【ライブレポート】Nothing's Carved In Stone、MAN WITH A MISSIONを迎えた対バンツアー最終日「嬉しくてたまらないツアーでした」

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結成15周年を迎えたNothing's Carved In Stoneが、ツーマンツアー<Nothing's Carved In Stone 15th Anniversary Tour 〜Hand In Hand〜>のファイナル公演を11月19日、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催した。

◆Nothing's Caved In Stone 動画 / 画像

アニバーサリーイヤーであると同時に、2022年に半年間のライブ活動休止を挟んだ彼らにとっては1年半ぶりの全国ツアーとなる。メモリアルなタイミングで“ツーマン”という選択肢を選んだことに、改めてロックバンドNothing's Carved In Stoneのブレない矜持を感じる。ライブ中に村松拓(Vo, G)が「強敵を揃えた」と表現していたように、ツーマンのラインナップは先輩/後輩問わず生粋の実力派ライブバンドたち。久しぶりの“声出し解禁”という燃料を投下された初日から、各地で熱いバトルを繰り広げ、ここに辿り着いたのだ。

そして、ファイナルの相手として招かれたのは、ワールドツアーを終えて間もないMAN WITH A MISSION。期待を胸に集まった超満員のオーディエンスを前に、貴重な共演の幕が開いた。


お馴染みのSEとともにMAN WITH A MISSIONのロゴが背景にせり上がり、ステージに現れたオオカミたちを盛大な手拍子が迎え入れ、ライブは「Emotions」で幕を開けた。

前傾姿勢で威嚇するように歌うトーキョー・タナカ(Vo)に煽られ、一気に会場はヒートアップ。「オイ! オイ!」と一斉に拳が上がり、早速ダイバーも出現する盛り上がりを見せる。サビではシンガロングも響き渡り、キャッチーさとアグレッシヴさの両面をいかんなく発揮して存在感を見せつけた。


「最終日、前座ヤラセテイタダキマス! 本当ニ光栄ノ極ミデゴザイマス。準備ハデキテルカ、オマエラ! ファイナル、ミンナデ盛リ上ゲテイコウゼ!」──ジャン・ケン・ジョニー(G, Vo)

とジャン・ケン・ジョニーが叫び、「yoake」「INTO THE DEEP」など、壮大なサウンドスケープを描く楽曲を披露。エレクトロとロックサウンド、美しいメロディが一体となって会場全体を包み込んでいく。



中盤のMCタイムでは笑いでも会場を温めつつ、「Nothing's Carved In StoneトMAN WITH A MISSION、ナント7年ブリ」とジャン・ケン・ジョニー。改めて感謝を述べ、「コノ貴重ナ1日ヲ、最後ノ最後マデ楽シンデ行ッテクダサイ!」と語る口調から、リスペクトが伝わってきた。

ラストは、テレビアニメ『鬼滅の刃 -刀鍛冶の里編-』オープニング主題歌として大ヒットした和風ロック「絆ノ奇跡」から鉄板のキラーチューン「FLY AGAIN -Hero's Anthem-」を投下。熱狂の渦を巻き起こし、堂々先攻を務めあげた。


すっかり温度が高まった会場に、一転して神秘的なSEが流れる。Nothing's Carved In Stoneのロゴがゆっくりと背景に掲げられる中、白い照明の逆光に照らされてメンバー4人が登場した。

フロント3人がドラム台に向き合って集まり、一瞬の間を挟んで、ドラムのカウントから「Isolation」を解き放つ。圧倒的な音圧を浴びて拳を突き上げるオーディエンスを見て、“もっともっと”とばかりに力を込めて歌う村松。日向秀和のパワフルなベースソロから生形真一の華麗なギターソロに繋ぎ、立ち上がって煽ったあと怒濤のドラミングで魅せる大喜多崇規──というNothing's Carved In Stoneらしい見せ場もばっちりと決め、「Like a Shooting Star」「You're in Motion」と疾走感溢れるナンバーを間髪入れず畳みかけていく。





「やろうぜ! もっといけるだろ!」と煽る村松を中心に、全員が並々ならぬ気迫に満ちているのは、MAN WITH A MISSIONの熱演があったからこそだろう。表現方法や活動スタイルは千差万別だが、ライブハウスのステージに立てば同じロックバンド。MAN WITH A MISSIONをはじめ、ツーマンツアーを通してたくさんのバンドと交わって得たエネルギーが、さらにNothing's Carved In Stoneを強くしたのだと実感する。

「7年前は僕らが(MAN WITH A MISSIONに)呼んでもらって。前座にも満たなかったんじゃないかなって気持ちがあったんですけど」と過去の共演を村松が振り返り、「負けてらんないんで、精一杯演奏します。最後までついてきてください」と宣言した。


