【インタビュー】ポルノグラフィティ、最新曲「ヴィヴァーチェ」に香る芳醇なサウンドと26年目への一歩「目線は下げずに歩み続けたい」

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ポルノグラフィティが10月30日、最新曲「ヴィヴァーチェ」を配信リリースした。1999年9月8日にデビュー25周年を迎えたポルノグラフィティは、同日を含む9月の3日間、地元・広島・因島運動公園および神奈川・横浜スタジアムにて<因島・横浜ロマンスポルノ'24 ~解放区~>を開催。その記念すべき公演で初披露された楽曲が「ヴィヴァーチェ」だ。

◆ポルノグラフィティ 動画 / 画像

カナデビア株式会社(旧 日立造船株式会社)の企業ブランドCMイメージソングでもある「ヴィヴァーチェ」は、息苦しく感じる現在の世の中から目線をや立ち位置を変え、殻を破り、次のステージに進もうという、この先への強い意志が感じられるファイトソングでもある。

そのサウンドは多層的だ。モジュレーターサウンドに乗せたギターのカッティングリフが印象的な同曲は、シンフォニックなストリングスアレンジが楽曲に広がり加えてドラマティックこの上ない。中間部のギターソロはそのドラマを増幅させるフックとしての大きな役割を果たした至高の響き。それらの核を貫いているのが強く美しいメロディだ。

作曲を新藤晴一(G)が手がけ、そこに岡野昭仁(Vo)が歌詞を乗せた「ヴィヴァーチェ」が物語るポルノグラフィティの現在進行形について、二人にじっくりと訊いたインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■汗水流して向き合うことは美しい
■そのしんどさを和らげることができたら


──新曲「ヴィヴァーチェ」は、「カナデビア」の企業CMソングに起用されています。

新藤晴一:CM、めっちゃ流れてますよね。

岡野昭仁:うん。今、僕は海外にいるから観れないかと思いきや(取材は10月後半に実施)、TVerで日本の番組をいろいろ観てると、このCMがめっちゃ流れてくるんです。すごいですよね。CMに出られてる影山さんもすごく印象的だし。

──女優の影山優佳さんが出演されていますね。

岡野:全然話はズレますけど、彼女はサッカー好きで、ものすごく詳しいんですよ。それも僕としては嬉しいポイントで。僕の勝手なミーハー心ですけど、そういうサッカー好きの女優さんとタイアップできたのが嬉しいなっていう。変な喜びがあります(笑)。

新藤:別にあの子とタイアップはしてないけどね(笑)。

岡野:まあね(笑)。確かにそうなんだけど、そこもタイアップの中に含まれたひとつのさ、アレじゃん? ね?


──あははは。それもひとつの縁ですもんね。楽曲はタイアップのお話が来てから制作をスタートされたんですか?

岡野:曲は先にあったんですよ。で、タイアップのお話をいただいてから、歌詞をつけて形にしていった流れで。

新藤:うん。僕が康兵(宗本康兵 / 編曲者)と一緒に作った曲があったんです。自分のアトリエに来てくれた康兵が弾くピアノに合わせて、僕が鼻歌を歌って。そんなご機嫌なセッションで生まれた曲です(笑)。メロディが出てからはギターでコードを拾い、さらに康兵から出てくるいろんなアイデアを織り交ぜながら、1コーラス分だけ大まかなアレンジまで作った感じでしたね。

──今回の曲は出だしからギターのフレーズがすごく印象的ですけど、宗本さんとのやり取りの中で、すでにそのアイデアはあったんですか?

新藤:ありました。そんなに大げさなことではないけど、ポリリズムみたいなリズム隊とギターの関係みたいな部分は、最初の段階で出てましたね。「こんな感じで進んでいこう」っていう大枠は。康兵とやるときは毎回そうなんだけど、やり取りを重ねていく中でいろんなアイデアがどんどん膨らんでいくんですよ。それがすごくありがたい。

岡野:特にサビですけど、リズムアレンジのおもしろさはデモの段階で僕も感じましたね。そこに新しさを感じたところもあったし。

──作詞は昭仁さんですね。今回の歌詞は、晴一さんが歌詞を書かれた「解放区」のメッセージに通ずるものを感じました。視点は違えど、聴き手を鼓舞してくれる最高のファイトソングだなと。

岡野:うん、まさにその通りだと思います。光はなくとも、その中に確かな居場所はあるという「解放区」で書いてくれた新藤のメッセージがすごくたくさんのファンの方に届いた実感があったんですよ。なかなか希望が見えない時代だけど、周りの状況をよく見てみれば全然悪くないんじゃないの?っていうメッセージに救われたという声をたくさんいただくことができた。そこで今回、僕が書いたのは曇り空の中でも自分の立ち位置、目線を変えてみればいいこともいっぱいあるんじゃないの?ということで。メッセージ的に「解放区」からの流れであることは間違いないですね。

──「ヴィヴァーチェ」は、より個に対しての能動性、自分で動く意思を促してくれている感じですよね。それがひいては自分らしさになるという。

岡野:そうですね。「解放区」を通して、光が見えない状況は自分だけじゃないんだと気づいてくれた人が多かったと思うので、だったら僕は個にフォーカスを当てたメッセージを書いてみようと思ったんです。


──全編にわたって心を奮い立たせてくれる言葉が満載ですが、僕は特に大サビの“もっとお気楽に力抜いて行けよ”というラインが刺さったんですよね。昭仁さんはライヴの最後に毎回、「胸張って行け!」と僕らにハッパかけてくれるじゃないですか。それと同じような感覚で受け取ることができたというか。

岡野:ああ、なるほど(笑)。なんかね、これはほんまに僕も含めてですけど、気がついたらすっげー力が入ってることってあるじゃないですか。言ったら自分の歌に関してもそうですし。だから、もうちょっと力を抜いて、お気楽に行ってもいいんじゃないかなと思ったんですよね。そのフレーズの裏には、7月から因島でやった「島ごとぽるの展」でのことも影響していて。あの催しを実現するためにスタッフ陣が本当に頑張ってくれていたんですけど、ちょっと大変そうに見えたところがあったんですよね。だから、彼らを直接励ますというわけではないんだけど、「大丈夫、大丈夫。そんなに悩まんでええよ」っていうことを言いたかったというかね。そんな思いも込めたところはありました。

──頑張りすぎてしまうっていうのは、たぶん世の中のすべての人に当てはまることです
よね。
岡野:そうそう。「ヴィヴァーチェ」の最後の歌詞にも繋がるけど、何かに対して一生懸命、汗水流して向き合うことはすごく美しいんですよ。ただ、あまりに詰め込みすぎて、がんじがらめになってしまうとしんどいじゃないですか。そのしんどさをね、この曲を通してちょっとでも和らげることができたらいいなと。

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