【ライブレポート】ACIDMAN、<This is ACIDMAN>東京公演に感動「広い宇宙の中で、あなたはあなたしかいない」
ACIDMANが10月30日、Zepp Hanedaにて<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2023”>の東京公演を開催した。同ライブのオフィシャルレポートをお届けしたい。
◆ACIDMAN 画像34点
“<This is ACIDMAN>とは何か?”──それは25年以上にわたるバンドの歴史を振り返り、タイトルどおり“これがACIDMANだ”と自他ともに認める代表曲で構成される特別なライブだ。“セットリストの事前公開” “ファン投票1位の楽曲披露”という仕掛けも、通常ライブとは異なり、ステージへの期待感をさらに煽る。
2021年の初開催から3年目となる2023年10月30日の東京・Zepp Haneda公演は、ACIDMANのメジャーデビュー21年の記念日。フロアは満員、熱気は十分、祝祭の準備は万端だ。
「<This is ACIDMAN>へようこそ。最高の夜にしましょう!」──大木伸夫 (Vo, G)
わかっていても身体が動く、心が躍る。1曲目から「to live」「造花が笑う」「FREE STAR」と、いきなりのキラーチューン3連発。佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)のリズム隊は鉄壁の安定感、そして大木伸夫の存在感は圧巻。最後までもつのか?と思うほど激しく叫び、弾き、多彩なエフェクターを操り、スリーピースの枠を超えた豊かな音像を紡ぎ出す。しばらくACIDMANのライブは見ていないという人に教えてあげたい。ライブバンドACIDMANのステータスは、未だかつてない高みへ到達している。
「自由に楽しんで、最後は一つになって、音楽っていいなと思う、そんな夜をみんなと紡げたら最高だなと思います。楽しんでいってください」──大木伸夫
続いてのセクションは、「Rebirth」から「スロウレイン」へ、さらに「赤橙」から「リピート」へ。軽やかに踊れる曲からメロディアスで劇的な曲調を連ねて、オーディエンスを大きく包み込む。「リピート」アウトロでの3つの楽器が激しくぶつかり溶け合う展開は、まさに音の化学反応と呼ぶにふさわしい。クライマックスは、アコースティックギターの爪弾きが息を呑む劇的なロックバラードへと展開する「季節の灯」と、一人でゆっくりと歩きだすようなリズムが力強い行進へと進化する「アルケミスト」だ。まばゆく白い光がステージから溢れ出す。シンプルで強い演出が、壮大な楽曲によく映える。
“一つの音階、一つのコードから生まれた曲が、どうしてここまで豊かになれるのか?”──「彩-SAI-(前編)」も「Λ-CDM」も、「一つの響きから曲が生まれる」という大木の曲作りのプロセスを、目の前で辿り直すような興奮を味わえるインストゥルメンタル曲だ。「彩-SAI-(前編)」はゴッホを思わせる激しい色彩のアニメーションが、「Λ-CDM」では「素粒子を可視化したイメージ」だという動く抽象画のような不思議な映像がビジョンに現れる。これは何回見ても新鮮なのだから、初めて観る人にとっては視覚も聴覚も相当に刺激的なはずだ。ちなみに「彩-SAI-(前編)」は2022年に行われた<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>のテーマソングであり、ACIDMANのステージを中心に構成された映像作品『SAI 2022 Live & Documentary FILM』のリリースも11月26日に決定している。
「僕らがいる銀河には3000億個の恒星があって、宇宙には銀河が二兆個あるんです。広い宇宙の中で、あなたはあなたしかいない。それは奇跡だと思います。苦しい時には、自分は自分しかいないと思ってください。ただ生きてるだけでいい。毎日感謝しながら、この命を大事に生きていってほしいと思います。」──大木伸夫
いつもの大木の宇宙話が始まったと笑いも起きていた客席が、思わず引き込まれて静かになる。それもまたいつもの出来事だが、変わらぬメッセージを伝え続けることがACIDMANの大きな魅力。大木伸夫の創作の源泉である宇宙観と生命観を固体化した結晶のように、時代を超えて揺るぎない輝きを放つ。「ALMA」はそんな曲だ。ビジョンに映る広大な星空が限りなく美しい。
続く「ファン投票リクエスト枠」で選ばれた曲は、約8年ぶりに演奏するという「EVERLIGHT」。「もちろん大好きな曲だが、今ぐらい盛り上がると思ってた」と、「当時はライブであまり手ごたえを感じられなかった」と、歌い終えた大木が笑う。演奏される機会が減ってしまった楽曲がファンの手で蘇る、これもまた<This is ACIDMAN>ならではの名場面だ。
後半戦に入る前の大木のMCは感動的だった。楽曲に合わせる映像に歌詞を乗せるタイポグラフィ、という技法の専門家だったスタッフへの追悼の言葉。誰にでも必ず死は訪れる。だったら思い切り生きてみようという大木の気持ちを乗せた「世界が終わる夜」は、これまで聴いたどの「世界が終わる夜」よりエモーショナルで、ビジョンに現れては消えるタイポグラフィの一つ一つが心に沁みた。大木の声が感極まって震えているように感じた。珍しいことではないが、ここまで感情が入った姿は久々に見た気がする。たとえ同じセットリストでも伝わるものがまったく違う、“This is LIVE”、“This is ACIDMAN”。
