【インタビュー】神はサイコロを振らない、『心海』に貫くエゴとアート「コンセプチュアルなアルバムを」

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■アルバムはツアーがあってこそ完成される
■やっぱりお客さんの力が必要だなと


──″伝える”がアルバム全体のテーマだとすれば、ゲーム『FREDERICA (フレデリカ)』の主題歌として制作された「Division」も重要な曲なのかなと。『FREDERICA(フレデリカ)』は、世界から言葉を奪った王を探すため、ダンジョンの最深部を目指すRPGだそうですが、このゲームにインスパイアされて「Division」という曲が生まれたということで合っていますか。

柳田:そうですね。『FREDERICA (フレデリカ)』は言葉を失った世界が舞台のゲームですけど、僕らの生きる世界ではむしろ、言葉の力が良くも悪くも加速していっているように思うんですよ。政治家じゃなくても、有名人じゃなくても誰しもが発信も、拡散もできる時代で、SNSを開くと、人が攻撃しあったり傷つけあったりしているところが、タイムラインに流れてくる。僕は “みんなマジでどうしたの?”って思うんですよね、人を傷つけたり陥れたり苦しめたりするためじゃなくて、喜ばせたり笑わせたり感動させたり幸せにさせたりするために言葉を使えばいいんじゃないかと。だから、言葉の使い方をみんなに一旦考え直してほしい。『FREDERICA (フレデリカ)』のスタッフさんもおそらく同じ志を持っていたから、この時代にこういうテーマでゲームを作ったんだろうし、僕も、このゲームのテーマに呼ばれるようにして、歌詞を書いていきました。



──曲調に関しては、どのように考えていきましたか?

柳田:イントロで2本のアルペジオの絡みがあるんですけど、このギターリフはいつか使えるんじゃないかとずっと温めていたものなので、そこから広げていきました。あと、ゲームサイドからは「とにかく疾走感がほしい」という要望をいただいたので、疾走感をどう表現するかが一番大事なところでした。僕の歌は基本的にレイドバックしているので、神サイは、そもそも歌で疾走感を出すタイプのバンドではないんですよ。だからその部分をどの楽器に任せようかという研究を日々いろいろしているんですけど、今回はベースに任せてみました。

──確かにこの曲のベースは、高揚感を誘いますよね。譜割りが細かいわけではないと思うんですが。

桐木:今思い出したんですけど、昔、“ルート弾きだけでスゲーカッコよく聴かせたいな”と思っていたんですよ。小手先だけじゃないカッコよさを目標にしていた時期があって。いつのまにかそういうベースが弾けるようになっていたので、練習をし続けてよかったなと思いますね。

──ドラムに関しては、ベースを踏まえて考えていった感じでしょうか。

黒川:そうですね。ベースで疾走感を出すという話だったので、ドラムは、ベースが入ってきやすいように間隔を広く空けるようなイメージで。その間隔に桐木が入ってくることによって、ドラムとベースが一つの塊になって疾走するような感じをイメージしました。


▲吉⽥喜⼀(G)

──初期の神サイを彷彿とさせるポストロックではありますよね。それを今の神サイが鳴らしている面白さがあるというか。

吉田:初期っぽさもあるけど、当時とはまた違うところに行き着いたなと、完成した曲を聴きながら僕も感じました。なんでそんな未知のところに行けたのか、まだ自分の中ではっきりとした答えは出ていないんですけど、ある程度技術力が上がったというのもあるし、エモーションの表現方法が広がったんだろうな、とも思っていて。前までの自分は、エモいと言われたら、メロディアスであること、ドラマティックであることを想像しがちだったんですよ。だけど今の神サイには、シンプルなところから溢れ出るエモさがある。この曲は、ギターソロもそんなに難しいことをしていなくて。速弾きとかしているわけじゃないんですけど、“このギターソロを聴いたらきっとみんなアガってくれるだろうな”と想像しながら、弾いたんですよね。

