【インタビュー】SPECIAL OTHERS、音のコミュニケーションが自由で温かく風景や物語を想像できる『Journey』
■音楽って本当は直感なんですよ
■理論があれば自分が出したい音に近づけるっていうだけで
――音楽を聴いた時の本当の根本にあるのは「なんかわかんないけどワクワクする」っていうようなことなんですよね。スペアザを聴くと、そういうことを再確認できます。
芹澤:人物像や何を描いているのかが具体的だったり、哲学的なことを描いている歌詞の音楽も素敵な文化ですし、そういう楽しさもあるんです。そういう音楽は頭で理解しながら聴くわけですけど、ずっと続けていると疲れる瞬間が来ると思うんです。そんな時に俺らの音楽を聴いて欲しいですね。台所仕事とかをしながら適当に流していたら多分リラックスできますよ。
▲又吉“SEGUN”優也
――再び悪口っぽい発言になってしまいますが……スペアザを聴く時に気合を入れて聴く感じに一切ならないんです。その理由は、そういうことなんでしょうね。
宮原:褒め言葉です(笑)。
――(笑)。「Apple」も直感で楽しめる曲です。
宮原:この曲を聴いて「『ふぞろいの林檎たち』みたいだな」って思ったんです。ドラマ自体は観たことないんですけど(笑)。
柳下:イギリスとかヨーロッパの雰囲気を感じたりもして。ビートルズの時代のロックバンドの演奏している音楽みたいな感じなのかなと。ビートルズはアップルレコードだからそこも繋がりますし。
又吉:こういうのもインストの良さですね。曲を聴いた時に浮かぶイメージが人によって変わるので。
――スティックカウントから始まる「Bluelight」は、生の臨場感で満ち溢れていますね。
宮原:生演奏しているっていうのが、こういうのからも伝わるのかも。オーバーダブとかもしないので。
柳下:過去には別録りを試したこともあったんですけど、結局一発録りに回帰しました。
――「Bed of the Moon」は、4人の演奏の絡み合いにワクワクします。
宮原:これは隠れ名曲というか。まだみんな気づいてないと思っているんですけど、すっごい良い曲なんです。今回の一推しくらいの良い曲です。
柳下:ライブでやり続けたらさらに化けていきそうです。
――どことなく和的な雰囲気を感じます。
芹澤:ちょっとヨナ抜き的な音階なので。今回、個人的には和的なものをちょっと意識したんですよね。これから海外の人にも聴いてもらえるようになりたくて。自分の中から自然に出てくる和的なものをちょっと強調すると、海外の人にとって新鮮なエキゾチックな感じになるんじゃないかなと。
▲柳下“DAYO”武史
――最近はSpotifyとかでいきなり海外でバズったりするケースがありますからね。
又吉:僕らのYouTubeのコメントに海外の人からのものもあったりするので、少なからず聴いてくれているんだなと感じています。
芹澤:音源は既に楽しんでもらえているので、海外でのライブもやってみたいですね。
――「Falcon」とか、アンデス山脈でぜひ演奏してください。
宮原:酸素が足りなくなりそうだけど(笑)。
――この曲は、ピッチベンドレバーを使った鍵盤のウニョウニョした音が印象的です。
芹澤:最近、不安定な音が自分の中でブームなんです。あの音を使ってみたいという目的だけでこの曲でやってみたんですけど、めちゃくちゃ嵌りましたね。「ピッチを揺らす」って人間味というか、感情表現の1つだと思うんですよ。昔のアイドルもちょっと音がフラットしていたりしますし、そういう気持ちよさにも近いのかなと。
――ファッションや絵とかもそうですけど、外すからこそ生まれる色気みたいものってありますよね?
