【インタビュー】10周年躍進中のTHE PRIMALS、自身のポテンシャルを再確認「底抜けに楽しい」

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オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』のサウンドディレクターを務める祖堅正慶を中心に結成された、同作のオフィシャルバンド・THE PRIMALS。

◆撮り下ろし写真

結成10周年を迎えた今年は、1月に東京ドームで開催された<ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京>でライブを行なうと、7月には<LuckyFes 2024>でTHE PRIMALSとして初めて音楽フェスのステージに立った。また、9月21、22日には、横浜アリーナにて<THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn>の開催も控えており、慌ただしいアニバーサリーイヤーを過ごしている。

そんな今年経験した様々なトピックや、ベスト盤的側面を持ちながらも、ゲストボーカルにAgainst The CurrentのChrissy Costanzaを招いた新曲「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」を収録したCD『THE PRIMALS - Riding Home』について、メンバーに話を訊いた(マイケル・クリストファー・コージ・フォックスは所用のため欠席)。

◆  ◆   ◆

◾︎THE PRIMALSって意外とポテンシャルがあるバンドなんだなっていうのを知りました

──今年は結成10周年ということで賑やかな1年になっていますけど、どんなことを感じながら過ごされていますか?

祖堅正慶(G, Vo):特に何も感じてないですね(笑)。本当に通過点というか。“10周年なのでこれを作りたいです”っていう話が来ると、ああ、10年経っているんだなぁって思うぐらいで、バンドとしてはいつも通り活動している印象ですかね。

──そんななかでも、今年はかなり大きなトピックが多くて。まず、1月7、8日に開催された<ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京>で、東京ドームのステージに立ったわけですけども、そちらはいかがでしたか?

祖堅:あんまり実感ないんですよ。そこは(メンバーの)皆さんにも聞いてみたいんですけど……どうです?

たちばなテツヤ(Dr) :ファンフェスティバルの一部という感覚ではあるけど、東京ドームというデカい場所にTHE PRIMALSが立ったというのは、客観的にはすごいことだなと思うんですよ。ただ、やっているほうはまったく変わらず(笑)、いつもやっていることを一生懸命やっていた感覚でしたね。景色とかはね、やっぱり特別な感じはありましたけど。

GUNN(G):景色は本当に素晴らしかったですね。(客席が)見たことがない高さというか、迫り来る感じがあって。でも、どうしても(客席からの歓声に)ラグがあるので、最初はそこにちょっと戸惑いましたけど、お客さんを見ると、ちゃんと喜んでくれているのが分かったので、それはよかったなと思いました。

イワイ(B):あれだけ客がいると人に見えないなって。あとは、ドームでデカい音を出すと、やってる側はこういうふうに聴こえるんだっていう。そういう発見はありましたね。


──祖堅さんもみなさんと近しい感覚だったりします?

祖堅:そうですね。東京ドームは『ENDWALKER』の集大成というのもあって、そこに対しての手応えはあったんですけど。なんていうか、コンサートとして見るとちゃんとやれているんだけど、“バンドのライブをやってます”っていうところで考えると、ちょっと変な感じでしたね(笑)。なんかこう、雲を掴むような感じがあって。

GUNN:そうだね。全然ダメでもないんだけど、手応えが微妙に分からない感じだった。

たちばな:どうしても(客席との)距離感があるからね。

祖堅:そうなんですよね。盛り上がっているのは分かるんですよ。プレイヤーの顔を見ると楽しんでくれているのが分かるし、“盛り上がってるかい!”って言うと、今まで効果音のサンプルライブラリとかにある「大群衆」みたいなやつでしか聴いたことがなかったような声が返ってくるし(笑)。でも、ドーム特有の不思議なアンビエントがかかって、入ってきているんだけど感じづらいっていうか。

GUNN:俺はもう、これはみんなちゃんと言ってくれているんだって信じてやってた(笑)。

祖堅:そうそう(笑)。ステージ上ではいつもの感じでやるんだけど、そうなっていることを信じてやるっていう感じでしたね。だから不思議な感じでした。

──ライブの模様を収録したBlu-ray『And Back Again: Live Performances from the FINAL FANTASY XIV Fan Festival 2024』を、9月7日にリリースされますが、映像を観直してみて分かったことのほうが多かったですか?

祖堅:僕はそっちのほうが多かったです。

たちばな:俺もそうよ。

イワイ:うん。

GUNN:そこは結構あったよね。

──編集作業で改めて映像を観直していて思った個人的な見どころ、推しポイントをお聞きしたいんですが、祖堅さんはいかがですか?

祖堅:やっぱり「Endwalker – Footfalls」は全員野球をした感じはありましたね。ドームならではですよ。全員野球。

たちばな:うまいこと言うね。

祖堅:ははは(笑)。あれはやっぱり見どころじゃないですかね。


──「Endwalker – Footfalls」は組曲のようになっていて、その場面場面でゲストの方々が入れ替わり立ち代わりで登場するという。観ていてかなり興奮しました。

GUNN:ああいうのは初めてでもあったので、スペシャルだなと思いながらやっていましたね。僕の個人的なところでいうと、まあ、なんか、“家”みたいなことがあるんですけど。

全員:ははは(笑)。

──恒例のコール&レスポンスですね。GUNNさんが“どこから来たの!?”と言うと、お客さんが“イエーイ!”と返しつつ、スクリーンに「家」という文字が出るという。

GUNN:僕らが出る前の前説で、ライブを盛り上げるために画面に「家」って出していたのを見て、この後にやるのかぁ……と思って。やるのやめようかなと思ったんですけど、それでもやったという頑張ったところを評価していただけるとありがたいです! 