「たった一瞬の命。あなたのために、自分自身のために、もっともっと輝いてください」──大木伸夫
最後のセクションは完全にスイッチが入った大木を先頭に、「夜のために」「ある証明」「飛光」の爆速ロックチューン3連発で完全燃焼。普通のライブならここでフィナーレだが、まだ重要な曲が残っている。「廻る、巡る、その核へ」だ。それは壮大な命の輪廻の物語を、短編映画に匹敵するハイクオリティのアニメーション映像と音だけで描き切る約11分の黙示録的大曲。この曲を体験するだけでもACIDMANのライブに来る意味がある。
「楽しい時間はあっという間。それでも人生は続きます。もっともっと上を目指していくので、これからもACIDMANをよろしくお願いします」──大木伸夫
アンコールは2曲。「式日」と「Your Song」の2曲を全力で演りきって、2時間半を超えるライブは笑顔と拍手の中で幕を下ろした。来年も<This is ACIDMAN>をやる計画があることと、今年は福岡と東京の二公演のみだったが数を増やすことも考えていることを、大木は約束してくれた。昔からライブに通い続けているファンも、しばらくご無沙汰していた人も、今ACIDMANに興味を持った新しいリスナーも、みんなに教えてあげたい。ACIDMANは進化し続けている。彼らのベストライブは常にまだ見ぬ次のライブだ。
撮影◎西槇太一/Victor Nomoto - Metacraft
■<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2023”>10月30日(月)@東京・Zepp Haneda(TOKYO)セットリスト
02. 造花が笑う
03. FREE STAR
04. Rebirth
05. スロウレイン
06. 赤橙
07. リピート
08. 季節の灯
09. アルケミスト
10. 彩-SAI-(前編)
11. Λ-CDM
12. ALMA
13. ファン投票楽曲 - 福岡:コーダ/東京:EVERLIGHT
14. 世界が終わる夜
15. 夜のために
16. ある証明
17. 飛光
18. 廻る、巡る、その核へ
encore
en1. 式日
en2. Your Song
▼<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2023”>公式セットリストプレイリスト
https://linkk.la/thisisacidman2023
■『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」 Live & Documentary FILM』
2023年11月26日(日)発売
【DVD2枚組】PROV-3075/6 7,700円(税込)
特典:フルHD画質映像視聴パスワード付き ※発売日より1年間有効
▼<DAY-1(DISC1)>収録内容
2022.11.26(Sat.)
・Documentary FILM
・ACIDMAN Live
●ARTIST ※出演順
東京スカパラダイスオーケストラ
DOPING PANDA
SiM
back number
氣志團
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+
MAN WITH A MISSION
ストレイテナー
Dragon Ash
ACIDMAN
●STAGE MC ※出演順
ジョージ・ウィリアムズ
藤田琢己
ジョー横溝
岩尾望(フットボールアワー)
▼<DAY-2(DISC2)>収録内容
2022.11.27(Sun.)
・Documentary FILM
・ACIDMAN Live
●ARTIST ※出演順
THE BACK HORN
sumika
the band apart
マキシマム ザ ホルモン
BRAHMAN
ASIAN KUNG-FU GENERATION
ELLEGARDEN
10-FEET
Mr.Children
ACIDMAN
●STAGE MC ※出演順
Boo
ダイノジ
大抜卓人
斎藤工
■『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」Live & Documentary FILM』リリース直前先行上映会
11月24日(金) ユナイテッドシネマ豊洲
open18:30 / start19:00
内容:DAY-1収録内容上映/ACIDMANメンバー登壇舞台挨拶
▼DAY-2上映
11月25日(土) ユナイテッドシネマ豊洲
open13:30 / start14:00
内容:DAY-2収録内容上映/ACIDMANメンバー登壇舞台挨拶
※本編約2時間15分、登壇舞台挨拶25分予定
▼チケット
¥4,000(税込/全席指定)
※3歳以上有料/3歳未満で座席をご使用の場合は有料
※プレイガイドでチケットをご購入の際は、チケット代以外に各種手数料がかかります。
一般発売:11月18日(土)18:00〜
イープラスにて ※無くなり次第終了
【ACIDMAN MOBILE会員/オフィシャル先行(抽選)】
受付期間:11月1日(水)18:00〜11月8日(水)23:59
※同時受付となりますが、抽選および座席に関しては「ACIDMAN MOBILE」会員先行が最優先となります。
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