【インタビュー】将(アリス九號.)が新プロジェクト「Verde/」を始動。バンド凍結から見つめ直した自分の成長
◾️僕はやるしかない。自分が成長できる余地をたくさん見つけてしまったので
──では、このソロプロジェクトを立ち上げるにあたって、冒頭では日々自分に足りない部分を鍛錬しているとおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなことをやられているのですか?
Shou:いま僕には2人のメンターがいまして。1人は(ボーカルトレーナーの)佐藤涼子先生。もう1人がHYDEさんなんです。活動凍結を発表する直前に佐藤涼子先生にまず連絡をしまして。10年間お世話になりながら、その後9年も離れていたんですよ。不躾を承知で「もう一度鍛え直してもらいたいんですが」とお願いしたら、快諾して下さって。9月3日の当日まで僕に寄り添って歌を歌う人間、ステージに立つ人間、みなさまに幸せになってもらうための人間としてもう一度鍛え直して頂きまして。10年やっていたので復習なのかなと思いきや、やってみたら自分はまだまだいろんなことができてなさすぎて。いちからのスタートとなりました。高音が出づらいのはなんでなのか? 体の使い方、姿勢、呼吸、柔軟性。すべてが抜け落ちてたので、そこをどうトレーニングしていったらいいのか。精神面でも人間としてどうあるべきなのか。そこを寄り添って鍛え直して頂きました。
──歌い手、人間としての自分を。
Shou:ええ。まだまだできてないことがありすぎて、逆に「伸びしろしかないじゃん俺」と思いました。だから、できてないことが少しできるようになっただけでも、凍結前のツアーでは「歌がすごくよくなった」とお客さんには言っていただいて。僕が真ん中でスコーンと気持ちよく歌っていると、メンバーがいきいきとステージを駆け巡り出すんですね。やっぱ、ボーカルって大事なんだなと思いました。俺はこんなに華があるメンバーに囲まれて恵まれてるなと思ってたんですけど、もっといけたなと思いました。俺が真ん中で、いい声でズドーンと最初から歌ってたら、とね。いい歌声で歌うと周りが高揚するのが分かりましたね。
──では、もう1人のメンターとしてあげていたHYDEさんは?
Shou:HYDEさんも凍結を発表する前に久々に連絡をさせていただいたんですね。その後、すぐに「THE LAST ROCKSTARS、観にきたら?」と声をかけてもらったので、ライブを観に行かせてもらいまして。HYDEさんが誘ってくれた意味みたいなものを考えながらライブを観て。そのあと、5月3日の僕らのライブ(<TOUR 2023 LAST DANCE ACT.3「Graced The Beautiful Story」ep.2”Farewell Flowers”>)を観に来ていただいたとき、聞かないと言ってもらえないので、こちらから尋ねてダメ出しをしてもらったんですよ。そこで、目からウロコが落ちるような金言をたくさんいただきまして。その流れで、いまはHYDEさんの現場で勉強させていただくチャンスをもらうようになりまして。
──神の現場に?
Shou:はい。凄いことですよね。1人で苦しみながら山を登っていたところに、いまは山頂の近くを登ってる大先輩の神様の背中を霞の先に見ながら登り始めることができている状態なので。頑張るしかない、と。
──背中が見えるだけで違いますよね。
Shou:ええ。これがなかったら、近づこうとする気持ちもないまま、憧れだけで僕の音楽人生は終わってたと思いますから。こうして、いま話した2人のメンターの存在に僕は視野を広げてもらっている状況なので、僕はやるしかない。自分が成長できる余地をたくさん見つけてしまったので。そうして、自分がいいと思うものを全身全霊でやって、死ぬ気で向き合って描いた風景のなかに「これ楽しそうじゃん!」と来てくれた人を、最高のおもてなしでお迎えする。それだけを考えて、Verde/というプロジェクトを立ち上げ、これから続けていこうと思ってます。
──Verde/は純粋に音楽を表現する場所となる訳ですか?
Shou:そうです。デザインもできてAIも活用できる自分ならではの部分は、これから掲げていく予定ですけど。でも、このプロジェクトの根幹は純度の高い音楽を全身全霊でやるということです。それがなにかといったら、僕はバンド時代、自分のキーチェックをしてもらったことがないんです。音楽理論も、勉強を始めてみたら、自分が知らなかったことがめちゃくちゃあって。発声ひとつとってもそう。だから、それらをやるだけでも「変わったね」「成長した」「凄い」といわせる自信がある。まずは、それをやる。
──作品は、自分で歌ってトラックも自分で制作するんですか?
