【ライブレポート】愛美、ツアー<LIVE IT NOW>ファイナル東京公演「今日はとっても素敵な日だね!」

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声優アーティスト愛美による約1年半ぶりのワンマンライブツアー<AIMI LIVE TOUR 2024 “LIVE IT NOW”>の千秋楽公演が8月4日、東京・豊洲PITで開催された。同ツアーファイナルのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆愛美 画像

6月リリースのアルバム『LIVE IT NOW』を携えて、東名阪の3都市を巡ったツアーが<AIMI LIVE TOUR 2024 “LIVE IT NOW”>だ。2021年にキングレコードへ移籍してから初の声出し解禁でありオールスタンディングという絶好の環境のもと、アンコールを含む全18曲が会場を埋め尽くしたファンを熱狂させた。

愛美のアーティストカラーである“赤紫(レッドパープル)”に光るバングルライトをはじめ、思い思いのライブグッズを身に着けたファンが期待に胸を膨らませるなか、照明が暗転。楽曲「Noise in me」がオーバーチュア(序曲/前奏曲)として流れ出し、バンドメンバーとギターを手にした愛美がステージに登場した。



愛美が愛用の白いレスポールスペシャルを掻き鳴らし始めると、アルバム収録のアグレッシブなロックチューン「ザ・センセーション」でライブの幕が開ける。バンドのゴリッとした演奏と愛美の力強い歌声に観客は初っ端からテンションMAX。ジャンプやヘドバンで爆発的な盛り上がりを見せる。そこからさらにアップテンポなギターロック「C'est la vie drive」へと繋げ、愛美いわく「ぶち上がる2曲」で最高のスタートダッシュを飾った。

MCでは、今回のツアーの目標である関西弁を交えたトークでオーディエンスとの距離を縮めつつ、ライブでは『LIVE IT NOW』からの楽曲を中心とした「ぶっ飛ばすセトリ」で緩急自在に楽しませる。振り付けも込みでポップかつ愛らしい一面を見せた「煩悩☆パラダイス」、これまでは冬にワンマンライブを行っていたため念願の夏に初披露となった「瞬間Summer Day!」、ファンと共に手を振ってピースフルな景色を作り上げた「5&I」。曲調は様々なれど楽しい気持ちにさせてくれる3曲で、会場に笑顔の花を咲かせる。


かと思えば、愛美がキングレコードに移籍して最初にレコーディングした思い出の1曲「カザニア」では、吹き抜ける風のように爽やかでありながら、どこか切なさも混じった絶妙なバランス感で歌を紡ぐ。続く、アコースティックギターを弾きながら披露した「ステラメロウディ」での、“推し”への思いをテーマにニュアンスたっぷりに歌い上げる様も素晴らしく、声優・役者ならではの表現力の豊かさは、やはり折り紙付きだ。

バンドメンバーによるソロ回しを挿み、ライブ後半戦はロックバンドBRADIOが提供した「オネシャス!」で華々しくスタート。ミラーボールが回転して豊洲PITがダンスフロアに早変わりするなか、衣装を着替えた愛美はデコレーションされたマイクスタンドの前で踊りながら歌唱し、観客もその動きに合わせてダンシングする。観客の手が一斉にノリよく動く様子は壮観のひと言。そこから愛美は赤いギブソンSGを手にし、怒気や強い感情をはらんだロックナンバー「HELP」「メリトクラシー」を立て続けに放つ。この日の愛美は、バンドのワイルドな演奏も相まって、いつも以上にロックを感じさせる。



そして今度はイスとアコギが用意され、アルバム収録曲「if」を弾き語りで披露。愛美が声優として出演している、とあるゲームのキャラクターの心情を想像しながら歌詞を書いたというこの楽曲。今は会えない誰かに宛てた“手紙”のような内容で、サビで遠くに届けるように強まる歌声、後悔や願いが混ざった言葉に胸が締め付けられる。

だが、楽曲のクライマックスで愛美はギターの演奏をミスしてしまい、「くそー!」と悔しがりながら歌を中断。客席からはこの日一番と言っていいくらいの大きな声援と「もう一回」コールが沸き起こる。そこで最後のフレーズだけもう一度やり直して、無事に歌い切ったのだが、そういったハプニングやマイペースな部分もまた、愛美らしさとしてファンから愛されていることを実感できた瞬間だった。


そんな温かなひと時を経て、ライブは早くも佳境に。愛美は客席に「ハイ!ハイ!できる?」「クラップできる?」と呼び掛け、その全部が入った曲として、彼女のソロアーティスト活動の再始動を飾ったレーベル移籍第1弾シングル「ReSTARTING!!」を披露。もともとライブでのコール&レスポンスを想定して作られたこの楽曲は、声出し解禁となった今回のツアーでようやくその真価が発揮され、愛美の愛称“あいみん”とかけた“Going my way! AI Mean It!”のフレーズでは、愛美が客席にマイクを向けるとファンは大合唱で応える。

