【レポート】逹瑯(MUCC)、ライヴハウスツアー<The COLORS>完遂「この先どんな色に変わっていくのか」
MUCCの逹瑯(Vo)が本日4月28日(日)、茨城・水戸LIGHT HOUSEでソロライブツアー<逹瑯 LIVE HOUSE TOUR [The COLORS]>の最終日を迎えた。2年ぶり3rdオリジナルアルバム『COLORS』を引っ提げて行われた同ツアーより、4月21日(日)に東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われたワンマンライヴのオフィシャルレポートをお届けしたい。
◆逹瑯 画像
2021年から本格的にソロ活動を開始し、2024年に3rdアルバム『COLORS』とカバーアルバム『Pandora Juke Vox』を発表した逹瑯は、この2作をひっさげて、バンドスタイルでの<逹瑯 LIVE HOUSE TOUR [The COLORS]>とアコースティックスタイルでの<逹瑯ACOUSTIC TOUR [Pandora Juke Vox]>を同時開催した。
アルバム『COLORS』収録の多彩な楽曲が加わったバンドスタイルでのライヴ。一方、その場で逹瑯が曲順を決めるほどアットホームなムードで幅広いカバーを披露したアコースティックライヴ。2種類の表現を並行することで、逹瑯のソロワークの世界はより深く進化したに違いない。ツアーの終盤戦、水戸LIGHT HOUSE 2DAYSを残すのみとなった4月21日の恵比寿LIQUIDROOM公演には、一つの到達点と言うべき光景が広がっていた。
『COLORS』のオープニングナンバー「introduction」が流れる中、ステージにサポートメンバーの結生(G / メリー)、奈緒(G / ΛrlequiΩ)、リウ(B / メトロノーム)、宏崇(Dr)、後藤泰観(Vin)、足立房文(Key)が登場し、最後に逹瑯が姿を現す。
「恵比寿、始めようか!」──逹瑯
という逹瑯の言葉を合図に楽曲「COLORS」で一気にバンドサウンドを解き放つと、オーディエンスの大歓声が会場を揺らした。モニタースピーカーに足をかけて前のめりな姿勢で歌う逹瑯を中心に、サポートメンバー全員が遠慮なく個性を発揮して作り上げるグルーヴは、分厚く力強い。ジャージで揃えたスタイリングも相まって、6人のシルエットはまさしくバンドだ。もともと逹瑯と旧知のメンバーも多いことに加え、ツアーを通して育んできた絆が音とパフォーマンスから伝わってくる。強靱なサポートに後押しされ、逹瑯の表現力がどんどん開花していった。
荘厳なヴァイオリンで始まる「ラプソディア」のダークで怪しげなモード、一転して4つ打ちビートの「LASTICA type RE:」ではシャウトを交えてオーディエンスを煽る。さらに、アイロニカルな毒を込めた「お前だよ」から、繊細なメロディを歌いあげる「エンドロール」へ。次々に表情を変える歌声に、改めてヴォーカリスト逹瑯の希有な表現力を堪能した。
「逹瑯です! 楽しんでる? 今日は、俺が楽しみにきました」──逹瑯
と意気込みを告げ、メンバー紹介タイムがスタート。逹瑯がランダムに名指しした順番でサポートメンバー5人が華麗な即興ソロを披露していき、最後に「恵比寿LIQUIDROOMのみなさん!」とオーディエンスにマイクを向ける。ステージの6人だけでなく、オーディエンスもメンバーということだ。冒頭に「一緒にこのライヴの空間を作ってちょうだい!」と声をかけていたとおり、まだまだ未知数なソロのライヴにおいて、全員でどんな景色を生み出せるのかを逹瑯自身も楽しんでいるようだ。
「このメンバーでやってくから、最後までよろしく!」──逹瑯
と煽り、アルバム『COLORS』収録曲でもひときわヘヴィな「OVERKILL」になだれ込んだ。リウのウネるベース、結生と奈緒のギターリフに牽引され、会場はますますヒートアップ。スタンドマイクを前に、身振り手振りを交えて表情豊かに歌う逹瑯のディープな世界に引き込まれていく。そこからセットリストに並んだのは、シドのゆうやが作曲したミドルナンバー「DESIRE」、Preppy Boys Slippy(高野哲&吉田トオル)が手掛けたジャジーな「壊れたピアノ」、cali≠gariの石井秀仁が作曲したダンサブルな「frigidity」といった『非科学方程式』からの楽曲たちだ。
逹瑯をよく知るコンポーザー陣の提供楽曲からなる『非科学方程式』は、ソロならではの実験的なアルバムだった。同アルバムで始まったからこそ、逹瑯のソロはひとつのジャンルにとらわれない多彩さを持ったと言えるだろう。さらにライヴは、大島こうすけをプロデューサーに迎えて制作した「残刻」で華やかなポップスにまでリーチしたかと思うと、「NOBLE」の硬質なビートで暗い深淵に引きずり込む。幅広い楽曲すべてを自分の色に染める逹瑯のヴォーカリゼーションはもちろん、バンドサウンドとして成立させるサポートメンバーの力量とセンスにも驚かされた。
