【インタビュー】BLUE ENCOUNT、『ライジングインパクト』主題歌「gifted」に結成20周年の軌跡「少年漫画のような生活を送ってきた」

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BLUE ENCOUNTがメジャーデビュー記念日翌日の9月11日、Netflixシリーズ『ライジングインパクト』主題歌の「gifted」をCDリリースした。「gifted」は『ライジングインパクト』のために書き下ろされた楽曲だ。作詞作曲を担当した田邊駿一(Vo, G)は、「“個性”について日々自問する現代、僕ら人間には一体どんな“ギフト=才能”があるのか。「gifted」で自分なりの一つの答えが書けた気がしています。この曲があなたにとっての心の糧になれば幸いです」とコメントしている。

◆BLUE ENCOUNT 動画 / 画像

“誰もがgifted=神から授かった才能を持っている存在”というメッセージを浮き彫りにするこの曲は、あらゆるリスナーの人生を祝福する生命讃歌だ。メジャーデビュー10周年、結成20周年を迎えたBLUE ENCOUNTが長年に亘って育んできた表現力も存分に示されている。この曲の制作エピソード、カップリング収録される「overtime」、反町隆史も歌唱で参加した「POISON」リバイバルカバー、11月からスタートする全国ツアー<20th anniversary ONEMAN TOUR>について⽥邊駿⼀(Vo, G)、江⼝雄也(G)、⾼村佳秀(Dr)に語ってもらった。


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■正解だと思ってないと霧の中に吸い込まれる
■20年やってきた今も戦いは続いている


──「gifted」は、週刊少年ジャンプで連載されていたコミックが原作のアニメ『ライジングインパクト』の主題歌として書き下ろしたんですね?

⽥邊:はい。先方からの「こういう曲にしてください」「このキーワードを入れてください」とかはなく、僕が原作を読んで感じたことを曲にしていったんです。主人公が成長しながら様々なことに立ち向かっていく姿をイメージしながら作りました。

──『ライジングインパクト』主人公の七海ガウェインの姿と重なると同時に、BLUE ENCOUNTの活動の軌跡ともリンクする曲だと思いました。

⽥邊:なるほど。このアニメの主人公は自信があるんですよ。で、僕らがBLUE ENCOUNTを始動した高校生の頃も本当に自信しかなかったというか(笑)。高村を誘った時も「俺、いけるから、ついてこい!」みたいなことを言いましたし、江口を誘った時もそうでしたから。

──活動を始めてからは、自信が揺らぐような経験もたくさんありましたよね?

⽥邊:もちろんいいこともありましたけど、後悔も挫折もしてきたので、少年漫画のような生活を送ってきたかもしれない。「gifted」の最初の仮歌詞は、もっと精神的にボロボロの状態からスタートする形で描いていたんですね。立ち直れないくらいの状態から始まって、サビに向かう中で希望が芽生えていく感じでしたから。そこに関しては、先方から唯一リクエストをいただいた点でした。「敢えて、自信たっぷりなままでスタートしませんか?」ということになり、BLUE ENCOUNTの20年の軌跡と比較したり、なぞらえたりもしながら書いていったのが完成形の歌詞です。

──人それぞれの生き方にも当てはまる曲だと思います。

⽥邊:七海ガウェインの人となりにフォーカスを当てているんですけど、曲が進むにつれて“なんで生きてるんだろう?”という大きなテーマにも繋がっていって。自分でも書きながら不思議な感覚になりました。曲作りは1年以上前、日本武道館でのワンマンライブの頃だったんですけど。2回目の武道館で、辻村(勇太 / B)が渡米するタイミングだったので、それも良かったのかもしれないです。“自分たちとは何なのか?”と見つめ直す時期だったので。


──壮大に高鳴るサウンドと歌詞によって、“生きる”ということを全力で肯定している曲だと思います。生命讃歌ですね。

⽥邊:この年齢になって、自然と人生に向き合っているのかもしれないですね。僕らの楽曲は“自分に対して書いているけど、誰かにとっての曲になってた”みたいな感じが多いんです。最近またそういう曲が作れるようになった気がします。昔はそういうスイッチを入れないと作れなかったんですけど、自然と作れるようになっているというか。“頑張れ”と言わずにいかに“頑張ってほしい”という旨を伝えるか。それは、今のテーマになっているところがあります。

──江口さんも、これまでの自身の活動を重ねながら「gifted」を聴くところもあるんじゃないですか?