芹澤:ありますね。
――音楽だとブルーノートとかが、そういうことだと思いますが。
宮原:そうですね。
柳下:12音階ってたまたま西洋音楽が定めただけなんです。インドネシアとか、国によって別の音階がありますし、不協和音を楽しむっていうのもありますからね。
――ブルーノートは「敢えての外し」みたいなニュアンスですから同列では語れないですけど、アイドルの「本当に外しちゃった」を的確にプロデュースして活かすと色気に繋がるのは音楽の面白さです。
宮原:ブルーノートは大先輩たちが完全に使いこなしていて、我々はひたすら勉強するのみですけど、「頑張ったけど届かなくて音を外した」みたいな良さも大事にしたいですね。
――「正確=良い」というわけではなくて、決め事があるようでなかったりするのが音楽ということでしょうか?
宮原:そうなんです。大天才のジェイコブ・コリアーが、「基本的に理論というものはあるけど、一度も必要だと感じたことはない」って言っていたんです。それが全てを表していると感じています。音楽って本当は直感なんですよ。理論があれば自分が出したい音にちょっとだけ近づけるっていうだけで。
――セオリーという土台を踏まえつつ、そこからいかに自由になるのか? それがセンスなんでしょうね。
宮原:そうなんだと思います。まあ80年代のアイドルは、本当にただ音を外しちゃっただけなんですけど(笑)。
――(笑)。「Feel So Good」も感覚的に無邪気に楽しめる曲です。僕は勝手にスペアザ版ベンチャーズだと思って聴いているんですけど。
宮原:たしかに近いものはあるのかも(笑)。
芹澤:「ザ・頭を使わない曲」っていう感じもあります(笑)。
宮原:ドラムのキックとみんなのユニゾンがピタッと嵌るようなところがあるんですけど、そこもシンプルな気持ちよさがあるんですよね。
――「Feel So Good」と「Point Nemo」のMVは、今我々がいるスペアザのプライベートスタジオ『SPE STUDIO JAPAN』で撮影していましたけど、外部の人の手を借りないで何かをすることが増えていますよね?
宮原:はい。「Feel So Good」と「Point Nemo」の映像の撮影は専門のスタッフさんにお願いしましたけど、録音は自分がやりました。「めちゃめちゃ良い音でやりやすい」って、いつもお願いしているエンジニアさんのお墨付きをいただけて嬉しかったです。Logicというソフトで録ったんですけど。コロナ禍の期間は録音の勉強をすごくしたんです。毎晩スタジオに来て、ドラムを録ってみたりしたので。バンドの音ってドラムを録るのが一番難しくて、そこが勝負なんですよ。「Feel So Good」と「Point Nemo」の録音は、今まで勉強してきたことを活かせました。
――「Journey」は、アルバムのタイトル曲ですが、出来立てほやほやなんですか?
宮原:実は9ヶ月連続配信の中盤くらいの時期にできたんですけど、「アルバムのタイトル曲だな」っていうのを感じたので、出すのを後回しにしました。
――「Journey」のギターは、ブルージーなニュアンスが新鮮です
。柳下:自分史上、最もブルージーな音を使った曲かも。7thノートとかブルーノートを使っています。
――11月から始まる全国ツアーの機材車でこの曲を聴くと、「俺たちは今、旅をしてる」っていう感じになるんじゃないですか?
