【インタビュー】ODDLORE、ワンマンライブを経て感じた成長。初セルフプロデュース曲に込めた思い
■より良いライブをお届けできると思います
──作詞のスタイルにも個性が表れています。自分以外の歌詞を見た時、皆さんどんな感想を持ったのでしょうか。
RION:KOYAは、一番“ODDLOREのKOYA”というものを意識して書いてくれているんやろうなって思いました。出だしからKOYAのモチーフでもある“錆びた王冠”にちなんだ言葉を使っていますし、最初の方は逆張りっぽくなっているのもらしいですよね。ちゃんとODDLOREのストーリーライン上に乗せてくれている気がしています。「O・D・D・L・O・R・E」と入れてくれているのも、そうですよね。
KOYA:ODDLOREというワードは入れたいと思っていたんですけど、語呂的にあまりしっくり来なくて。じゃあ分けてしまおう、と。
RYUICHIRO:「俺ら」っていう言葉を使っているのもいいよね。他のメンバーは自分のことを書いているけど、KOYAは「六者六様」とか「俺ら」とか、メンバーのことも含めてくれています。
KOYA:RYUICHIROが言ってくれたように歌詞を書く上で「グループとして」ということは意識しました。一応リーダーなので、「全員で」というニュアンスは踏まえましたね。
──お次はJOSHさんですね。
YUI:僕はJOSHって1番矛盾を持っている人だと思っているのですが、それが歌詞に表れていると思いました。例えば「I must get the freedom」の部分。「freedom」なのに「must」を使って義務という対のニュアンスが入っているのがすごくないですか? そういうのが随所にあるんです。「叩き上げるData」も、「Data」という精密なものと「叩き上げる」という動作は結びつきにくいのに組み合わさっていて。僕は意味が近い言葉で括ってしまうので、衝撃的でした。かなりのパンチラインだと思う。
JOSH:そこまで深く考えてなかった(笑)。僕、人は一生自由になれないと思っているんです。そういう部分が出たのかもしれません。
RION:歌詞を見ると、JOSHは変態だなって思います。
KOYA:音の詰め込み方を聞いた時、俺もそう思った。「その詰め込み方、お前しかできないから!」って気持ち悪さすら感じました(笑)。
RION:トラックは6分間ずっと一緒なんですけど、JOSHのバースは僕がそのトラックを聴いていても出てこないリズムが多くて。「mmの誤差もない的外さぬ真髄 社会の檻よりDivin' into digital」のところ、めっちゃ好き。自分じゃ絶対出てこない。それに歌詞そのものも、矢印が全部自分に向いているエゴイストな感じがして変態やなって。良い意味での変態さを、リズムと歌詞からひしひしと感じます。
RIKITO:それにこれを歌い切れるリズム感と滑舌もすごいよね。
JOSH:意外とみんな見てくれているんだ。他の人がポジティブなことを思ってくれるのは嬉しいです。
──次はYUIさん。
JOSH:最初、声だけ聴いた時に何を言っているかまじでわからなかったんですよ。
YUI:おい(笑)!
JOSH:良い意味でも、悪い意味でも1回目から聞き取れる人はいないはず。例えば冒頭の「紡ぐ理想」とか「ロマンとエゴ」とか。言葉のチョイスが独特なんですよね。
RION:情緒的なんです。韻の踏み方が独特で、歌詞をしっかり見ると文学の世界観も感じられて面白いですよね。後半パワフルなYUIが見られるのも好きです。
KOYA:わかる。歌詞っていうより、小説っぽい感じがする。YUIの歌詞だけは小説を読んでいるような感覚になるのが面白いな、と。今回はHIP HOP調のビートって決まっていましたが、違うジャンルだったらもっと面白くなりそう。可能性を感じさせてくれたので、すごいなと思います。
RIKITO:台詞っぽい歌詞をそのまま音に乗せるのはYUIらしいよね。
YUI:今みんなの話を聞いていて、自分が出ちゃってるなって思いました。この曲に関しては小説っぽさを出さないようにしようと思っていたのですが、上手くいかなかったですね。それが最初に言った音楽への解像度を高めたいっていところにも繋がっていて。自分を出さないようにしようとしても、こうやって出ちゃうんですよ。型を1つしかもっていないから。小説っぽいという自分の持ち味は別のところで活かしたかったですね。
KOYA:でも味付けとしては最高よ? 順番的にも完璧。
RION:まじでそう。僕、YUIと自分の歌詞が1番正反対だなと思っているんです。YUIの歌詞はディストピアでグロテスク、僕はユートピアで清楚。だからこういう歌詞を書けること自体がすごい。僕では出せない味が出ていると思います。
YUI:多分、RIONって思考や目線が未来を見ているんです。でも僕は今この瞬間しか見えていなくて、しかもあまり良いことじゃない部分しか見れない。そういう部分が歌詞に出たんだと思います。
──それもオリジナリティの一つですよね。そしてRIKITOさんのバース。
KOYA:これも、RIKITOにしか出せないですよね。めちゃくちゃ大雑把にまとめるとすると、RIKITO以外の5人ってわりと似ているんですよ。けどRIKITOはRIKITOにしか出せない味があって、初めて聴いた時に「クーッ!」って思いました。RIKITO自身が耳心地のいい曲が好きだからこそ、RIKITOから出る音楽も耳心地がいいんですよね。
RION:多分なんですけど、この6人の中でRIKITOだけ歌詞より先にメロディラインから考えている気がしていて。それくらいメロが印象的。RIKITOバースの入りのところは必聴です! 順番は6人中4番目やけど、そこを聴いたらポケモンでいう四天王のラスボスが出てくる感じ(笑)。
RIKITO:RIONが言う通り、メロディで変化を付けたかったのでメロから考えました。
RYUICHIRO:RIKITOってたくさん疑問を抱えるタイプなんですよ。よく「なんで?」「どうして?」って言っていますし。それが歌詞にも出てますよね。RIKITOだけ歌詞に「?」が使われていますから。
RION:KOYAの一番最初にも「?」あるよ……。
KOYA:ごめん、消しとく(笑)!
