【インタビュー前編】レトロリロン、確かな音楽的背景から紡がれる珠玉のポップス「今はこうなってることにビックリしてます」

■アコースティカルでもあるけどロックでもある

──エレキギターが使われていないのがこのバンドの特徴の1つだと思うのですが、涼音さんはエレキギターを弾かないんですか。

涼音：長い時間ずっと演奏してきたのがアコギだったというのもあるんですけど、ロックバンドがやりたいわけじゃなかったので、バンドにとって何が武器になるかって考えると、“アコースティカルでもあるけどロックでもある”っていうところで普通のロックバンドと戦っていきたいなって思ったんです。だから最初から選択肢にエレキギターはなかったです。

──miriさんはどんな音楽に影響を受けているのでしょう。

miri：元々ルーツはクラシックで、ずっとクラシックピアノもやってきたので、ロマン派とか近現代の作曲家さんの音楽を聴いて育ちました。ポップスで言うと、ゲスの極み乙女さんがルーツにあって、ちゃんMARIさん（Key）のピアノが好きなんです。独特なフレージングだったり、クラシックもジャズもいい感じで取り込む感じが好きで、ゲスの極み乙女さんみたいなピアノをポップスでできたらいいなっていうのが入口にあります。大学ではオーケストラの作曲とか編曲を学んで劇伴作家になるために勉強していたといいうこともあって、今はストリングスの編曲とかもやらせてもらったり、サポートでお仕事もさせていただいています。

──クラシックピアノを専攻していた飯沼さんが、ベースを弾くようになった理由も気になります。

飯沼：中学校の頃に吹奏楽部でチューバを3年間やっていて、アンサンブルの中で「低音楽器って奥が深いな」って気付いたんです。僕もポップスはずっと聴いていたので、エレキベースを買って自分で練習したのが始まりですね。大学はピアノ専攻だったけどベースは単純にやりたいから弾いていた感じです。影響を受けたベーシストは亀田誠治さんです。派手なことはしないけど、やるときはものすごいフレーズを弾いたり、アレンジャーとしてもすごいし、奥が深くて研究されたベースを弾くところが好きです。

──永山さんはジャズを学んでいたそうですが、影響を受けたアーティストっています？

永山：僕はドラムがすごく好きで、音楽を感じるときにドラム第1に聴こえているので、ドラムを通してアーティストに影響を受けています。めちゃくちゃ参考にしたのは、ジャズピアニストのロバート・グラスパーバンドで叩いているジャスティン・タイソンとか、インストバンドのスナーキー・パピーとか、ジャズ、フュージョン、ファンク、ヒップホップ、いろいろ好きなんですけど、それを演奏してるドラマーに影響を受けました。ポップスバンドをやるのはレトロリロンが初めてだったので、歌物の上手いドラムって、どういう感じなんだろうっていうことも大学を卒業する頃は考えていましたね。日本のJ-POPのドラマーさん、河村カースケさんとか玉田豊夢さんとか、曲に対してどうアプローチして叩いているのかは、今も研究しています。



──ところで、バンド名の「レトロリロン」の由来ってなんですか？

涼音：僕の好きな単語を並べてくっつけただけです（笑）。最初はみんなで考えて持ち寄ったんですけど、あまりにもしっくりこなくて。でも決めないと活動できないから、しょうがないから自分で考えちゃおうと思って調べたんです。自分は涼音っていう名前でやってるんですけど、検索するとたくさん出てくるんですよ。それで困った経験があるので、検索しても自分たちしか出てこないバンド名を考えて、「今日から“レトロリロン”です」ってみんなに伝えました。よく、ファンの方が「大学で音楽理論を学んだから」とか考察してくださるんですけど、考察するだけ無駄というか、特に何にもないんです（笑）。

取材・文◎岡本貴之




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