【インタビュー】土岐麻子、約3年ぶりアルバム『Lonely Ghost』に21年目モード「テーマはミステリー」

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■“どこで作るか”ではなく
■“誰と作るか”が大事


──ほかの収録曲についてもいくつかお話を聞かせてください。3曲目「KAPPA」も、タイトルからして気になる1曲です。

土岐:この曲は、制作過程自体がミステリーでした(笑)。なかなか歌詞が書けずに寝落ちしてしまって。そうしたら夢の中で1番を天狗、2番は河童をモチーフにした歌詞が完成して、“すごくいい詞が書けた!”と思いながら目が覚めたんです。普段だったらこのおしゃれなサウンドに「KAPPA」と付けようとは思わないですが(笑)、これはもう神のお告げだろうと。

──土岐さん自身、河童に思い入れがあったわけではないんですね(笑)。

土岐:はい(笑)。考えていくうちに、河童や天狗はファンシーな存在である一方で、畏れ多いものでもあるなと思い、そのイメージが自分の中の憧れや夢と重なったんです。例えば、私は学生時代に歌ってみたいなと思っていたけど、それをなかなか口に出せなくて。現実を見て傷つくのが怖かった。でもそういう思いって、実行に移さないと結局、誰も見たことがない河童や天狗のように、実体のないものになってしまいますよね。皮肉のように、そんな“夢”を描いています。

──土岐さんならではの発想ですね。5曲目「Dong, Nan, Xi, Bei」はもともとデュエット曲にしたいと描いていたとか。

土岐:そうなんです。残念ながら叶わずだったんですが。この曲は歌詞を書くのに一番苦戦した曲で、不倫と麻雀がテーマになっています。“Dong, Nan, Xi, Bei”というフレーズが最初に浮かんで、“じゃあ麻雀にしよう”と。私自身はやったことがないけど、20代の頃から麻雀にはロマンがあると思っていて、ずっと歌詞で書いてみたかったんです。以前、麻雀で絶対に負けないという人に秘訣を聞いたら、「テクニックではなく、心理的な動きを読む」とおっしゃっていて。それこそミステリーだなと。そして、なぜ主人公の女性が麻雀しているのかを考えていたら、歌詞がなかなか書けないときになんとなく逃避で読んだWeb漫画が浮かんできたんです。不倫夫がギャフンと言わされて慰謝料を取られるような、スカッと系の作品というんですかね(笑)。そこからイメージを膨らませて完成しました。

──逆に、スムーズに書けた曲は?

土岐:「Lonely Ghost」もだし、1曲目の「窓辺」もかな。ストレートでフォーキーな曲は、スッと景色が浮かびます。近年、父や友人を亡くしたけど、その人たちにもらった言葉は自分の中でずっと生きていて、紙飛行機がスーッと飛んでくるように、困ったときに思い出したりする。「窓辺」では、会えないけど助けてもらっているという感覚を書きました。

──9曲目「August」はラテンビートが新鮮でした。

土岐:珍しいですよね。歌詞を書くのは楽しかったものの、どうやって歌おうか悩みました。ボサノバ調の抑えめのラテンの楽曲はやってきたけど、こういう情熱的なフレーズが出てくる曲はあまりなかったので、テンションの調整が難しかったです。ちなみに、私のツアーでバンマスをやってくれているギタリストの高木大丈夫君が初めてこの曲でレコーディングに参加していて、完璧な演奏をサラリと披露してくれています。


──そして、4曲目「Mint Cherry Cake」は華やかなホリデーソングです。これは12月というリリース時期に合わせて?

土岐:最初、クリスマスソングを作るつもりはなかったんですが、曲を聴いているうちに、六本木や表参道のイルミネーションが光る並木道の中を、何かを大事に抱えて走っていく人の絵が浮かんだんです。“あ、あのCMの牧瀬里穂だ!”と(笑)。そこからクリスマスっぽい歌詞になったので、トオミさんにベルの音を足してもらいました。

──土岐さんは2022年に事務所とレーベルから独立しました。フリーになってから初となる今回のアルバム制作では、どのような変化がありましたか?