RYUICHIRO:本当だ(笑)。でも、KOYAのは言わせたい「?」じゃん! RIKITOのは質問の「?」だから!
RION:たしかに(笑)。あと、歌詞もキャッチーですよね。キャッチーの真髄かもと思ったのが、リピート。同じ言葉を2回続けて意味合いを深めているから、頭に残りやすい。リピートを使っているのもRIKITOだけかな。
RIKITO:KOYAの「O・D・D・L・O・R・E」……。
RION:ほんまや! みんなの聴いて良いところ吸い取ったやろ(笑)?
RIKITO:吸い取ってはないけど、このトラックでラップするなら、みんな言葉をめっちゃ詰めるだろうなって思っていたので、僕は歌詞を短くして音で変化をつけることにしました。順番的にも4番目って埋もれやすいので、差別化は意識しましたね。それにラップって日本の歌謡曲や海外のR&Bに比べると聞き取りづらいじゃないですか。なので、ラップでありながらも聞き取りやすいようにメロを付けたり、言葉数を少なくしたいなという思いもありましたね。
──次はRYUICHIROさんのパートです。
YUI:趣味や好きなものがわかりやすく反映されていますよね。「かりぐらし」とか「酒、ハーレー」とか。好きなものが被っている人にとってはより共感できそうな歌詞になっているし、人となりが一番見えると思います。
JOSH:僕、「タバコの煙とかすかに混じるため息」が好き。彼のため息って、結構大きいんです。「はぁ〜」ってちゃんと声に出すので(笑)。かすかに混じるため息ってことは、相対的に見て煙がめっちゃ多いってことですよね。めっちゃタバコ吸って書いてたんだなって。ストーリーを見ても、好きなものと共にいるけどストレスや葛藤、思いを抱えながらタバコで解消している感じがします。そんな戦っている様子が僕は好きです。あと、大文字と小文字の使い方もいい。「we’re the shining star」って全部小文字で控えめじゃないですか。その後の「SIZE」はやたらデカくて、「rhyme」はちっちゃい。目で見ていても面白いです。
RYUICHIRO:「SIZE」は、僕は背が小さいので虚勢を張る意味も込めてあえて大文字にしました。「we’re the shining star」は、普段そんなことを大きな声で言えないから小文字。「High-five」は、照れがあるから頭だけ大文字にしてみました。そういうのは一応考えていて、気付く人がいればいいなって。
──JOSHさんは知っていたんですか?
JOSH:知らないです。今初めて聞きました。逆に僕は大文字小文字、ピリオドなどの使い分けを超厳密にやる人間なので、RYUちゃんの詩的な表現が良いなと思っていて。美しいですよね。
RION:愛嬌があるよね。歌詞だけ見ると男っぽくて無骨で、RYUちゃんの声的にもそっち方向。でも、歌詞を見た時にこういう伏線が張ってあるのはかわいらしいし、面白いです。
RYUICHIRO:ちなみにJOSHが言っていた「タバコの煙とかすかなため息」の部分、あれは本当にタバコを吸いながら書いた歌詞です。煮詰まっている時にタバコを吸って、「はぁ〜」って言った時に、「これ、歌詞にしよう」って書きました。
──JOSHさんの考察力、さすがです。最後はRIONさん。
RYUICHIRO:RIONは「自分を見てほしい」という思いが強いメンバーなんですが、それがめちゃくちゃ出ています。歌い出す前のクラップのところから歌詞を入れていて、最初僕の「BEGINnow!!」とちょっと被ってましたからね。「BEGINnow!!」ってちょっと余韻があるんですよ。でもRIONの声でかき消されてた(笑)。
RION:許して!(笑)
YUI:僕、RIONのバースは某夢の国みたいだなって思ったんです。あれっていろんなエンタメが入っていて、しかも全部ハイクオリティで、完璧なパッケージじゃないですか。それに近いものを感じるんです。リズムも表だけじゃなく裏で取ったり、日本語と英語のバランスが良かったり、「ネトフリ」みたいなキャッチーなワードが使われていたり、低い音もあれば高い音もある。RIONのことを初めて見る人にもわかる要素も、RIONを知らないとわからない要素も含まれていますし。
──ちなみにRIONさんを知らないとわからない部分とは?
