【インタビュー】10周年躍進中のTHE PRIMALS、自身のポテンシャルを再確認「底抜けに楽しい」
◾︎やっぱりTHE PRIMALSは泥臭い感じが似合うと思っている
──そのライブがありつつ、音源もリリースされます。前述のBlu-rayと同日に、CD『THE PRIMALS - Riding Home』を発売されますが、本作はベスト盤的な側面もありつつ、新曲「Give it All 〜至天の座アルカディア:ライトヘビー級〜」が収録されています。この楽曲には、ゲストボーカルとしてAgainst The CurrentのChrissy Costanzaさんを招かれていますが、どういった経緯でオファーをされたんですか?
祖堅:こういう曲がほしいという話になったときに、“Against The CurrentのChrissyさんみたいな感じの声”って言われたので、そこまで具体的にイメージがあるんだったら、本人に連絡しようということになって。そしたらたまたま(Chrissyさんが)ゲーマーで、“ウソ! 超やりたい! ツアー中だけど!”って(笑)。ツアー中だから難しそうだなと思ったけど、スケジュールを調整してくれて歌ってくださいました。
──リファレンスとして挙がっていた本人に頼んだと。
GUNN:そういう人をポンと呼んでくるのがすごいですよね(笑)。もちろん彼女がゲーム好きだったというのはポイントとしてあると思うんですけど、普通ないよね?っていうことになってきているので。この曲をライブでやるときに、歌いに来てくれないかなぁって思っていますね。
──ぜひ観たいです。制作自体はどう進めていったんですか?
祖堅:いつもはゲームの曲を作ってからTHE PRIMALS用にアレンジして音源を作るんですけど、「Give it All 〜至天の座アルカディア:ライトヘビー級〜」に関しては、ゲームで鳴る曲をTHE PRIMALSでやることを初期段階から決めていたんですよ。ゲームコンテンツの内容をものすごく雑に言うと、プロレス会場でプロレスラーの一番強い奴と戦うっていう感じなので、それはもうTHE PRIMALSでガーン!ってやったほうが絶対に盛り上がるでしょ?っていう。言ってもそんなざっくりした感じで進めてはいないですけど(笑)、流れとしてはそういう感じでしたね。ただ、初期段階から決めていたわりに、レコーディングはタイトでしたけど(苦笑)。
たちばな:こういうBPMが速い曲は、僕もそろそろ還暦なので、経験上、レコーディングに長く時間をかけるとなかなか終わらなくなっちゃうから、パパっとやろうと。2テイクぐらいでなんとか収めることができてよかったです。
──東京ドームのMCで、THE PRIMALSの曲に関して、リズム隊は難しすぎるというお話をされていましたよね。
たちばな:全曲というわけではないんですけど、やっぱりTHE PRIMALSって、お客さんの前でパフォーマンスすることありきなバンドだと僕は思っていて。でも、ここまでやるとパフォーマンスまで気がいかないなっていうぐらいのアレンジを持ってこられるから、たまにちょっと戦うんですよ(笑)。でも、シンプルにしすぎちゃうと、曲として弱くなっちゃうところもあるので、最終的にはわかりました!って(笑)。
──ちなみに『THE PRIMALS - Riding Home』の収録曲で、一番苦戦した曲というか、“うわー!これマジか!”って思った曲ってどれですか?
たちばな:…………多いねぇ(笑)。でもやっぱり、「Endwalker – Footfalls」は、録っているときにちょっと休憩をもらったりしていて。たまたますごく疲れて現場に行ったのもあったんだけど、これまで自分がやってきた中にはないフレーズがたくさんあったのと、手を上から下におろしたら、次はまた上にあげなきゃいけないのよ?っていうのを無視されている感じのフレーズがあったりしたので(笑)、なかなか大変で。そこら辺を置き換える作業はするんですけど、そういう点ではこの曲が一番難しかったですかね。
──イワイさん、まずは「Give it All 〜至天の座アルカディア:ライトヘビー級〜」のレコーディングはいかがでした?