──「家」の文字が東京ドームのスクリーンに出たときはグっときましたけどね(笑)。

全員:一同(笑)

──シュールかつ感慨深かったというか。

GUNN:そうですねぇ。Zeppツアーでスベった頃から考えると(笑)。

たちばな:バリバリスベってたからね。

イワイ:スベってたけどゴリ押し。

祖堅:ははは(笑)。

GUNN:(笑)。全体的には、やっぱりドームってそうそうできる場所でもないという思いもあったし、あそこにいる人たち全員が仲間なんだなっていう感覚になったのは、すごく感慨深かったのと、ビックリしたのと、嬉しいのと、いろいろな感じになったんですよね。それはすごく嬉しかったです。


──イワイさんはいかがですか? 見どころや推しポイントを挙げるとすると。

イワイ:改めて観ると、止めずに通して観られるなぁって。あと、あのライブがBlu-rayになるっていう話を、やっているときは聞かされていなかったのは僕だけですか?

祖堅:そうですか?(笑)

イワイ:なので、あの日は今日を楽しむんだという姿勢でいたんです。多少のミスならいけると。

全員:(笑)

イワイ:まぁ、いってもそんなにミスってはいないんですけど、“ヤバい、ここ間違えそう”っていう顔を抜かれているところがあるんですよ。どことは言えませんが。そんな感じです(笑)。

──探してみます(笑)。たちばなさんはいかがですか?

たちばな:メンバーの後ろ姿とか、今までだったらステージの下にお客さんがいる感じだったけど、お客さんの動きが上のほうまであるとか、今までのTHE PRIMALSにはなかった絵面がたくさんあるところは、やっぱり見どころかなと。あとは、守屋(匠。映像監督)くんの編集がうまいなぁっていうところですかね。

──プロデューサーの吉田(直樹)さんが出てくるところのカメラワークはすごくこだわっていましたよね。

祖堅:笑っちゃうんだけどすげぇカッコいいんですよね(笑)。

たちばな:俺、初段階のやつを見て爆笑しちゃったもん(笑)。

祖堅:ははは! キマってるからカッコいいんですよ、悔しいけど(笑)。


──あと、ライブのトピックとしては、7月に開催された<LuckyFes 2024>に出演されました。THE PRIMALSとしては初の音楽フェスであり、野外ライブだったわけですけども。

祖堅:めちゃくちゃ楽しかったですね! ドームのこともあったんで、そういう意味では安心したというか(笑)。いつもの感じというか、ライブってやっぱりこうだよなって。あと、やっぱりフェスって楽しいんですね!って思いました。知ってたけど(笑)。

たちばな:THE PRIMALSは、FFXIVのオフィシャルバンドなのでゲームに付随したコンサートやライブが普通だったけど、音楽畑側のほうに出てきて。俺としてはSPARKS GO GOもあるので、そっちのほうが馴染みのある世界観なんだけど、THE PRIMALSとして出れたのが嬉しかったですね。お客さんのリアクションも非常に良かったし、今後もチャンスがあるなら出たいなって、個人的には強く思っています。

イワイ:僕としては、ゲームのイベントだけじゃなく、音楽だけのライブの中に入り込んでも絶対にいけるぞって前から思っていたんですけど、やってみてこれはいけるなって。

GUNN:きっといけるはずだと思いつつも、なかなかそのチャンスもなかったので、出たい出たい!と言い続けきてよかったです。ライブ自体ももちろん楽しかったけど、THE PRIMALSチームの優秀さもすごく出たと思いますね。フェスってやっぱりドタバタするんですけど、これだけやってきているのもあって、みんなサクサクやっていただいて。“はいどうぞ! やってきてください!”みたいな。そういったスタッフワークとか、いろんなものがトータルして演奏に繋がっていくし、それがお客さんにもきっと伝わると思うので。いいライブだったなと思います。

──会場には光の戦士(「FF XIV」プレイヤーの愛称)の皆さんもいらっしゃいましたが、そうじゃない人たちにも直接音を届けたときにどんなことを感じましたか?

祖堅:最初は“THE PRIMALSって誰だ”みたいな感じで、ステージから離れたところにある林の辺りで喋っている人たちがいて。それは別にフェスでは普通のことじゃないですか。楽しみ方は自由ですし、自分もフェスに行ったときって、自分の好きなバンドですら、草むらにゴロっとして酒を飲みながら聴くのが好きなので。歳も歳だし。だから、だら~っとしているのを見て、いいなぁと思いつつ、自分らのアクトを一生懸命やっていくうちに、そこら辺でゴロゴロしている人たちがだんだんこっちに出てきて、最終的には結構な人が集まって、ウオー!ってやっているのを見て、“意外とTHE PRIMALSやるじゃん!”って。

全員:はははは!(笑)

祖堅:これまでゲームプレイヤー以外に向けた発信をそこまでやってきていないから、一抹の不安はあったんですよ。でも、やれてよかったって思いましたね。THE PRIMALSって意外とポテンシャルがあるバンドなんだなっていうのを、そこで知りました。

たちばな:光の戦士が前のほうで盛り上げてくれていたのも嬉しかったね。

祖堅:そうですね。大きかった。

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