その言葉を受けて披露された「Lighthouse」は、まさに彼らの演奏力の高さを堪能できるテクニカルナンバーだ。2012年のシングル「Spirit Inspiration」のカップリングというレア曲だが、生形のギターリフと複雑に絡み合うリズム隊、変拍子の上を泳ぐようなメロディの構築美に圧倒される。初期はこうしたメンバーそれぞれのスキルが取り沙汰されることが多かったが、現在はスキルはもちろんのこと、それ以上に4人一体となったグルーヴこそが白眉だ。個人の音がしっかりと聴き取れる音響バランスの良さも、ツアーで磨き上げた結果だろう。

だからこそ、一度そのグルーヴに巻き込まれてしまえば、あとは身を委ねるのみ。日向がゴリゴリの歪みベースを奏でる「Rendaman」で踊り、「ツバメクリムゾン」「Milestone」で力強いメロディに酔いしれる。音楽を体で感じる喜びを共有し、会場に一体感と笑顔が広がっていった。


ステージ上にも充実感が漂っているのか、オフマイクのまま「楽しいー!」と叫び、「MAN WITH A MISSION、非常に強敵で、一瞬たじろぎましたけども。想定の範囲を超えて、うちのバンドと相性良いんだなって確認しました」と村松。続けて、ツアーへの溢れる想いを語った。

「俺らとしては休止が開けたツアーだったんですけど。みんなの声がやっと聴けるようになって、ライブってこうだったんだなとか、抑えていたものを音楽で解放してきたんだなとか思って、嬉しくてたまらないツアーでした。みんなに会うのが楽しくて、それが毎日毎日待ちきれなくて待ちきれなくて……ここでやっと爆発させて。興奮しすぎて何言ってるかわかんなくなるくらい、みんなのことを愛しているんだ、俺は!」──村松拓


さらに「俺たちが演奏してるのは、君たちがいるから。今からやる音楽が、一人ひとりのための音楽になってほしい。僕らはそのために全力で音を鳴らします。ついてこい!」と告げ、「Music」にその想いを込めて届ける。優しくも熱い歌声と音を受け止め、ステージにたくさんの手が差し伸べられる光景が眩しかった。

「Spirit Inspiration」から、生形の鋭いピックスクラッチを合図になだれ込んだ「Out of Control」で追い打ちをかけ、ラストスパートへ突入。ジャンプしたり、拳をあげたり、思い思いに楽しむオーディエンスの熱でフロアはカオス状態を極めていく。そして、本編を締め括ったのは、歓喜のシンガロングが湧いた「November 15th」。15日からは少し経ってしまったけれど、今年も11月にこの曲を聴けることが幸せだ。オーディエンスとその幸せを分かち合った4人は、始まりの瞬間と同じようにドラム台に集まり、お互いに目線と呼吸を合わせて本編最後の一音を鳴らした。


大喜多がMAN WITH A MISSIONのTシャツを着て現れたアンコール。ツーマンとは思えないほど、ステージにも客席にも笑顔が溢れるアットホームな空間が広がっていた。

「ツアーして良かった! 今日ももちろんそうなんだけど、各所に強敵を揃えたので。ドキドキしてたけど、Nothing’s Carved In Stoneはこのツアーを経て成長したと思います。感謝しかない。どこかでこれを返していきたい」──村松拓

と清々しい表情の村松が語り、「2月24日、武道館やります!」と意気込みを覗かせる。ここから続く道を示しながら、最後に珠玉のミディアムチューン「Shimmer Song」を贈り、ツアーは大団円を迎えた。一人ずつ深々と頭を下げてステージを降りた4人を、鳴り止まない拍手と大歓声が讃えていた。


バンドの結束と強さをより確かなものとし、15周年イヤーを噛み締めているNothing’s Carved In Stone。2度目の武道館に向けて、さらにその先の未来に向けて、一歩ずつ進んでいく彼らから目が離せない。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎RYOTARO KAWASHIMA/Daisuke Sakai(MAN WITH A MISSION)

■<Nothing's Carved In Stone 15th Anniversary Tour -Hand In Hand->11月19日(日)@Zepp DiverCity(TOKYO)セットリスト

【MAN WITH A MISSION】
01. Emotions
02. Dive
03. yoake
04. Raise your flag
05. INTO THE DEEP
06. Remember Me
07. 絆ノ奇跡
08. FLY AGAIN -Hero's Anthem-
【Nothing's Carved In Stone】
01. Isolation
02. Like a Shooting Star
03. You're in Motion
04. Lighthouse
05. Rendaman
06. ツバメクリムゾン
07. Milestone
08. Music
09. Spirit Inspiration
10. Out of Control
11. November 15th
encore
12. Shimmer Song


■<Nothing's Carved In Stone 15th Anniversary Live at BUDOKAN>

2024年2月24日(土) 日本武道館
open16:30 / start17:30
▼チケット
指定席:8,200円(税込)
学割指定席:6,200円(税込)
ファミリー指定席:“親”8,200円(税込) / “子供”6,200円(税込)



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