イワイ:レコーディングに入る前にもらった音源には、ボーカルが入っておらず、曲の尺もこれぐらいみたいな感じで。だから歌に向かってどうこうするっていうことはできなかったんですけど。ただ、祖堅くんがデモに入れているフレーズの感じと、ここは同じようにしないとダメなのかとか、ここは作っちゃったほうがいいなとか、そういう準備をしてやりましたね。で、作業に入ったら思ったほど時間はかからず。わりとスムーズだったと思います。
──同じくリズム隊として、『THE PRIMALS - Riding Home』の収録曲で、すごいことを言ってきたな……と思った曲を挙げるとするといかがでしょうか。
イワイ:「貪欲」ですかね。いまは機械の力でチューニングを下げる、精度のいいものを持っているんですけど、これを録ったときにはまだ持っておらず。リアルにチューニングを下げて弾くしかなかったんですよ、普通では考えられないほど。
祖堅:ははは(笑)。
イワイ:なので、楽器の調整をやり直し、チューニングを下げ、フレーズもある程度元々のものを組みながら作り、という感じでしたね。
祖堅:どれぐらい下げたんでしたっけ?
イワイ:一番低いのがEのところをCまで下げてた。
祖堅:えっ!? そんなベースあるんですか?
イワイ:あるんです。でも、そういうのが楽しいし、その音域で鳴らないと、曲としてダメだろうっていうことになっちゃうんですよ、やっぱり。だから、ライブでどうしようと思いながらやってます。
──『THE PRIMALS - Riding Home』の収録曲を見ると、DISC2はGUNNさんがアレンジされている曲が多くなっていて。THE PRIMALSの中でのアレンジ作業は、活動をしていくにつれて変化していったりもしたんですか?
GUNN:そうなってしまっているのは、祖堅くんが忙しいから(笑)。これまでは、何曲かあったら半分ずつやろうよとか、そういう感じだったんですけど、いろいろなものがかぶっていたりして難しい時期とかもあって。で、たまたま僕がやらせてもらったのが多くなった感じなのかもしれないなと思います。でも、僕としては、ざっくりアレンジしたものをみんなに聴いてもらって、“ここはこうしようぜ”みたいなところにもすごく期待をしていて。だから、名目上はそうなっているけど、みんなで作っているところはすごくありますね。
──最初に取り掛かる段階で、こういうものにしたほうがいいんじゃないかというイメージというか、アレンジの解像度みたいなものは、GUNNさんの中で上がっていたりします?
GUNN:ゲームのストーリーやキャラクターの心情も、僕も少し分かる感じになってきたので、そこも生かしつつではあるんですけど。でも、日和ったアレンジをすると、祖堅くんから突き返されるので。
祖堅:(笑)
GUNN:“どうしたんすか!?”って。“あ、ごめんなさい、もう2日ください”みたいな(笑)。それでまたいじくり回すっていう。
祖堅:やっぱりTHE PRIMALSは、ドカーン!とか、ボーン!とか、オリャー!みたいな、泥臭い感じが似合うと思っているので、たとえばファ~〜みたいな音って必要ないじゃないですか。
たちばな:そんなんある?(笑)
祖堅:たま~にあるんですよ、そういうのが入っているときが。
GUN:たまにね(笑)。
祖堅:うん。いつもカッコいいものをバチっとあげてきてくださるんですけど、本当にたま~にあるんです。なんかつらいことでもあったのかな?みたいな(笑)。優しすぎる感じになっちゃっているけど大丈夫?っていう。
──音色的に柔らかい感じは、THE PRIMALSにはあまり必要ないんじゃないかと。
祖堅:そうですね。あまりというか一切いらないかも(笑)。
──(笑)。そして、10周年を飾る単独公演<THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn>が、9月21日・22日に横浜アリーナで開催されます。
GUNN:アイテムもいろいろ出揃っているし、これを持って、みなさんと共に大騒ぎできたらいいなと思っていますね。単独公演なので、ファンフェスとはまたちょっと毛色が変わると思いますけど、音楽とゲーム体験を一緒に楽しめるといいなって。僕はそこを目指せればいいなと思っています。
──前回の幕張メッセのときみたく、今回も派手なライブになるんでしょうか。
祖堅:とりあえずいまは放水できるかどうか確認中です(笑)。
たちばな:幕張のときはあんなに火ばっかり出していたのに、今度は水か?っていう。
イワイ:とにかくいろいろと盛りだくさんなので、今は本当にやり切れるのかという気持ちでいっぱいですね。
たちばな:幕張メッセのときは、お客さんはまだ声を出せなかったんですよ。それがこの前のファンフェスでみんな出せるようになって。ただ、単独では(声出しOKは)久々なので、幕張よりも盛り上がった状況になると考えると、あとは僕らがちゃんとできるのか?っていう(笑)。そこだけですね。なんとか2日間演奏できるように頑張ります。
──祖堅さんはいかがでしょうか。
祖堅:いま『DAWNTRAIL』が始まっているんですけど、そこ込みで、今までの集大成感を出せたらいいなと思って、一生懸命準備しているんですけど……なんか、今年は興行がめちゃくちゃ多いんですよ。ドームで年を明けて、その後も開発をガッツリやって。それが開けたと思ったら、「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」があったり、THE PRIMALSをやったり、ピアノをやったりって、ちょっと訳がわからなくなってきていて(笑)。なので、横アリは一回頭を整理して、しっかり挑めるようにしようと思っています。そのためにも宿題を早くなんとかしないと。まだ溜まりに溜まっているので。
──宿題というのは開発のほうの?