柳田:僕も、今回歌い方をだいぶ変えたんですよ。ここ2~3年の神サイはキーの高い曲も多くて、昔だったら出なかった高い声もいつのまにか出るようになっていたんですけど、今回のアルバムでは、楽曲に呼ばれながら、初期っぽい歌い方を実験的に取り入れていて。頭のてっぺんから声を出すんじゃなくて、肩よりちょっと下の辺りで鳴っているようなイメージ。最近は“限界突破!”というテンションで歌うことも多かったですけど、今回はあえて逆行して、ちょっと落ち着いたトーンで歌ったりもしました。


──そうなると、ライブが気になりますね。熱量の出し方が変わってくれば、ライブの盛り上がり方やセットリストの組み方も変わってくる気がします。10月28日より、全国8都市でのホールツアー<心海パラドックス>が始まりますが。

柳田:ライブ、めちゃくちゃ楽しみです。ツアーが始まるのはもう少し先ですけど、今まさに仕込みまくっているところなんですよ。セットリストも全部決まっていますし。曲間のつなぎやSEも仕上がっていて。アルバムの曲たちがライブでどう化けるのか、ぜひ体感しに来ててほしいです。

桐木: このアルバムの制作を経て、4人とも音楽に対する姿勢がかなり変わってきたし、バンドとしてもっと良くなってきていると、みんな感じているところで。その状態でライブするのがすごく楽しみだし、絶対いいライブになるなと確信しています。

吉田:僕らのアルバムはツアーがあってこそ完成されるというか。自分たちにとってすごく自信のあるアルバムになりましたけど、このアルバムをさらに昇華させるためには、やっぱりお客さんの力が必要だなと思っています。だから、本当にライブに来てほしいという気持ちでいっぱいですね。

黒川:<雪融けを願う飛行船>のツアーファイナルで実感したんですけど、やっぱりお客さんの声が自分たちの力になるんですよ。今回のホールツアーでも、ぜひ一緒にライブを作りましょう。

柳田:それに今回のアルバムは、音源を聴いただけでは正解に辿り着けないようにできているんですよ。ホールツアーに来ると初めて分かることもあるので、答え合わせをしに来てください。

取材・文◎蜂須賀ちなみ

■2ndフルアルバム『心海』

2023年9月27日(水)発売
https://kamisai.lnk.to/2nd_alPR


【通常盤(CD)】TYCT-60209 3,300円(税込)
▼CD 全13曲収録
※CD収録曲は初回限定盤A、初回限定盤B、完全数量限定Goods盤、通常盤共通
01. Into the deep (Instrumental)
02. What’s a Pop?
03. カラー・リリィの恋文
 ※NHK Eテレ TVアニメーション『アオアシ』第2クールエンディングテーマ
04. Division
 ※Nintendo Switch完全新作アクションRPG『FREDERICA (フレデリカ)』主題歌
05. 六畳の電波塔
 ※神はサイコロを振らない × Rin音コラボ曲
06. 修羅の巷
 ※TBS系 日曜劇場『ラストマン -全盲の捜査官-』挿入歌
07. 僕にあって君にないもの
08. スピリタス・レイク
09. 朝靄に溶ける
 ※神はサイコロを振らない × asmiコラボ曲
10. Popcorn 'n' Magic!
11. キラキラ
12. 夜間飛行
 ※『カップスター』新プロジェクト『NEXT GENERATION NEXT CREATION』リードコラボ曲
13. 告白