土岐:以前一緒にアルバムを作ったこともあり、信頼を置いているエイベックスの教野さんが「作りたくなったらまた一緒にやりましょう」と声をかけてくださったんです。今の私は、“どこで作るか”ではなく“誰と作るか”が大事だと思っていて。新しい環境にはなりましたが、馴染み深いスタッフとミュージシャンに集まってもらったので、自分が集中しつつ、面白がりつつ作れる環境をキープできたと思います。

──DVD / Blu-rayには、2024年2月14日に日本福音ルーテル東京教会で開催した<⼟岐⿇⼦ Sentimental Journey -Valentine Edition->の様子が収録されます。どういった部分に注目してほしいですか?

土岐:とても厳かなシチュエーションで素敵でしたし、教会の天井が高くて、音の響きがすごく良かったんです。昼夜二公演で、だんだん日が暮れていく様子を天窓から感じられたり。あの会場ならではの音響や空間を楽しみながらライブができた日だったので、映像として記録に残せてうれしいです。ギターの高木君、バイオリンの西原史織さんと私という、<土岐麻子〜 Sentimental Journey 2023〜>と同じ3人編成で行ったのですが、二人ともすごく歌が上手なんですよ。全員でハモる曲もあったりして。3人でライブをするときのそんな特別感も、味わってもらえたら嬉しいですね。

取材・文◎岸野恵加

■オリジナルアルバム『Lonely Ghost』


2024年12月18日(水)発売
配信リンク:https://asab.lnk.to/LonelyGhost_str
購入・リンク:https://asab.lnk.to/tokiasako_LonelyGhost_AL

【CD+DVD】RZCB-87158/B ¥5,500(税抜)
【CD+Blu-ray】RZCB-87159/B ¥5,500(税抜)
【CD only】RZCB-87160 ¥3,000(税抜)
【カセットテープ(初回生産限定)】RZTB-87161 ¥3,800(税抜)
【12インチアナログ盤(初回生産限定)】RZJB-87162 ¥4,000(税抜)
※アナログ盤:2025年1月22日発売

▼CD収録内容 ※3形態共通
01. Queen of Mystery
02. Lonely Ghost
03. KAPPA
04. Mint Cherry Cake
05. Dong, Nan, Xi, Bei
06. FALLING
07. 夜凪
08. Tablecloth
09. August
10. 窓辺

▼カセットテープ / アナログ盤 収録内容
>Side A
01. Queen of Mystery
02. Lonely Ghost
03. KAPPA
04. Mint Cherry Cake
05. Dong, Nan, Xi, Bei
>Side B
01. FALLING
02. 夜凪
03. Tablecloth
04. August
05. 窓辺

▼DVD / Blu-ray ※2形態共通
<⼟岐⿇⼦ Sentimental Journey -Valentine Edition->
2024/2/14 @⽇本福⾳ルーテル東京教会
※2024年2月14日のバレンタインデーに教会で開催した一夜限りの特別なライブを映像化
・やわらかい気配
・HOME
・birthday song
・ドア
・サーファーガール
・きみだった
・Valentine
・Gift~あなたはマドンナ~
・眠れぬ羊

●購入者特典
・タワーレコード:2025年ポスターカレンダー(A3サイズ)
・Amazon:メガジャケ (3形態共通絵柄) ※サイズ:240×240mm
・その他店舗 / ECサイト特典:オリジナルポストカード
※一部取り扱いのない店舗・ECサイトもございます
・ツアー会場特典:直筆サイン入りB2告知ポスター(ランダム配布)

●「Lonely Ghost」発売記念インストアイベント
内容:ミニライブ&サイン会
場所:タワーレコード渋谷店
※詳細は土岐麻子オフィシャルサイトにて

■ツアー<Lonely Ghost TOUR / 20th〜21st ANNIVERSARY>

2月11日(火/祝) 愛知・名古屋クラブクアトロ
open17:15 / start18:00
2月14日(金) 大阪・梅田クラブクアトロ
open18:15 / start19:00
2月16日(日) 東京・日本橋三井ホール
open17:00 / start18:00
▼チケット
指定 8,200円
スタンディング 7,200円
※東京は全席指定
受付(イープラス): https://eplus.jp/tokiasako/
※お一人様1公演につき4枚まで申込み可
※愛知・大阪公演は未就学児入場不可
※東京公演のみ未就学児入場可能ですが、小学生以上及びお座席を必要とするお客様はチケットをご購入ください。

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