宮原:そうですね。
柳下:でも……俺たちは機材車では移動しないんですけど。
芹澤:新幹線です。
又吉:たまに「ここはツアーの行程上、車移動になるけど、いい?」みたいなことはありますけどね。
柳下:機材車移動は20代まででした。
宮原:体力の限界を迎えたので(笑)。
――(笑)。このアルバムは「Journey」で本編が終了して、10曲目の「Thank You」は、カーテンコールみたいな感じなのかなと聴きながら思いました。
宮原:これは「明るい曲を作ろう」って思って作った曲ですね。
――「みんなが大合唱している」っていう感じなのがスペアザらしいです。誤解を呼びそうではありますが、「スペアザは歌ものバンドです」って言っても違和感がないんですよね。
宮原:そうなのかも。歌心があると思うので。歌詞がないと制限がないので、メロディのリズムは作りづらいんです。「Thank You」もそこを考えました。「俺たちは歌詞がなくたってちゃんと大胆なメロディのリズムを作れるぜ」っていうリフになっていると思います。
――音を鳴らすのをすごく楽しめているバンドだと、今回のアルバムを聴いて改めて感じました。
宮原:そうだと嬉しいです。曲を作るのが毎回楽しいんですよ。今回のアルバムも思いっきり楽しめました。
取材・文:田中 大
リリース情報
2023.10.25 Release
価格:¥6,300 (税抜)/¥6,930(税込) /商品番号:VIZL-2175
収録内容:CD (10曲)+特典DVD (10曲)+特典CD (10曲)
[CD収録楽曲]
01. Fanfare
02. Early Morning
03. Apple
04. Bluelight
05. Bed of the Moon
06. Falcon
07. Feel So Good
08. Point Nemo
09. Journey
10. Thank You
[特典DVD「2023年 ニコニコの日全集『252510』」収録内容 (Music Video LIVE映像)]
01. Fanfare
02. Early Morning
03. Apple
04. Bluelight
05. Bed of the Moon
06. Falcon
07. Feel So Good
08. Point Nemo
09. Journey
10. Thank You
[特典CD収録内容「2023年 ニコニコの日全集『252510』」(Music Video LIVE音源)]
01. Fanfare
02. Early Morning
03. Apple
04. Bluelight
05. Bed of the Moon
06. Falcon
07. Feel So Good
08. Point Nemo
09. Journey
10. Thank You
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VIZL-2175.html
≪ 通常盤 ≫CD ONLY
価格:¥3,000 (税抜)/¥3,300(税込) /商品番号:VICL-65800
収録内容:CD (10曲) ※初回盤のCDと同内容
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VICL-65800.html
初回盤/通常盤いずれも初回生産分には「ジャケットステッカーシート」封入
9th ALBUM 『Journey』
2023.11.03 Release
アナログレコード盤(2枚組)
価格:¥5,500(税抜)/¥6,050(税込) /商品番号:VIJL-60305?6
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VIJL-60305.html
[アナログレコード収録楽曲]01. Fanfare
02. Early Morning
03. Apple
04. Bluelight
05. Bed of the Moon
06. Falcon
07. Feel So Good
08. Point Nemo
09. Journey
10. Thank You
11. Session1222
ライブ・イベント情報
12月16日(土) OPEN/START 16:00/17:00
会場:横浜Bay Hall
(横浜市新山下3-4-17)
チケット:前売 スタンディング5,000円(税込、整理番号付、ドリンク代別)
当日 スタンディング5,500円(税込、整理番号付、ドリンク代別)
チケット発売日:10月28日(土)
ライブ・イベント情報
11月3日(金・祝) 仙台darwin
Info. ノースロードミュージック仙台
https://www.north-road.co.jp/
11月5日(日) 札幌cube garden
Info. ウエス https://wess.jp/
11月11日(土) 富山MAIRO
Info. キョードー北陸チケットセンター
https://www.kyodo-hokuriku.co.jp/
11月12日(日) 長野CLUB JUNK BOX
Info. キョードー北陸チケットセンター
https://www.kyodo-hokuriku.co.jp/
11月18日(土) 名古屋クラブクアトロ
Info. JAILHOUSE https://www.jailhouse.jp
11月19日(日) 浜松窓枠
Info. JAILHOUSE https://www.jailhouse.jp
11月23日(木・祝) 福岡BEAT STATION
Info. BEA https://www.bea-net.com
11月25日(土) 岡山YEBISU YA PRO
Info. YUMEBANCHI(岡山) https://www.yumebanchi.jp/
11月26日(日) 梅田クラブクアトロ
Info. YUMEBANCHI https://www.yumebanchi.jp/
12月9日(土) 那覇桜坂セントラル
Info.ピーエムエージェンシー https://www.pmnet.co.jp/home/
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