【インタビュー】ミイナ・オカベが語る、月9ドラマ『ONE DAY』主題歌と75億回再生のヒット曲「日本語の曲を日本でリリースするという挑戦」

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デンマークはコペンハーゲンを拠点に活動するシンガーソングライターミイナ・オカベの新曲「Flashback feat. Daichi Yamamoto」が、フジテレビ系月9ドラマ『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』の主題歌として話題だ。同楽曲をはじめ、代表曲「Every Second」やオリジナル最新曲など全6曲を収録収録した日本独自EP『Flashback EP』が11月10日にリリースされた。

◆ミイナ・オカベ(Mina Okabe) 画像

デンマーク人の父と日本人の母を持ち、コペンハーゲンのベッドルームから放たれるドリーミーで郷愁を誘う曲と、柔らかなペールトーンの歌声が印象的な22歳。2021年に発表したデビューアルバム『Better Days』収録の「Every Second」は、SNSを中心に世界で75億回再生を超えるヒットを生み出した。そのミイナ・オカベがオリジナル曲として初めて日本語で歌唱するのが、小袋成彬がトラックメイクとプロデュースを手掛けた「Flashback feat. Daichi Yamamoto」となる。シンガーとして新たな試みも盛り込まれたという今作の制作にどのように向き合ったのか、来日中のミイナ・オカベに話を聞いた。


   ◆   ◆   ◆

■短期間でいろんな物事が決まって
■自分でもクレイジーだなと思う(笑)


──今回は『Flashback EP』リリースのためのプロモーション来日となりますが、日本に来るのはどのくらいぶりですか?

ミイナ・オカベ:いつぶりだろう? 今年はいつもよりも日本に来る機会がかなり多いんです。それはもちろん音楽の仕事を通してのものなので、本当に嬉しく思っています。

──「Flashback feat. Daichi Yamamoto」のレコーディングは日本で行ったのですか?

ミイナ・オカベ:そうです。ただ、今作のプロデューサーの小袋成彬さんはロンドン在住なので。小袋さんとはリモートで会話をしながら制作していく感じの作業でしたね。そうすることで、しっかりとコミュニケーションを深めてレコーディングできましたし、結構自由にやらせてもらえたんです。自分にとってナチュラルな形で歌うことができたのはよかったですね。

──「Flashback feat. Daichi Yamamoto」はミイナさんにとって、初の日本のドラマ主題歌であり、日本語での歌唱やコラボも初だそうで。いろんな初が重なる曲になりました。最初にドラマ主題歌を歌うというオファーがきたときはどう思いましたか?

ミイナ・オカベ:まず驚きましたし、すごく興奮しました。何より、日本人である母にそのことを伝えたときに、すごく喜んでくれたんですよね。私は普段デンマークに住んでいるんですけど、たとえば、ラジオで初めて私の曲がかかったり、デンマークの誰もが知っている会場でのライブが決まったときは、デンマーク人の父がものすごく喜んでくれたんですけど、正直母はあまりピンときていないこともあったんです。今回は初めてそれが逆転した形で。母が大興奮して、父があまりよくわかってないという展開でした(笑)。


──実際、主題歌の話が決まってからは曲やトラックはどのように進行したんですか?

ミイナ・オカベ:すごく短期間でいろんな物事が決まっていって。曲もすぐに届いて、すぐにレコーディングが始まったという感じだったんです。すべての進行がスピーディだったので、自分自身、頭の中が整理できていない状態のまま、「Flashback」を歌っていたという感じ。自分でもすごくクレイジーだなと思うんですけど(笑)。

──これまでのミイナさんの曲とはまた違った雰囲気で、ご自身も新鮮さがあったと思いますが、実際にトラックがきたときの第一印象は?

ミイナ・オカベ:そうですね、新鮮でした。もともとジャズっぽい曲だとは聞いていたんですけど…ジャズっぽいものと言ってもいろんな解釈ができるので、どういうものになるんだろうなってすごく興味津々で、ワクワクしていたんです。実際に届いたトラックを聴いて、すごくいいな、クールだなって思いました。今まで自分がリリースしてきた曲とはタイプが違うんですけど、でも同じ世界観ではある。それが嬉しかったですし、さらにDaichi Yamamotoさんの声がのった感じもすごくよくて。

──トラックのメインとなるピアノの細やかでリズミカルなフレーズが印象的で、そこにああいうゆったりとしたメロディが乗るとは、という意外性もあって。小袋さんのトラックと、ミイナさんの歌と、Daichi Yamamotoさんのラップ、3者の絶妙なバランスの心地よさで成り立っていると感じます。実際メロディや歌のディレクションはどういうものだったのでしょう。

ミイナ・オカベ:トラックが届いた段階から、“これは即興でいろいろできそうだな”と思っていましたね。私自身、フリースタイルで歌うことや、インプロヴィゼーションも好きなので。実際にスタジオに入ったときも、プロデューサーの小袋さんから「ここは自由に歌ってみて」というディレクションも少なくなかったので、メロディに自分自身の味を加えることができてよかったですし、楽しかったですね。やっぱり自分の作品としてリリースするものは、自分らしさがあることが大事だから。今回はコラボレーションということもあって、これまでの自分の制作プロセスとは違うところがたくさんあったんですけど。その中でも一番のチャレンジは歌詞が日本語であること、日本語で歌うことでした。


──やはり英語で歌うときと日本語で歌うときではメロディの乗せ方や、ニュアンスの表現が異なりますか。

ミイナ・オカベ:そこはいつもとはだいぶ違うというか。通常のレコーディングでは自分にフィットする感じとか、歌っていて気持ちのいい流れを大事にするんです。だけど今回は、日本語の発音だったり語感だったりとか、気にかけないといけない要素が普段よりたくさんあって。そこはチャレンジだったかなと思います。でも慣れ親しんだ枠を飛び出して、日本語の曲を日本でリリースするという挑戦ができたのはよかったですね。

──実際にドラマがスタートして、主題歌として「Flashback feat. Daichi Yamamoto」がオンエアされて、ご家族や日本にいる知り合いからの反応はどうしでした?

ミイナ・オカベ:レコーディングした曲をもらったとき、まず最初に母に送ったんです。というのも、母は本当に正直すぎるんじゃないかってくらいの辛口批評をするので(笑)。その母が聴いて「いい!」と言ってくれたから、すごく安心できたんです。その後、日本にいる祖母や叔父が聴いたときにどう感じるかなっていう緊張はあったんですけど、基本的にはみんなからいいレスポンスがあったので、今ほっとしています。

──ちなみに、お母さんは音楽に詳しい方なんですか。

ミイナ・オカベ:そうですね。母の場合は、日本語の発音に関するアドバイスが多いんですし、彼女自身いろいろな音楽を聴いています。曲ができると、私はまず家族に聴いてもらうことが多いですね。いろんなフィードバックがあって、その時々で、意見を受け入れるときと無視するときもあるんです(笑)。

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