旅するように歌い続けるサンタラの、メジャーデビュー20周年11thアルバム『りとるきんぐだむ』

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メジャーデビュー20周年。2024年9月25日にリリースされたサンタラの11thアルバム『りとるきんぐだむ』。前作から8年の間に書き溜められた9曲が収録されている。尖らないのに尖った、無駄な装飾がないのに目立ってしまう、そんな印象だ。

粒だった曲たちは、鮮明な景色をもっている。言葉と音で語られる街の景色と雑踏や町ごとに違う静けさ。そこに生きる人がいて、出会う人々がいて、街には色がある。窓を開ければ、そこにある景色なのに、いつからかバーチャルに魅せられた私たちは、街の色を見る目や音を聴く耳を鈍らせているのではないだろうか、と気づかされる。そして、おそらく渇望しているだろう、均一ではないもの、人が発するからこその心地よいブレや息づかいを感じる。


「早朝の東京、歌舞伎町を歩き、インバウンド観光客とすれ違いながら思い浮かんだ物語」と語られている1曲目「夜明けのKingdom」。「秋田県能代市の日本海沿いにインスパイアされてできた一曲」と語られるラスト9曲目の「いつかの約束」。歌舞伎町から日本海へいつの間にか、旅をしていた。配信などで1曲ごとに聴く機会が増えたが、9曲を順番に聴くことで得られる感覚。旅をしたよう。以前も感じたことだが、彼らの曲は旅をさせてくれる曲だ。まったく裏切らない。


誰にも平等に来る時間を歌う「ハイヌーン」、格差の時代と言われても平等なものはある。アコースティックギターとボーカルで聴かせてくれる「缶コーヒーと坂道」は、「偽物の花を水に挿して」という歌詞が、生きるために何かを偽る人間らしさを感じる。5曲目には、生ギターが語るインストゥルメンタル。1曲ずつに物語がある。


9月15日からツアーが始まり、彼らは旅をしている。10月26日には、秋田県能代市へ行く。


情景から伝えられるメッセージは、もしかしたら理解力が必要かもしれない。並ぶ言葉以上に、深い意味があるだろうから。しかし、その意味を掬うようなメロディに、自然と自分なりの理解をし、気持ちが動く。

二人からのコメントをもらった。

   ◆   ◆   ◆

気が付いてみたら20年も経っていた、
というのが正直なところです。
楽曲を作り、育て、
吟味してサウンドを作り、また旅への繰り返し。

表現したいサウンドや、
やってみたいステージがある限りは形はどうあれ、
続けるのかなと思っています。

砂田和俊

サンタラみたいな音楽を求めてた!という人、まだいると思ってるんですよね。
私達は自分達が気に入る曲を作ってやり続けてるので、
ぜひ一度「りとるきんぐだむ」を聴いてください。
気に入ったらライブもぜひ遊びに来てほしいです。ライブはまた別物なので。

田村キョウコ

   ◆   ◆   ◆

<サンタラTOUR2024-2025「りとるきんぐだむ」>

2024年10月24日(木)福島県いわき市 Music Bar burrows
2024年10月26日(土)秋田県能代市 Studio M3
2024年10月27日(日)宮城県仙台市 Blues
2024年11月16日(土)東京都東新宿 Sact!
2024年12月6日(金)大阪市南堀江 Knave(イベント)
2024年12月7日(土)大阪府岸和田 BAR JANIS

< TOURりとるきんぐだむ"with friends" >

御供信弘(b) ローズ高野(Key)
2025年1月26日(日)渋谷 B.Y.G
2025年2月8日(土)京都 LIVE SPOT RAG
2025年2月9日(日)名古屋 OPEN HOUSE
and more

『りとるきんぐだむ』

GVR-1007 全9曲 ¥3,000+税
https://linkco.re/0D7AMZv8
1.夜明けのKingdom
2.ポートフォリオ
3.ハイヌーン( きんぐだむVer.)
4.缶コーヒーと坂道
5.Hold The Lantern
6.In The Morning
7.Vega
8.真夜中を追いこして
9.いつかの約束



[寄稿] 伊藤 緑:https://midoriito.jp/

◆サンタラ・オフィシャルサイト
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