【インタビュー】MINMI、再発見の喜びをくれる超ボリュームの宝箱『デラックスエディション』
MINMIのオリジナルアルバム初期3作の『デラックスエディション』を聴く。あの時確かに時代は変わったんだと気が付く。リマスターされて抜群の高音質で蘇ったサウンドと、レア音源満載のボーナスCD、そしてブルーレイ化された初期のミュージックビデオや貴重なライブ映像の数々。初めて触れるリスナーには新鮮な驚きを、当時を知るファンに再発見の喜びをくれる超ボリュームの宝箱。蘇った名盤『Miracle』『imagine』『Natural』とその時代について、20年後のMINMIの話を聞いてみよう。
■まだ自分の思っている到達したい場所には全然届いてない
■だから、頑張って登っていかなきゃと思っています
――リマスターされた初期の3作品を聴き直して、新発見もあったり、個人的にもいろいろと思い出したり。音楽はタイムカプセルだなと思いました。
MINMI:ありがとうございます。
――たぶんファンのみなさんもそう思っていると思うんですよね。あの頃は10代だったとか、自分の人生に重ね合わせて聴くと思うので。
MINMI:蘇りますよね。
――蘇るんですよ。そうなんです。だから、2023年リリースした新曲「essence」のMVで、「The Perfect Vision」のオマージュをしているじゃないですか。あれがものすごく響くんです。あれ、同じ場所ですか。
MINMI:いえ、似たような場所をものすごく探したんです。「essence」は大阪で撮ったんですけど、「The Perfect Vision」は関東ですね。私は東京に出てきたばかりで、土地勘のないまま撮影現場に行ったので、関東のどの地区か知らないんですけど。
――オマージュのアイディアは、誰の発案ですか。
MINMI:曲をプロデュースしてくれたTAKA-TEA(コモリタカシ)さんが、曲のコンセプトからミュージックビデオのイメージまで全部あるからやらせてくれと言ってくださって。「The Perfect Vision」が出た当時はその方もリスナーで、私の曲の制作に携われることがすごく嬉しいし、あの曲をトリビュートしたいということで、ミュージックビデオの場所探しまで一緒に考えて作りました。
――2022年にメジャーデビュー20周年を迎えて、それ以降、振り返りモードというか、20年以上のキャリアをもう一回確かめるモードが続いているような気がしています。元々、自分の昔の曲って聴いたりするタイプでした?
MINMI:いえ、そんなに聴かないです。振り返りモードとおっしゃってくださったんですけど、デビュー前からそうなんですが、自分的には、どんどん新しいものを作りたいタイプで、今もそっちに気持ちが行っているんです。ただ、こうやってもう一度リマスターして、磨きなおした作品を聴いていただける機会を作ってもらうのはすごく嬉しいです。ファンの方も楽しみにしてくださっているし。今度ライブツアーがあって、ライブはやっぱりファンの人に喜んでほしい気持ちでやっているから、どんどん新しいものを歌うというより、みんなが聴きたいものは何だろう?ということで、アンケートを取ったり、リクエストをいただいた曲をよくやっているので。今回、この(リマスター)アルバムの中からも、ライブのセットリストに浮上させて、久々にやる曲もけっこうあります。
――それは楽しみ。
MINMI:私も楽しみにしています。
――どちらも大事ですよね。先へ進むことも、振り返ることも。
MINMI:そうですね。自分的には、まだ自分の思っている成功だとか、到達したい場所には全然届いてないんですよね。だから、振り返りも大事だし、大好きなんですけど。それじゃあ夢に到達しないまま終わってしまうので。自分の思うところまで頑張って登っていかなきゃと思っています。
――そこ、聞いてもいいですか。MINMIさんの到達したい場所はどこなのか。
MINMI:具体的には、まず日本で、メジャーデビューをして、なりたかったプロの歌手にはなれたんですけど、そのあと、たとえばコンサートツアーで全都道府県を回るとか、紅白歌合戦に出場するとか、チャートで1位を取るとか…私、まだ1位を取ったことがないんですよ。最高2位じゃないかな。他にもたくさんやりたいことがあって、だから、今でもずっと、それらに挑戦して実現できるスターになりたいと私は思っています。もちろんこうやってライブツアーもできて、プロとして音楽で活動させてもらっているけど、まだスターにはなれていないなと思うので。欲を言うと、世界中の方に届けたいというところもありますし、まだまだいろいろと夢の途中です。
――いきなり「The Perfect Vision」を歌った人ですからね。パーフェクトなビジョンを高く掲げて、そこから始まっている。
MINMI:そうなんです。でも「The Perfect Vision」が一番売れた曲だったというのも、自分的にはすごく悔しい部分ではあるんですよね。ここからもっと階段を登っていきたかったのに、階段を下がっているみたいな(笑)。
――そんなことはないですよ。絶対にないです。
MINMI:セールスというシビアな面で言うと、そういう部分はあるので。でもそれは「もっと頑張れ」ということだと思うし、そういう宿命じゃないですけど、いつか「The Perfect Vision」を超えるようなヒットを出したいなと思い続けている感じですね。模索しながらですけど。
▲『Miracle [Deluxe Edition]』
▲『imagine [Deluxe Edition]』
▲『Natural [Deluxe Edition]』
――2024年出たアルバム『essence』は素晴らしかったです。当たり前ですけど、2020年代の最新のサウンドで、音楽的もレゲエを超えた豊かなものだと思いますし。あれを聴いて、戻ってこれ『Deluxe Edition』を聴くと、また面白いんですよ。絶対セットで聴いてほしいなと思います。
MINMI:ありがとうございます。私たちは、2000年代初期ってすごく身近じゃないですか。懐メロの感じはしないし、そんなに時間が経ったの?という感じだけど、その時にまだ生まれていなかった子たちが今はいっぱいいて、そういう子たちからすると懐メロだし、同時に新鮮な音楽なわけで。そういう人たちにも楽しんでもらいたいし、あの当時聴いていた人たちがあらためて聴いて、良い意味でそんなに古く感じないと言ってくれる方もいらっしゃるので、それはすごく嬉しいなと思っています。
――確かに。古さはまったく感じないです。
MINMI:世の中は2000年代ブームらしいですよ。実際アメリカでも、Y2Kブームとか言って、ファッションも音楽も、もう一度注目されているらしくて。私たちにとっては、「2000年代って特徴そんなにあったっけ?」って感じじゃないですか。2000年代に大人だった我々には。でも今の10代、Z世代の子たちは、2000年代のちょっとギラついた感じが新鮮みたいで、私もそうですけど、洋楽のヒップホップやR&Bやクラブサウンドがメジャーなポップシーンに入ってきた、あの時のファッションや音楽の感じが、今の若い子たちにはすごくおしゃれとか新しいとか面白いと言われているみたいで。
――面白いですよね。言われてみれば自分の若い頃を考えたら、やっぱり20年前のカルチャーは逆に新鮮に思えたりしていたなとか。
MINMI:そうそう。親が若かった頃に踊っていた曲とか。だから、ひょっとしたらこれは、本当にその時代とマッチして刺さるかもしれない。
――今回の『Deluxe Edition』は良い企画ですね(笑)。素晴らしいタイミング。
MINMI:あの時の、私もそうだったけど、海外のアーティストに憧れて作っていたミュージックビデオとか、ちょっとこっぱずかしいと思っているけど、若い子たちにはドンズバでかっこ良いと見えている感じなのかな?とか思います。
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