【速レポ】＜LuckyFes'24＞The BONEZ、灼熱の全身全霊「隣の人のために、後ろの人のために、音楽好きってやつらのために！」

サウンドチェックの段階から本番さながらのライブを繰り広げ、フィールド一面を沸騰させていたWING STAGEのThe BONEZ。JESSE(Vo, G)による「LuckyFes、お邪魔します」という挨拶から読み取れたのは、ライブハウスで育った自分たちの流儀のまま、この場所に乗り込もうという意識。そして、どんなやり方でも受け入れてくれる＜LuckyFes＞の懐の深さに対するリスペクトだ。

◆ライブ写真

ライブが始まると早速、JESSEがオイコールを巻き起こす。その上で「全然聞こえねえぞ！」と煽る。まだ始まったばかりだからなんて言い訳は通用しない。サウンドチェックを聴いて分かったように、バンドは既にエンジンがかかっているのだから。そう理解した人から順に、観客が大きな声を上げ始める。そうして1曲目の「Love song」がスタートした。


予定調和の盛り上がりでは意味がない。彼らは、そして彼らと同じくライブという文化を愛するオーディエンスは、お互いが全力で出しきった先にある、見たことのない景色を求めているのだ。家族に連れられて＜LuckyFes＞に来ている子どもたちにも目を向け、「お前らにカッコいいところ今から見せるから！ これがThe BONEZのやり方！」とJESSE。そう言われたら大人たちも生半可ではいられらない。

JESSEの熱い言葉、バンドの熱い演奏に感化され、「Numb」ではフィールドの奥の奥まで、ハンドワイパーの海とシンガロングの輪が広がった。楽曲の終盤では「ただ今日一日を楽しんでもらいたいだけ」と歌詞が替えられる。JESSEが「Stay with you」と歌いながら観客一人ひとりを指差す。





MCでは、先ほどまで力強いプレイでボトムを担っていたZAX(Dr)が、「ラッキー！フェス！ ケガすんなよ！ みんなで仲良くやろうぜ！」と呼びかけ、JESSEが「セキュリティさんたちに大きな拍手もらってもいいですか」と促すとともに、「スタッフのみなさん、茨城のラジオ局のみなさん、こんなロックフェスを開いていただいて、ありがとうございます」と感謝を口にした。また、多彩なアーティストがラインナップされた＜LuckyFes'24＞に出演するにあたり、「俺らにしかできないことはなんだろう」と考えた結果、「分からないから”ライブ“をやろうと思って、ここにやってきました」とも語る。

そして「目の前に立ってるのは、We are The BONEZ！」というJESSEの叫び、T$UYO$HI(B)がお立ち台からぶっ放す強烈なリフをきっかけに、「We are The BONEZ」が始まった。JESSEがラップしながら愛すべきメンバーを紹介していく曲だが、今この場所における“We”にはおそらくオーディエンスも含まれている。茨城のライブラバーに全幅の信頼を置いているからこそ、まだまだだと煽り、ともにライブを作ろうとしている。



KOKI(G)のストイックなギタープレイが印象的な「Rusted Car」を経て、「能登半島には苦しんでる人がまだまだいっぱいいる」といった想いを語ったあとの「Thread & Needle」では、JESSEが「隣の人のために、後ろの人のために、血繋がってなくても音楽好きってやつらのために！」と言いながら、自身のマイクをフロアに向けた。観客が大きな声でシンガロングすると、「ひたちなか、受け取った！」と、今度は魂の歌声をマイクに吹き込む。光のようなギターフレーズ、追い込みをかけるリズム隊のサウンド、JESSEのボーカルと観客のシンガロングが重なり合う。JESSEいわく、The BONEZのライブでは観客の落とし物が見つからなかったことがないという。だから、この場所に思いやりがあることを、The BONEZは信じている。

ラスト1曲を前に、JESSEは観客に「明日お前らの横にいないけど、困っている人がいたら手伝って、助けあってほしい。俺も頑張るから、お前らも頑張ってくれ」と伝えた。そして「この曇ってる景色、幻覚かってくらい晴らしましょう！」と、ラストソング「SUNTOWN」が鳴らされる。バンドも観客も、分厚い雲を突き破っていきそうな勢いだ。リバーブの効きまくったZAX気合いの一発も決まり、ラストはメンバー全員、出しきるように鳴らして締め括った。肩を組み、「WING STAGE代表、The BONEZでした！ ありがとうございました！」と礼をする4人に、拍手喝采が送られたのだった。



文◎蜂須賀ちなみ
写真◎樋口隆宏 / team SOUND SHOOTER