分が誰の女でもないことを男たちに宣告している。そして、次のシングル「Gotta Man」では、自分の男への献身を告げている。 「彼女は自分がしたいことをしたい時にするの」 ソロ活動がとてつもなく成功し、ファンの支持を獲得し続けたこのFugeesのリーダーのことを、Eveは次のように語る。 「彼女は力を発揮できる人なの。そんなふうになりたいわ」 「男性優位なこの仕事では、男たちに尊敬してもらわないとだめなのよ」 by Billy Johnson Jr |