【速レポ】＜響都超特急2023＞The BONEZ、2日目始発の火付け役「やっちまおうぜ、京都！」

来年、結成25周年を迎える主催のROTTENGRAFFTYをはじめ、今回の＜響都超特急2023 ～KYOTO ULTRA EXPRESS～＞の出演ラインナップには偶然なのか必然なのか、この1〜2年に周年という節目を迎える／迎えたバンドが少なくない。

◆ライブ写真

それは単なる数字にとどまらず、誇りを持ちながら、地道なライブを拠り所に活動を続けてきたバンドにとっては、ある意味勲章みたいなものだ──とライブシーンにとって致命傷になるやもしれなかったコロナ禍を乗り越えてきた今だからなのか、ちょっと大袈裟にも聞こえるようなことを思ってしまうのだが、＜響都超特急2023＞2日目の金閣ステージのトップバッターを任されたThe BONEZもまた、今年バンド結成10周年に突入し、5月から47都道府県を回るツアーを続けている真っ最中。

その勢いとともに乗り込んできたこの日、火付け役にふさわしい熱演をいきなり繰り広げ、朝イチから暴れたくてウズウズしていたオーディエンスに声を上げさせ、ジャンプさせ、ダイブさせていった。


「京都！　京都！　超特急行こうか！」──JESEE（Vo, G）

この日、彼らが1曲目に選んだのは、KOKI（G）を迎え、バンド結成10周年を迎えたThe BONEZのテーマソングとも言える「We are The BONEZ」。JESSEが全幅の信頼を寄せるメンバー達をラップで紹介しながら、“We are we are The BONEZ”と宣言すると、オーディエンスがシンガロングの声を上げる。



2曲目の「Numb」はThe BONEZの魅力が詰まったラップロックナンバー。ドライな音色でフリーキーなフレーズを奏でるKOKI、重低音で存在感をアピールするT$UYO$HI（B）、どこまでもヌケのいいドラミングが心地いいZAX（Dr）と、JESSE以外の3人の個性も際立つ。そして、JESSEはラップにキャッチーなメロディを歌い上げるハスキーな歌声やデス声のグロウルも織りまぜ、ボーカリストとしての魅力を存分に見せつけていく。

「ガンガンやってっていいですか？　やっちまおうぜ、京都！」──JESSE

オーディエンスを煽った、その言葉通りバンドがそこからグルービーな「Love song」「New Original」、そしてThe BONEZ流のメロディックハードコアナンバー「Rusted Car」とたたみかけると、客席に飛び込んでオーディエンスの上で歌うJESSEのガッツにオーディエンスがサークルピットを作る盛り上がりで応えていった。


振り返ってみれば、この日バンドが演奏した全7曲中4曲が今年4月にリリースした目下の最新アルバム『Yours』の収録曲というところが、バンド結成10周年に突入しながら、なおも前進を続ける今現在のバンドの姿を物語っているように思え、頼もしかった。

そして終盤。ZAXのダイナミックなタム回しにオーディエンスが「オイ！　オイ！　オイ！」と一際大きな声を上げる。「Thread & Needle」だ。


「好きなだけ歌ってくれ！」──JESSE

JESSEが歌う譜割の大きなメロディをジャンプしながらじっくりと聴いていたオーディエンスが「オーオーオー」と会場中に響き渡る大声でシンガロングすると、「超特急、受け取ったぞ！」とJESSEは破顔一笑。


さらにバンドは最後にもう1曲、「Thread & Needle」同様、大事に歌い続けてきたアンセム「SUNTOWN」を披露。“Get down Get down Get your ass down”とダメ押しでオーディエンスにシンガロングさせながら、JESSEは客席にThe BONEZのバンドTを着ていた少年ファンを見つけると、「そこの少年、来いよ。来い来い！」とステージに迎え、「小学6年生だって！」と、その少年ファンと肩を組みながら、「SUNTOWN」を歌いきった。

最後、少年ファンとハグするJESSEにオーディエンスが盛大な、そしてとても温かい拍手を贈った。前進を続けながら、The BONEZは誰一人置き去りにしない。


文◎山口智男
写真◎Yukihide"JON..."Takimoto