「NOBLE」の妖艶な残り香が漂う中、フロアモニターに座り込んだ逹瑯が「ハロー」とゆるく語りかける。ツアーの手応えと感謝を述べつつ、天邪鬼な逹瑯節が炸裂した。
「俺の一生の一部を切り取って、君たちに見せてあげていることは、もっと感謝されてもいいと思う(笑)。君たちの人生に関わってしまった俺に拍手! これからもいろんなかたちで君たちにズケズケと関わっていくと思いますんで、よろしくお願いします。カッコいいとこもカッコ悪いとこも、全部ひっくるめて俺を愛してください!」──逹瑯
と叫び、「CRASH MAN」でラストスパートへ突入した。逹瑯が身を乗り出して煽ったり、ギターソロを弾く奈緒に結生が向かい合ったり、ステージのボルテージが高まるとともに、オーディエンスも拳を突き上げて一体感を高めていく。そのままヴァイオリンが映える「compass」「door」で爽やかな風を纏わせたあと、本編を締め括ったのは温かなバラード「ソラノカタチ」だった。過去を肯定し“今”を優しく包み込む歌を、オーディエンス一人ひとりに届けるように丁寧に響かせる逹瑯。会場を見渡して笑顔を浮かべ、深々と一礼してステージを降りた。
アンコールに応えて再びステージに登場した6人は、逹瑯の見事な司会ぶりで和気藹々とフリートークを展開。しっかり全員のキャラクターを引き出し、改めてツアーを振り返った逹瑯は、こう語った。
「ちゃんとしたツアーはMUCCでしかやってこなかったから。自分の曲なんだけど(MUCCとは)違う空気感、温度感が育っていく感じが面白いなと思って、このツアーをやらせていただきました。この先どんな色に変わっていくのか、一緒に描いていってもらえたらなと思います」──逹瑯
と意欲を見せた。そして、逹瑯がタンバリンを叩きながら歌う「DRIVE!!!」から、「CATHARSIS」のきらめくメロディが響き、会場は笑顔溢れるピースフルな空間に。「また一緒に遊んでください。めちゃくちゃ楽しかったです、ありがとう!」と告げ、ラストに「赤い糸」が贈られた。アルバム『非科学方程式』にTHE BACK HORNの菅波栄純が提供したこの曲は、フォーキーなぬくもりの中にホラー風味を加えた異色のラブソング。たっぷりの愛情に少しの闇を添えた歌声で、オーディエンスの心に今夜の記憶を刻みつけた。
さまざまな挑戦を経て自分自身の表現を追い求めてきた逹瑯の旅は、<逹瑯ACOUSTIC TOUR [Pandora Juke Vox]>を交えて自身の地元である茨城・水戸3DAYSで一旦の閉幕を迎えた。ソロで掴んだものを手に、来る6月に3度目のメジャーデビューを果たすMUCCのフロントマンとして、新たな一歩を踏み出していく。その道の先で、また一人旅に出発することもあるだろう。止まらずに歩み続ける逹瑯のこれからに注目だ。
取材・文◎後藤寛子
撮影◎冨田味我
■<逹瑯 LIVE HOUSE TOUR [The COLORS]>2024年4月21日(日)@東京・恵比寿LIQUIDROOMセットリスト
02. ラプソディア
03. LASTICA type RE:
04. お前だよ
05. エンドロール
06. OVERKILL
07. DESIRE
08. 壊れたピアノ
09. frigidity
10. 残刻
11. NOBLE
12. CRASH MAN
13. compass
14. door
15. ソラノカタチ
encore
en1.DRIVE!!!
en2.CATHARSIS
en3.赤い糸
▼サポートメンバー
G:結生(メリー)
G:奈緒(ΛrlequiΩ)
B:リウ(メトロノーム)
Dr:宏崇
Vin:後藤泰観
Key:足立房文
■緊急決定!!!<ADACHI 44th BD SP『獅子祭』>
open18:30 / start19:00
▼出演
逹瑯、足立房文、LiN(ユナイト)
▼チケット
前売¥4,400(税込/入場時別途ドリンク代)
当日¥5,500(税込/入場時別途ドリンク代)
※オールスタンディング
※お一人2枚まで
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
※当日レコーディングされる楽曲が収録されたMUSICデータカード付き
※本公演は公演時間内で作詞作曲、レコーディングを行い、その楽曲をお持ち帰りいただくイベントとなります。ライヴ演奏はございませんので、あらかじめご了承ください。
一般発売:4月29日(月)10:00〜
https://eplus.jp/tatsuro0514/
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