【インタビュー】超学生、新曲「Hazure」リリース「大事にしているのは“求めてもらえるものを供給し続けること”」
◼︎「歌ってみた」シーンがもっと盛り上がってほしい
──どうやら録音からリリースまで少し時間があったようですが、ご自身のヴォーカルへの変化は感じますか?
超学生:感じますね。「今ならここはこう歌うだろうな」と思うところがめちゃくちゃあります。でもあのときにしか出せなかった声も当然あるし、この粗削り感が「Hazure」や『ハズレ枠』という作品に合っていて、結果的にはいいんじゃないかなとは思っているんですけど……。つい最近ようやく、昔録った音源を聴いて「今ならもっとできるな」と思えるようになったんです。
──昨年9月くらいに「昔の音源のほうが良いテイクに聴こえる」とおっしゃっていましたよね。ようやくその域から脱したんですね。
超学生:今年に入ってから毎週ずっと投稿してきて、ちょっとずついろんなことにトライして積み重ねてきたことが実ってきたのかなと思います。それも毎週投稿を続けるためにスケジュールやお仕事を調整してくださっているレーベルさんやスタッフさんのおかげです。違うボイトレの先生にお世話になって、違う視点をたくさんいただいたのも訓練になりました。
──インターネット経由で発表すると、完成からリアクションをもらうまでのタイムラグがほとんどないので、リアルタイムで一つひとつ課題と向き合える。そこから解決の糸口を見つけられたのかもしれませんね。最近の超学生さんはかなり精力的な活動をしていますし。
超学生:毎週投稿を始めてから、聴いてくれる方が増えた気がするんです。「超学生が最近すげえインターネットに力を入れてるぞ」というのが伝わっているから、気にしてもらえたり聴いてもらえてるのかなと思っていて。恐縮なことに、最近よく活動者の方々から「なんであんなにSNSでいいねもらえるの?」「やっぱりYouTubeショートってやったほうがいいの?」みたいに聞いていただくことも増えて。皆さんインターネットでの動き方を試行錯誤してらっしゃるんですよね。
──最近は特に、SNSでのヒットが注目を集めるきっかけになっているので、そこを強化したいアーティストさんは多いのではないかと思います。
超学生:よく「どんな曲を歌うとバズる?」と聞かれるんですけど、それに対して正直に「僕は流行ってる曲を歌うぞというスタンスだと作業が進まないので、自分の好きな曲を歌ってます」と答えると、全然参考にならないじゃん!って顔をされることが多いです(笑)。でも最近SNSやYouTubeを見ていると「超学生の真似をしてくれたんだろうな」と感じる投稿もあってうれしいですね。真似してもらえるって「これはいいぞ」と思ってもらえているのと同義かなと思うので。
──そうですね。とはいえご自分でこつこつトライアンドエラーしながら得たノウハウを、そんなにいいとこ取りされてしまっていいんでしょうか。
超学生:「歌ってみた」シーンがもっと盛り上がってほしいんです。今が「歌ってみた」の歴史のなかで最高潮かと言われると、正直そうではないと思っていて。盛り上げのために僕ができることはできる限りやっていきたいし、僕も知りたいことやわからないことは山ほどあるので教えていただきたいし。僕からアドバイスできることがもしあるなら、それをどんどん共有していかないと不公平かなと思っているんです。
──シーン全体が盛り上がれば、どんどん発展が生まれますよね。時代が変わるごとに「歌ってみた」でできることも変わってくるでしょうし。
超学生:「ボカロ曲を人間が歌ったらどうなるの?」という需要と供給が一致して「歌ってみた」ムーブメントが起きたと思うんですけど、最近の音声合成ソフトウェアって人間みたいじゃないですか。だから特に最近は「超学生が歌ったらどうなるんだろう?」と求めてもらえるものを供給し続けることを大事にしています。「この人の声で聴かなくてもいいかな」とはならないようにしたいし、超学生の声だから聴きたいと思ってもらえる人が増えたら、原曲を作ったクリエイターさんにも還元できるんじゃないかなって。
──『ハズビン・ホテル』の「Poison」カヴァーを日本語詞バージョンと英語詞バージョンそれぞれでアップしているのも、クリエイティブな試みでしたよね。
超学生:「Poison」の心情を正確に歌いたかったのでまず日本語詞で歌って、作曲者の意図がより反映されている音でも歌いたかったので本家の英語詞でも歌いました。そういうことはこれまでやったことがなかったし、日本語版をアップしたときに「英語版も聴きたい」と言ってくださる方もたくさんいたんです。超学生よりすごい人はたくさんいるけれど、超学生みたいなことをして超学生くらいの数字を取れるのは超学生しかいないと思っているんです。でもそれって皆さんに言えることだと思うんですよね。
──そう思います。アーティストさんご自身がもともと持っているものをどう生かすか、どう成長させるか、どんなものが好きでそれを実現させるためにどんなことをするべきかを見極めるのが、成功やオリジナリティを追求する鍵なのかもしれないですね。
超学生:戦略的に活動をする人は、ものすごく頭が良くて大成功するか、1作だけ流行ってその後うまくいかないかのどちらかであることが多い印象があるんです。となると現状打破するための比較の対象は昔の自分しかないですよね……っていう話に結構毎回なりますね(笑)。
──失敗は成功の母とも言いますし、経験を重ね続けなければ打開策やいいものも生まれていかないですし。
超学生:ええ、そうですね。
──アーティストに限らず、それを自分で見つけて乗り越えていくことが、生きていくうえで大事なことかもしれないですね。さて、2024年も折り返し地点になりましたが、超学生さんは残り半年どうお過ごしになるのでしょうか?
超学生:どうなっちゃうんでしょうね? 今年の上半期も全然考えずにここまでやってきて半年経ってしまったので(笑)。いろんなお仕事ができるようにしつつ、「超学生がインターネットでいろいろやってるな?」と思っていただけるような動きもしていきたいですね。最近は「インターネットと仲良くなろう」が大きなテーマとしてあるので、リアルタイムで歌ったり喋ったりして、チャンネル登録してくれている人たちと仲良くなりたいなと思っています。そのためには、超学生のことがちょっと好きな人たちに向けて発信する必要があるのかなと思っていて。
──いわゆる“ライト層”と言われる人たちですか?
超学生:好き度が0から10まであるとして、僕は6~7ぐらいの人に向けていることが多いんです。全肯定してくれる10の人たちに耳を傾けるのは気持ちいいけれど、お互いwin-winな関係ではない気がして。
──確かに双方にいい影響を与えないかもしれませんね。
超学生:ちょうどいい温度で仲良くなれる人たちが増えてくれたらうれしいなと思っています。僕は小学生の時に思い描いた再生数やメジャーデビューという夢を叶えさせていただいたので、この楽しい時間が長く続いてほしくて。だからみんなに楽しんでもらえるものや、僕が好きなこと、やりたいことを発信していきたいし、そのためにスキルアップしていきたいんですよね。
取材・文◎沖さやこ
写真◎淵上裕太
「Hazure」
配信日:2024年7月5日(金)
配信URL:https://lnk.to/Hazure
歌:超学生
作詞・作曲:辻村有記/ 山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)
編曲:辻村有記
TVアニメ『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』
公式HP:https://hazurewaku-anime.com
公式X:@hazurewaku_info
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