さらにDECO*27提供のラウドな「ドレス」、デジタルハードコアな要素を残しつつバンドの生演奏と愛美の強烈なラップやアジテーションによって異様な熱気を生み出した「MAGICAL DESTROYER」でライブの終わりに向けてさらにギアを上げていくと、ライブ本編の最後は1stアルバム『AIMI SOUND』のラストに置かれていたナンバー「愛世界」で締め。その歌唱前、愛美はサポートしてくれているファンやスタッフへの感謝の言葉を述べたあと、この曲について「みんなで歌えることを夢見て作った曲です」と紹介していたが、ミラーボールが回転して光り輝く会場に多くのファンの“Wow Wow”と歌う声がこだまする光景は、まさに愛に溢れた世界としか言いようがないものだった。


だが、感動的なライブだけで終わらせないのが愛美スタイル。アンコールに応えてステージに戻ってきたのは、愛美自身が作詞作曲した童謡風の「はれるといいよね」を“らんらんらんららん”と楽しそうに歌う愛美と傘を持ったバンドメンバーたち。途中でいきなり雨が降り出す寸劇が始まり、バンドメンバーは手にしていた傘をさして退散するなか、愛美は衣装のパーカーを被って雨をしのぐ。そして「私にはこの<LIVE IT NOW>ツアーで培ったパワーがある」「みんながくれた“すこやかパワー”を使ってみるね!」と語って「ヤーッ!」と気合いを入れると、瞬く間に天気は晴れに。

「なんていい日なんだ。今日はとっても素敵な日だね!」と寸劇がどんどん進行していくなか、なんとそんな素敵な日にぴったりなサプライズゲストとして、アニメーション映画『パンダコパンダ』のパパンダがステージに登場。そして雨が降ったため中断していた「はれるといいよね」の続きを一緒にパフォーマンス。なんでも愛美は『パンダコパンダ』の大ファンで、同アニメの劇場公開から50周年を経て、今年春に「パンダコパンダ展」の公式Xアカウントができたことを自身のXで紹介した縁で繋がりができ、愛美が50周年&全国巡回予定の「パンダコパンダ展」 のお祝いコメントを寄稿することになったのだという。想像の斜め上を行くゲストに誰もが驚かされつつ、そのハートフルな見た目に癒されたのではないだろうか。


そんな予想外のサプライズに続いては、嬉しい歌のサプライズも。今回のツアータイトルでもある<LIVE IT NOW>(=今を生きる)にかけて、“LIVE”繋がりで愛美が2011年に発表した初期の代表曲「LIVE for LIFE ~狼たちの夜~」を久々に披露することに。おそらく愛美が生で歌っているのを見たことがある人は、ファンでもそう多くはないはずだが、客席は「ハイ!ハイ!」と合いの手を入れて熱く盛り上がる。変わらぬ熱さと狼のようなギラツキを有した、愛美のアニソンシンガーとしての原点に触れられるパフォーマンスだった。

愛美の公式ファンコミュニティ「OKOMAISON」向けのファンイベントを年末の開催に向けて調整中という告知を挿み、ライブはついにラストの楽曲「will」へ。宮田'レフティ'リョウが書き下ろしたこの曲について、愛美は「歌詞をどんなふうに受け取るかは一人一人違うと思う」と前置きしつつ、タイトルの「will」には“未来”だけでなく色んな意味があると語る。自分が次にいつライブができるかわからない状況だからこそ歌う意味のある楽曲。そんな思いが、歌詞の最初の一節“ねえ、これが人生最後の 歌になるかもしれないから”の胸に迫る歌声から伝わってくる。ステージライトの輝きの中で、ひたむきに“見てて 私を 見てて”と歌う彼女の一挙手一投足から目が離せない。歌詞の最後に“瞬間を 永遠に 遺して”とあるように、ライブという瞬間の芸術を、その一瞬の輝きを、永遠の記憶に焼き付けるような、渾身のパフォーマンスを愛美は見せてくれた。


約2時間、終わってみたらあっという間のライブだった。敏腕揃いのバンドによる屈強なアンサンブルと、愛美の歌唱力と表現力を兼ね備えたボーカルセンス、そしてこれまで以上にギターを弾きまくり、感情や気持ちをさらけ出すかのように歌うロックスピリッツ。最後のあいさつで愛美自身が「愛美はオルスタ(オールスタンディング)が似合うということがわかりました!」と語っていたが、観客の声出しが解禁されて楽曲自体の本来のポテンシャルが発揮されるようになったことも含め、間違いなく愛美にとっての過去最高を更新するライブだったのではないだろうか。次の機会がやって来たときは、今を生きる彼女のこの瞬間を、あなたにもぜひ目に焼き付けてほしい。

撮影◎Takashi Konuma

■<愛美 LIVE TOUR 2024 “LIVE IT NOW”>8月4日(日)@東京・豊洲PIT セットリスト

Overture -Noise in me-
01. ザ・センセーション
02. C'est la vie drive
03. 煩悩☆パラダイス
04. 瞬間 SummerDay!
05. 5&I
06. カザニア
07. ステラメロウディ
08. オネシャス!
09. HELP
10. メリトクラシー
11. if
12. ReSTARTING!!
13. ドレス
14. MAGICAL DESTROYER
15. 愛世界
encore
16. はれるといいよね
17. LIVE for LIFE ~狼たちの夜~
18. will

▼セットリストプレイリスト
https://aimi.lnk.to/LIVEITNOW-setlist

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