Shou:歌はもちろん自分です。トラックも最初は自分で全て作ってました。ただ、僕が打ち込んで作った後に、その道のプロと一緒に作った方がやはり良いなと。それで毎曲アレンジャーとコラボレーションをしていく形で制作しようと思ってます。ヒップホップのフューチャーリング相手が曲ごとに変わるような感覚で、コラボレーション相手とアレンジしていけたらなと思ってます。
──では、このVerde/の他に12月にライブを行なうDIAWOLF。この2つのプロジェクトの関係性はどのように考えればいいんですか。
Shou:関係性はないです。アリス九號.のギターの虎に「2023年、ファンをいつまで待たせるつもり? 年末までにはなにかやらなきゃダメだよ」と発破をかけられたので。DIAWOLFは虎さんと2人で作り上げてきたものなので、虎さんからも「やろうよ」という声をももらい、バンドを凍結した後、実質的には初となるステージをDIAWOLFとして行なうことにしました。
──Verde/とDIAWOLFの違いは?
Shou:曲調が明らかに違いますね。DIAWOLFは、僕と虎が出会ったとき「コーンやパンテラ、いいよね」という話で仲良くなったんですね。でも、アリス九號.をやっているうちに「ああいうこと、やってなくね?」となって、ラウドロックをやってみようというところからスタートしたプロジェクトなので、そうなると音楽的な面は虎ちゃんに任せがち。自分が成長するというVerde/のコンセプトとは、そこはまったく違います。
──Verde/は音楽家としての自分はどこまで伸び代があるのか。それを自ら確かめる鍛錬の場となりそうですね。
Shou:そう。1人だから孤独です。そこにいろんな人が集ってくれたらなと思ってます。
──その始まりとなる作品が12月10日に発表されます。
Shou:当日、虎さんにお願いして撮影してもらったミュージックビデオを公開します。まずは動画で世界観を。自分はヴィジュアルのアートワークが得意だから、トータルで表現したほうがいいかなと思って映像にしました。配信はどうしようかいま考えている最中です。タイトルは「The Wanderer/」といいます。
──そうして、対談企画もスタートしています。
Shou:僕はヴィジュアル系という文化に他のカルチャーを持ち込んでくる人に惹かれるんですね。「これをヴィジュアル系でやったらカッコいいじゃん!」っていうような人が好きなんですよ。僕はボーカリストはHYDEさんが一番好きで影響も受けてるんですけど、バンドとしてすごく聴いてたのはLUNA SEAで。その聴き方も、LUNA SEAのSUGIZOさんがジャパン、プリンス、ジルチ、ナイン・インチ・ネイルズを聴いてるといったらそれをディグっていって。Jさんがスマッシング・パンプキンズ、フー・ファイターズ、ガンズ・アンド・ローゼスを聴いてるといったらそれをディグっていくようなキッズだったんですね。そうやって自分の音楽の幅は広がっていった。だから、ヴィジュアル系の文化のハブになる人に対するリスペクトはすごくあるんですね。それで、自分と同じ時代に他のカルチャーをヴィジュアル系に持ち込んでシーンのハブになっていった人を考えたとき、自分のなかで真っ先に思い浮かんだのが[kei]ちゃんだったので、第1回のゲストは[kei]ちゃんにお願いしました。対談から学びや刺激をもらって、あわよくば「Verde/のコラボレーション相手になってもらえませんか?」とローズを渡せたらと思ってます。
──そんな口説き場面も楽しめる対談になる訳ですね。
Shou:はい(笑)。
──それでは、最後にShouさんからみなさんに一言お願いします。
Shou:ジャンルがボーダーレスなのがヴィジュアル系の面白さだと思っています。その面白さは、国内よりも先に海外の音楽ファンが敏感にキャッチアップしてくれる時代ですが、ヴィジュアル系文化はもともと日本から始まったもの。いまもヴィジュアル系は刺激的で、もっと面白いものがある。そう思ってもらえるような活動をしていくので、ぜひ僕の庭に足を踏み入れてみて下さい。よろしくお願いします。
取材・文◎東條祥恵
デビューシングルの「The Wanderer/」
<Verde/ 1st Showcase Live「0 Evergreen」>
OPEN17:15/START18:00
チケット:【スタンディング】¥6,600(税込/ドリンク代別途必要)
一般発売日:2月24日(土)AM10:00
※本日よりチケットFC先行受付中
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