DMBQのペースに見事巻きこまれた渋谷クアトロ空間!

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2000年4月1日(土) 渋谷クラブクアトロ

 19:05、オープニング・アクトとしてモーサム・トーンベンダーのライヴが始まる。福岡出身の3ピースバンドだ。TシャツにGパンというフラットなスタイルで、「DMBQのステージを暖めさせてもらいます」という謙虚な言葉を挟みつつ、陰でへヴィーなサウンドを奏でる。7曲披露した中、終盤ではキャッチーな曲も披露。月1で上京ライヴを行なっているという成果か、骨のあるバンド・サウンドを聴かせてくれた。19:38終了。

 20:02、会場暗転。ムソルグスキーのクラシック曲「はげ山の一夜」が爆音で流れる。いやがおうにも盛り上がる会場、観客の血圧は上がる。今日のメインイベント、DMBQのリング入場……、いやステージ入場テーマ曲だ。
 1曲目は、ドラムが激しく鳴り、ギターの一発ストロークで始まる"Equipment"。ヴォーカル増子真二の悲鳴にも似たシャウトが入れば、DMBQのライヴを初めて体験する筆者は、それだけで「く~、カッコいい~!!」と思っちゃったりする。そして同時に「でもこれ、笑っていいの……かな? メンバーのオーバーアクションが気になるんだけど」なんて思ったりもした。そして、よくよく見ると、4人ともバラバラ。
 松居徹(G)は、ジミヘンばりの民族風の袖・裾に刺繍入りの広口衣装、そしてやっぱりジミヘンばりのド派手アクション(歯弾き、持ち上げ背中弾き、)。
 渡辺龍一(B)は、フリンジのついた真っ赤なシャツに革テンガロン・革パンで、テンガロンを深くかぶり直すアクションはクールなんだけどチョイ恥ずかしい系の動き。
 ドラムで紅一点の吉村由加ちゃんは、ちょうちん袖のかわいい服(アンコールでは一転セクシー系)に、ステージ中パワフルに叩きまくる。
 増子真二(Vo&G)は、神田川沿いに下宿する浪人生?ってな容貌で、歌う叫ぶ叫ぶ歌う。
 なんなんだ? このバンドは。
 ちゃんとメロディを外さずに叫びで聴かせるヴォーカル。ソロ部分では、キメのアクションを混じえて奏でるツイン・ギターのハーモニクス。'60、'70年代を匂わせながらの轟音プレイ。そんな怒涛の演奏と迫力でグイグイとステージを進めていくDMBQ。すばらしくも見事にDMBQのペースに巻きこまれていく会場。
 これはまさに彼らが発している「ロック」に圧倒されているのだ。「ロック」なんて今や人の数ほど定義があるけれど、DMBQのそれはパワーであり、源であり、虚勢であり、本来の姿であり、ファニーなものであり、ゆえにカッコいいものなのだ。裸体はそれだけで恥ずかしいし、カッコ悪い。しかし、それをさらけ出しちゃった上で、ロックというカッコいい衣装をまとったのがDMBQということである。だいたいDMBQ=ダイナマイト・マスターズ・ブルース・クァルテットというネーミング自体がどうかしている。まったく他人の目を気にしない、完全に振り切れた「Rockの原子」のコアが彼らを動かすピュア・エンジンなのだ。
 最後には、増子氏自ら3回連続ダイヴを決めた後、演奏終了。その後は増子氏ドラム・セットを崩し、ステージ中央でめちゃめちゃに並べ替えてオブジェ化。その配置にメンバーが納得したところで、ポーズを決めて(笑)、ライヴは終了。客電がついてから、ドラムの由加ちゃんが交通事故からの復活挨拶。そして完全終了。22:32。2時間半にも及んだロック台風は観客を飲みこみ、混乱させ、興奮させ、そして楽しませて過ぎ去っていった。

 オープニングで流れた「はげ山の一夜」は、年に一度の聖ヨハネ祭の前日の真夜中、草木も生えていないはげ山で、悪魔たちがお祭り騒ぎをする様子を表現した作品だ。そして、この曲、実は未完成(今ある完成された曲は、リムスキー=コルサコフが改訂したもの)。つまりは、悪魔たちの饗宴は終わらないのだ。この日のDMBQのライヴは終わっても、彼等の虜になった人の饗宴はいつまでも続くだろう。一度味わったら……。
                                             ●星野まり子

《セットリスト》
※の曲はライブ映像をご覧頂けます
Equipment※
Turtledove※
non title
Girl Cream
Tell Me
Baby,I Love You So CeDell Davis
I Can Sing
Boom-run Rock※
Narrow-minded Blues
Rain Language
Everybody Got Something to Hide Except Me & My Monkey
Poulty's Vocal Organ
Shining Black
I Gotta Groove
Shoot Me

《encore》
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