祖堅:それもあるし、この先々もいろいろあるので、その準備をしていて。すごく目まぐるしいですけど、横アリは制したいなって思っています。特別感は自分の中にもあるので。
──タイブが異なる興業をしていく中でも、ご自身の中でも軸にしている部分は、やはりまずは開発であって。
祖堅:そうですね。ゲーム体験にマッチングしたサウンドを作るというのは、ずっとブレずにやってきているし、そこはこれからも変わらないんですけど。ただ、THE PRIMALSに限って言うと、本当にね、なんか底抜けに楽しいんですよ。もちろん音楽をやるために集まっているメンツなんですけど、ただ飯食っていても楽しくて(笑)。
全員:ははは(笑)。
祖堅:なんかもう家族っぽい感じの会話になっちゃっていますけど、最近すげえ落ち着くんですよね、ここにいると。そうやってバンドはダメになっていくんですよ(笑)!
GUNN:そうね。10年目のなんとかみたいな(笑)。そんなことはないと思うけど。
祖堅:(笑)。でも、ほどよい緊張感は必要だと思うので。そういう意味でも横アリは頑張りたいです!
取材・文◎山口哲生
写真◎野村雄治
(c) SQUARE ENIX
『DAWNTRAIL 7-inch Vinyl Single』
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/Dawntrail/
品番:SQEX-11128
価格:2,750円(税抜 2,500円)
仕様:7-inch vinyl / 45rpm
収録曲:全2曲
発売元:株式会社スクウェア・エニックス
『THE PRIMALS – Riding Home』
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/primals/
品番:SQEX-11129-30
価格:5,060円(税抜価格 4,600円)
仕様:CD 2枚組+ピックセット
収録曲:全26曲
発売元:株式会社スクウェア・エニックス
『And Back Again: Live Performances from the FINAL FANTASY XIV Fan Festival 2024』
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/AndBackAgain/
品番:SQEX-20098
価格:6,050円(税抜価格 5,500円)
仕様:Blu-ray Disc 1枚 特装デジパック
収録内容:
・DAY1 2024.1.7 SET LIST OF PIANO LIVE PERFORMANCE Performed by Keiko
・DAY2 2024.1.8 SET LIST OF BAND LIVE PERFORMANCE Performed by THE PRIMALS
・BONUS CONTENT:Backstage of the FINAL FANTASY XIV Fan Festival 2024 Music Stage
発売元:株式会社スクウェア・エニックス
<THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn>
会場:横浜アリーナ
日時:2024年9月21日(土) OPEN 15:00 / START 16:00
2024年9月22日(日) OPEN 12:00 / START 13:00
チケット一般発売中。残り僅か
・ライブストリーミング情報
配信日時:2024年9月21日(土)
OPEN 15:30 / START 16:00
料金:税込4400円
チケット販売期間:2024年9月9日(月)18:00~10月7日(月)20:00
アーカイブ視聴可能期限:2024年9月22日(日)18:00~10月7日(月)23:59
主催:808 / SQUARE ENIX
企画 / 制作:808
produced by ファイナルファンタジーXIV
【運営/お問合せ】ディスクガレージ webお問合せフォーム:https://www.diskgarage.com/form/info