江⼝:正直、それはなくて。そういうことよりも、“ザ・ブルエン”みたいな定番曲な感じがある。そういう曲だからこそ、これまでと違う感じを出したいと思ってアレンジを考えていきました。

──高村さんは、この曲にどのようなことを感じていますか?

⾼村:アレンジを考える上で、ちょっと前の時代のサウンド感をイメージしながらドラムを構築していったんですね。そういう点でもBLUE ENCOUNTのこれまでの軌跡みたいな感じもある曲になったのかなと。そんなことを今の話を聞きながら感じてました。

──再び歌詞の話に戻りますが、“伝えたい想いは⼒めば⼒むほど なぜか ぜんぜん⾶距離を出せず くすぶるだけさ”という一節があります。デビュー前とか、こんな時期もあったんじゃないですか?

⾼村:言われてみれば、そうですね。

⽥邊:何に対して力を込めたらいいのかわからないのに、フルスイングしていた感じでしたからね、当時は。意味なく、深夜スタジオで夜通し練習をしたり、あの時期は地獄でした。

──正しい努力って何なのか、よくわからないですからね。

⽥邊:いいライブとは何なのかもなかなかわからないですし、実際に経験しないとわからない。自分たちが“正解”だと思っていないと、濃い霧の中に吸い込まれてしまうんです。20年やってきた今も、そういう戦いは続いています。


──濃い霧の中に吸い込まれないための確かな何かを感じられる瞬間は、例えばライブなんでしょうか。お客さんの反応をダイレクトに感じられる機会ですから。

⽥邊:そうですね、春にツアーをやったんですけど、すごく満たされました。対バンツアーからもたくさんの刺激を貰えましたし、いい緊張感を持ちながらニュートラルになれるのがライブだと改めて感じましたね。

──なかなか結果が出ないインディーズ時代は、悩むことも多かったんじゃないですか。バンド活動と並行してアルバイトで生活費を稼がなければならないわけで。

⾼村:ただ、周りのバンドもそれが普通だったから、異常なことだとは思っていなかったですね。“ここは誰もが通る道なんだ”と思っていたので、耐えられたのかもしれない。

江⼝:金銭的にはいろいろきつかったから、生活面での苦しさはありましたけど、“いずれ食べられるようになる”と確信していたんですね。その“いつかはなんとかなるだろう”という気持ちがあったので、音楽的な苦しさはそんなになかった。

──一般的には、25歳辺りのタイミングで音楽を続けるかどうか、悩む人が多いと言われてますね。

⽥邊:僕らの25歳は12年前だから…確かに“一回やめようかな”みたいになった時期です。

⾼村:なんとなく“これが最後のツアーだろう”という雰囲気になったのが、その時期でしたね。

⽥邊:“このツアーが終わってから、みんなで話をしようか”みたいな感じだったので。でも、その時期にいろいろなことが動き始めて、結果、今に至るという感じです。あの時期に箸にも棒にもかからなかったら、やめていたと思います。

──この曲に関して、辻村さんはどのようなことをおっしゃっていましたか?

⽥邊:なにせ1年以上前なので…何か言ってたっけ?

⾼村:「ゴルフのインパクトみたいな音を入れたい」という話をしたのを覚えています。かなり前なので、それ以外はあまり思い出せないですけど(笑)。

──辻村さんが渡米する前のレコーディングだったわけですが、リモートでの制作を始めていた時期ですよね?

⽥邊:はい。辻村の渡米発表をした2年くらい前からリモートレコーディングを試みるようになっていて。この曲も彼だけリモート参加でしたね。4曲を同時進行していた時期で、どれも大作だったので、4人が完成させることだけに全力だったのは覚えている。

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