【インタビュー】将(アリス九號.)が新プロジェクト「Verde/」を始動。バンド凍結から見つめ直した自分の成長

ポスト

現在凍結中のアリス九號.のボーカル・将/Shouが、新プロジェクトとしてVerde/(読み:ヴェルデ)を始動。その第1弾となる作品を本日12月10日に発表したShouに対して、BARKSが独占単独取材を敢行。

アリス九號.凍結について、公式コメント以外では初めて公の場で明かした彼自身の想いとは。そして、これから始動するソロプロジェクトであるVerde/とはいったいどのようなものなのか。12月に盟友である虎(G/アリス九號.)と結成したユニット、DIAWOLFで行なうライブ<DIAWOLF 2023 LIVE「ANOTHER SKY」>についても含め、Shouを直撃した。

   ◆   ◆   ◆

◾️僕らは新陳代謝がないから、このままだと腐っていっちゃうだけだった

──アリス九號.凍結からもうすぐ3カ月になろうとしています。いまの心境はいかがですか?

Shou:バンドがフル稼働していたときより、音楽に向き合える時間と環境を手に入れることができました。凍結後、自分の反省として、まずはメンターをしっかりと持とうということで、いま自分には師匠がいるんですね。その師匠の背中を見ながら自分には何が足りないのか、何がよくないのか、自分の強みはなんなのかということを学んでいるところです。バンドの再結成以前に、僕が成長しないことにはこの5人の未来は明るくならないという思いがあるので、日々楽しく鍛錬に励んでいるところです。

──そもそもアリス九號.が選んだ解散でも活動休止でもない“凍結”というのはいったいなんなのか。分かりやすく教えてもらえますか?

Shou:僕の視点からですが、まず分かりやすくいうと「脱退したい」というメンバーがいました。それをもって解散をしようかという話になったんですが、でも「この5人じゃないとアリス九號.ではない」という思いと「このままアリス九號.を続けていきたい」という思い。その2つの思いが交差して、凍結する日というのを決めて、そこに向かって一生懸命やってみようと。その後のことは、やってみたあとに考えたらいい。バンドを最高の状態で凍らせたほうが、未来につながるよねという意味で「活動休止」や「解散」ということではなく「凍結」という言葉をアリス九號.の5人で選びました。……と、僕は解釈しています。

──とはいえ、そうやって凍結したにも関わらず、先日はメンバー5人揃って、アリス九號.の「お疲れ様会」をやったことをSNSを通して報告されていて、大変驚いたんですが。

Shou:ただ5人だけで集まるというのは、小っ恥ずかしいというか。「わざわざ集まる必要ある?」ってなると思うんですが。じつは、バンドのブレーン、影の仲間みたいな方がいまして。アリス九號.に対する愛とパッションがある方なので、その人の前だとメンバーもフラットになれるんですね。その方を囲んでという会だったから実現したんだと思うんです。当日は、本当にいい空気感でメンバーと食事をしましたね。

──ピリついたりもせずに?

Shou:はい。それはなぜかというと、9月3日のライブ(<LAST DANCE FINAL ACT「Last Galaxy」>)がよかったということなんじゃないかなと僕は解釈しています。いいライブで終えることができたから「終わってせいせいしたぜ」という空気ではなく、凍結はしているけれども、5人の気持ちは“未来”に繋げることができた。それが、ああいう空気感を生んでたのかなと僕は感じましたけどね。「またいつやる?」とかは一言も話してないんですけど、いい状態で活動しているバンドが、メンバーで集まって食事をしてるようないい雰囲気でした。最後に僕が注文したお土産をNao(Dr/アリス九號.)が持ち帰ってしまい、それを食べられてしまったという恨みが残ったぐらいで(笑)。


──ははっ。エピソードが微笑ましい。そんなメンバー同士がいい雰囲気なのなら、もう凍結しなくてもいいんじゃないかという疑問もわいてくるのですが……。

Shou:新陳代謝なくしては生物は死んでしまう。それと同じように、成長しないとバンドも死んでしまうんです。ウチは5人、友達みたいな関係で、仲がいいからこそ普段はお互い耳に痛いことは言わないですね。

──ああー。仲がいい友達にはいいづらいこともありますからね。

Shou:しかも、ウチは喧嘩するタイプの人が1人もいないんですよ。バンドが続いてる先輩とか同世代の人たちを見ると、意外と“友達”という関係ではないんですよ。もっとピリッとしていたりドライだったりするので。

──だから、耳に痛いこともいいあって新陳代謝を促してきた。

Shou:たぶん。僕らは新陳代謝がないから、このままだと腐っていっちゃうだけだったんですよ。

──だからこそ、凍結という選択だった訳ですね。そうして、またこの5人でやるためには各々が成長してバンドの新陳代謝を促していくしかないと。

Shou: そう。そこで、僕にとっての成長とは何かといったら「音楽を自分で舵をとって制作できる力」と「ボーカリストとしての歌唱力」なんです。5人各々が成長のパズルをクリアしていけば、誰も想像し得なかったようなステージがこの5人でできるようになるという確信が僕にはあるんです。

──個々が成長すれば、アリス九號.というバンドにはさらなる未来があるはずだと。

Shou:約束も何もないですけどね。そうなったらいいなと。だから、この5人のメンバーの“ここがこうなったら”という要望もすごくあります。そのためには、まずは自分が襟を正してやっていこうと思ってます。

──その第1弾のアクションとして、ソロプロジェクトを立ち上げられました。

Shou:はい。自分ですべて責任を持って、ソロアーティスト・Verde/としてとして再スタートします。



──Verde/の“/”には意味があるんですか?

Shou:インターネットのURLって上層と下層に分かれていて、この“/”の先にいろいろな名称が繋がっていくんですけど。ソロで自分はどういうものを提示したいのかと考えたとき、自分が見えてる景色にみんなが集っているイメージをプロジェクトにしたいと思ったんですね。僕は最初から“将”という名前で活動する気はなくて。

──え、そうなんですか?

Shou:将でやってしまうと「俺がもっとデカいところで演れるようになるために、みんな応援してくれよ」になっちゃうと思ったんですね。

──それではダメなんですか?

Shou:はい。僕は世の中の人みんなが主人公だという考えなんですよ。それをみなさんにも分かってもらいたいんです。「君が人生の主人公、僕はそのための心地いい音楽や場所やワクワクしたり頑張ろうという気持ちをプレゼンするための旗手でありたい」という思いがあるので、自分の野心とか欲望のために頑張るというのは、まったくピンとこない人間なんですよ。なので、自分が思う素敵な音楽と景色を提供するから、そこに集って、それぞれがそれぞれの物語を紡いで欲しい。

──それを表したいのがVerde/というアーティスト名。

Shou:はい。バンドで燃え尽きた後だったので、誰も踏み荒らさないようなみんなの遊び場となるようなエヴァーグリーンな場所。「evergreen」だと僕の神様(=HYDE)の曲になってしまうので、そのコンセプトをイタリア語で表してVerde/にしました。

──アー写も草原のような場所で撮影されていましたね。

Shou:はい。始まりなので、まだ色がない状態です。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報