【初回限定盤A [雪融けを願う飛行船 Live盤] (1CD+1Blu-ray)】
TYCT-69268 5,500円(税込)
▼Blu-ray
<Zepp Tour 2023「雪融けを願う飛行船」>at Zepp Haneda (TOKYO)
巡る巡る / タイムファクター / イリーガル・ゲーム / LOVE / 1on1 / REM / 朝靄に溶ける (Guest : asmi) / 目蓋 / 徒夢の中で / 解放宣言 / 桃色の絶対領域(Cover) / 愛のけだもの / キラキラ /クロノグラフ彗星 / 夜間飛行 / パーフェクト・ルーキーズ / illumination
※ブックレットはスタジオとアウトドアロケーションで撮り下ろしたアーティストフォトのアザーカットが満載。ここだけでしか見られない貴重なショットの数々で構成。




【初回限定盤B [最下層からの観測 & 事象の地平線Live盤] (1CD+2Blu-ray)】
TYCT-69269 6,600円(税込)
▼Blu-ray Disc-1
<東阪野音Live 2022「最下層からの観測」>at 日比谷野外大音楽堂
未来永劫 / クロノグラフ彗星 / 揺らめいて候 / パーフェクト・ルーキーズ / 少年よ永遠に / illumination / 泡沫花火 / 初恋 (Guest :アユニ・D(BiSH / PEDRO)) / 目蓋 / 導火線 / 遺言状 / イリーガル・ゲーム / 夜永唄 / あなただけ / 巡る巡る / タイムファクター / LOVE / 1on1
▼Blu-ray Disc-2
<Live Tour 2022「事象の地平線」>at LINE CUBE SHIBUYA (Day2)
タイムファクター / 1on1 / クロノグラフ彗星 / 少年よ永遠に / illumination / 泡沫花火 / 六畳の電波塔 (Guest : Rin音) / 愛のけだもの / 夜永唄 / あなただけ /イリーガル・ゲーム / 揺らめいて候 / カラー・リリィの恋文 / 未来永劫 / 僕だけが失敗作みたいで / LOVE / 巡る巡る
※ブックレットは<最下層からの観測> <事象の地平線> <雪融けを願う飛行船>の3本のライブの未公開ライブスチールショットを含む、ライブ映像とリンクする内容で構成


【完全数量限定Goods盤 [UNIVERSAL MUSIC STORE限定発売] (1CD+T-shirt)】
PDCV-1205(Mサイズ)、PDCV-1206(Lサイズ)、PDCV-1207(XLサイズ):各6,600円(税込)
Mサイズ : 身丈69, 身幅52, 肩幅46, 袖丈20
Lサイズ : 身丈73, 身幅55, 肩幅50, 袖丈22
XLサイズ : 身丈77, 身幅58, 肩幅54, 袖丈24
※T-shirtsデザインは、メンバー監修。
※ブックレットは素の表情が垣間見え、プライベート感も感じられるスチールショットで構成。

■店舗別購入特典■
下記店舗およびオンラインショップにて、初回限定盤A・初回限定盤B・通常盤いずれかのCDを1枚ご購入頂いた方にオリジナル特典を1つ進呈
・TOWER RECORDS:クリアファイル[A5サイズ]
・Amazon.co.jp : メガジャケ
・HMV:ジャケステッカー
・TSUTAYA: 2024年カレンダー[A6サイズ]
・その他一般店舗、オンラインショップ :告知ポスター[B2サイズ]
※UNIVERSAL MUSIC STOREでの対象期間は、初回限定盤A、初回限定盤B、完全数量限定Goods盤、通常盤対象で8月28日~。

■全国ホールツアー<神はサイコロを振らない Live Tour 2023「心海パラドックス」>

▼2023年
10月28日(土) 大阪・オリックス劇場
11月04日(土) 北海道・札幌道新ホール
11月11日(土) 福岡・福岡市民会館 大ホール
11月18日(土) 宮城・仙台電力ホール
11月23日(木・祝) 岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
11月25日(土) 新潟・新潟市音楽文化会館
12月01日(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12月17日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA
チケット一般発売:10月14日(土)10:00〜

■台湾イベント出演<Takao Rock! 2023 -打狗祭->

2023年10月8日(日) 台湾・高雄流行音楽センター
https://www.takaorock.tw/


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