【インタビュー前編】レトロリロン、確かな音楽的背景から紡がれる珠玉のポップス「今はこうなってることにビックリしてます」
▲L to R:飯沼一暁(B)、miri(Key)、涼音(Vo, Ag)、永山タイキ(Dr)
レトロリロンが、2nd EP『ロンリーパラドックス』を1月10日にリリースした。音楽大学で出会った4人で2020年に結成したという彼らの音楽は、ボーカル・涼音が描くありのままの自分を歌った楽曲、バックグラウンドが異なるメンバーたちによる演奏が、軽やかにだけどじんわりと心に染み入るような新しいポップスだ。
◆レトロリロン 動画/画像
癖になるソウルフルな歌声、そしてジャズやクラシックなど多彩な音楽をJ-POPに昇華した高いアレンジ力は、聴くものを魅了してやまない。インタビュー前編では、バンド結成から現在に至るまでの経緯と、それぞれの音楽的背景などについて詳しく話を聞いた。
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■アコギ1本で歌ってものすごくカッコよくて
■ビビッときてもうめっちゃ好きになりました
──2020年6月結成ということですが、全員が洗足学園音楽大学の出身なんですね。
涼音(Vo, Ag):そうです。大学の同級生で、卒業間近ぐらいに演者、音響、照明、舞台監督を全部、生徒がやるライブがあったんですけど、僕とドラムのタイキとキーボードのmiriが同じゼミだったので一緒にやったんです。その打ち上げでタイキが酔っ払って、「おまえと一緒にバンドをやりたいんだ」って言ってきて。それで1週間ぐらい悩んだんですよ。僕は元々、バンドは向いてないと思ってシンガーソングライターとして活動していたんですけど、全然鳴かず飛ばずだったので、バンドをやってみて駄目だったら音楽を諦めようぐらいの決意を持って「やろう」って改めて返事をしに行ったんです。
永山タイキ(Dr):僕は酔っ払いすぎて全然それ言ったことを覚えてなくて、「サポートかな」ぐらいの気持ちだったんですけど(笑)。大学4年で知り合ってちゃんと話すようになったので、そう言っちゃったからにはやるしかないというか。
飯沼一暁(B):ガッツリ仲が良いわけでもないから断りづらかったんだろうね(笑)。
miri(Key):同期っていうだけで、友だちだったわけじゃないもんね。
涼音:僕とタイキは就職が決まっていたわけではなかったので、とりあえずやってみようということになって。そこから「miriを入れたいね」って話していたら、たまたまmiriが廊下を歩いていたので、「バンドやるんだけど、この間のゼミみたいな感じでやるから入ってよ」って言ったら、「いいよ、じゃあLINEして」みたいな二つ返事でそのまま階段を下りてちゃったんです。でも、これも蓋を開けてみたらサポートだと思ってたらしくて(笑)。
miri:まさかメンバーだとは思ってなかったので(笑)。私は卒業したら劇伴作家になりたかったので、就活も一応していたんです。
涼音:僕もそれをうっすら聞いていたんですけど、「OK」って言うから、「就職はやめてバンドをやるんだな。これで3人揃った」って勘違いしたんです。
▲涼音(Vo, Ag)
miri:全員勘違いしてた(笑)。
涼音:とにかく3人集まったのでベーシストを探したんですけど、大学内の同期でみつからなくて。当時飯沼はインストゥルメンタル・バンドをやっていたので、誘うのは失礼かなと思って候補から外していたんです。
飯沼:僕は大学の専攻は4年間クラシックピアノで、ベースをずっとやってきたわけじゃないので、それも候補から外れた理由だったと思います。でも3人が一緒に行動しだしたのは見てたんですよ。それで、自分から「ベース足りなくない?」みたいな感じで勝手に寄って行ったんです。「インストバンドと両立するから」って言ったら入れてくれて、この4人で始まりました。
──3人は、どうして涼音さんとバンドをやろうと思ったんですか?
飯沼:みんな涼音の楽曲が好きで集まったというのはあります。僕は涼音がシンガーソングライターとしてライブをやっていたときに、お客さんとして観ていたんです。そこで聴いた曲が好きだったから、バンドに入れて欲しいと言ったので。みんな涼音の曲を聴いていて、一緒にやろうと思ったと思います。
涼音:ソングライティングはずっとやっていたので、それに付随してメンバーがアレンジをしていくのがスタートでした。
miri:私はインストを書いてた人間なので、メロディーやコードが好きなんですよ。涼音が書く曲のメロとかコードも結構好きで、ゼミで最初に一緒にやった曲もすごく良くて。1人でやってるステージも結構見ていて、声もいいなって思いました。
飯沼:僕は元々、歌のあるポップスやロックが好きだったのですけど、最初に涼音のライブを観たときに、ギャップがあってめちゃくちゃビックリしたんです。なんか少年みたいな男が急にギターを持って出てきて(笑)。
涼音:ゼミのライブで、メインアクトとメインアクトのライブの合間に全部歌わされてて(笑)。
miri:結構雑な扱いをされてたよね。
飯沼:「この子大丈夫かな?なんかかわいそう」と思って観てたら、アコギ1本で歌ってものすごくカッコよくて。そこでビビッときてもうめっちゃ好きになりました。
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