YUI:「四苦八苦から Big Smile」。RIONってずっと笑顔だし悲観的なところを見せないようにしているけど、歌もダンスも突き詰めてやっているからこそ1人になった時に「もうやりたくない」って思うこともあると思うんです。そういった苦悩があるけど笑顔を見せているってRIONを理解できていると、より深く消化できるのかなって。そう言えば、「B1 to 3WX」って何?
RION:B1はここ(取材場所でもある地下にある練習スタジオ)やで。3WXはWWW X。石の上で3年間練習生して、半地下のスタジオを経てWWW Xに来たっていう意味。
YUI:車の名前かと思ってた。
KOYA:気づいてなかったの!?
YUI:やばい……。
──私もわかりませんでした(笑)。
RION:B1ってわからないですよね。でも、こここそYUIが言っていた僕を知らないとわからない部分なのかもしれません。
YUI:俺がB1を気づかなかったのはやばいかも(笑)。
KOYA:それと、RIONの歌詞からは育ちの良さを感じます。言い回しや言葉選びが上品というか、育ちが良いんだなって。
RYUICHIRO:人を傷つけない悪口っぽさもあるよね。
一同:ある!
RYUICHIRO:JOSHはストレートにいうけど、RIONはオブラートに包まれてる。
KOYA:ステレオタイプの京都人っぽい(笑)。
RION:あはは(笑)! みんなが言ってくれたこと、めちゃくちゃ合ってますよ。YUIが言ってくれた色々詰まっているみたいなことも、僕の性格上偏るのが苦手なんです。多分いろんな要素を分解していくと30%ずつくらいに分かれているはず。ピッチも下から上に上っていくように作りました。それが伝わっているのは嬉しいです。
──それぞれの個性が色濃く出ている歌詞に注目ですね。そして、12月10日は<ODDLORE CYPHER RELEASE LIVE>も開催されます。
YUI:この日は、先程も言った音楽との距離が縮まった自分が見せられると思っています。
RION:9月9日のワンマンよりもチーム力を上げて挑みたいです。
RIKITO:表現の幅も広げられるように、アイデアを膨らませたいよね。そのために今、インプットもたくさんしています。
JOSH:あとは、何度もライブをやらせていただいているClub Mixaだからこそ、よりプロ感を出せるライブになるはず。
RYUICHIRO:<ODDLORE FREE LIVE -Under Test->でClub Mixaを埋めることができなかった公演もあったので悔しい思いをしたこともあります。なので今回はそのリベンジ。あとは「踊らないかっこよさ」を出していきたいです。ちょっとした手の動きなんかでもかっこよさが見せられたらなって。
KOYA:今メンバーそれぞれ自分の得意を伸ばしているところなので、9月9日のワンマンよりも良いライブをお届けできると思います。期待していてください!
取材・文◎高橋梓
写真◎YOSHIHITO KOBA、KOKI KARITA
「ODDLORE CYPHER」
配信リリース日:11月10日(金) 0時(11月9日(木)24時)
作詞:ODDLORE 作曲・編曲: HIMURO Yoshiteru
STREAMING/DL:https://oddlore.lnk.to/CYPHER
<ODDLORE CYPHER RELEASE LIVE>
昼公演 OPEN13:00 / START 14:00 ・ 夜公演 OPEN 18:00 / START 19:00
※各公演終了後特典会実施
会場:池袋Club Mixa
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目14-3 B2F
チケット情報:
一般チケット:2,000円(税抜1,818円)
※入場時、各部終演後実施予定の特典会に参加可能な特典券を1枚お渡し
3名まとめ買いチケット:4,500円(税抜4,091円)
※入場時、各部終演後実施予定の特典会に参加可能な特典券を5枚お渡し
・チケットスケジュール:
【先行抽選】10月20日(金)20:00〜11月5日(日)23:59
【一般発売】11月10日(金)20:00〜
※本公演は座席制での開催
主催:キングレコード株式会社 / パルス株式会社
企画:EVIL LINE RECORDS / Dazed
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