【インタビュー】ACIDMAN、大木伸夫が語る映画『ゴールデンカムイ』主題歌「“輝けるもの”という言葉がピタッとはまった」

■長く耐えうる作品づくりという目標がある
■千年でも二千年でも聴いてもらえるものを

──そういう意味では、ACIDMANはインストゥルメンタル曲も素晴らしいので劇伴も似合いそうです。

大木：そういうオファーも嬉しいです。以前、ドキュメンタリー作品では唯一ありましたね。綾野剛の『DVD版情熱大陸』の音楽を作ってくれというオファーを本人からもらって。「葉加瀬太郎さんのテーマ曲だけは決まっているんだけど、それ以外は自由にやっていいと言われたんだけど」ということで、うちの事務所に来てくれて、直接お願いされたんです。あと、ファッションブランドの音を作ったり。でも映画の劇伴の話は全然なかったので…来たら来たで「嫌だ。めんどくさい」とか言ってるかもしれないですけど（笑）。まあ、そう言ってるだけで、嬉しいんですけどね。

──今回の映画主題歌は、すでに大きな反響を受けていますし。

大木：さらにいろんな人に聴いていただいたら嬉しいです。


──では最後に、タイトルを「輝けるもの」にしたのには、どんな意味合いがありますか。

大木：『ゴールデンカムイ』だし、“金”というワードを感じさせたいというなかで、改めて金について調べたんです。“ゴールデンなんとか”というタイトルでもいいのかもしれないなとかいろいろ考えてたんですけど、いまいちピンとこないまま。それが、あるとき自宅のリビングをぐるぐる周回していて…うちは壁一面が本棚になっているんですけど、リビングを歩きながらその本棚でふと目に着いたのが、もう10年以上前に買った黄金比率についての本で。これも金だし、ちょうどこれに目がついたのもご縁だなと思って。改めて開いたら、チャプターのタイトルに“輝けるもの”とあって、これだ！と。

──引き寄せられたんですね。

大木：命や星とかそういうものも含めて、一言で表現できるようなものはないかと思っていたときに、“輝けるもの”という言葉がピタッとはまったんです。何か言葉をくっつけて新たに創造するのもいいんけど、それだとやっぱり距離が遠くなってしまう。子どもでも大人でもわかるようなワードで、ちょっと絵本ぽくもあって…そういうイメージから「輝けるもの」っていうタイトルは、大人っぽい鋭さもあるけど、子どもっぽい柔らかさもあるってピンときましたね。

──子どもでもわかる言葉というのは、最近のインタビューでもよく発言されていますが、今回も大事にしたところなんですね。

大木：そうですね。漫画だし、たぶん小中学生も読んでいると思うから。そういう方々にも観てほしいし、歌詞とか言葉は僕のいつもの大きな世界観にはしているけど、そこがあまり深すぎて重い曲になってしまうのもまた違うのかなというのはあったんです。まずは入口っぽい感じの曲にして、さらにここから深みに入ってもらえれば。ここからもっとコアな話をしようか、みたいな感じだと思います。


──楽曲「輝けるもの」が映画の世界観も汲みながら、バンド音楽やACIDMANの入口にもなっていきそうですね。

大木：長く耐えうる作品づくりという目標が、昔からあるんです。それは5年とか10年だけじゃなくて。僕の場合は、100年、200年単位。もっと言えば、1000年、2000年みたいな感じで聴いてもらえるものを作りたいと常々思っているので。そのきっかけになれば嬉しいですね。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎TOYO










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