【対談】⾶良ひかり&瀬島るい × 北澤ゆうほ、ひかるいの友情を表現した⻘春ソング制作秘話「形の違うピースだからハマった」
VTuber事務所ななしいんく所属の飛良ひかりと瀬島るいがユニットを結成、10月10日に1stシングル「シスターピース」でアーティストデビューを果たす。2020年に同時デビューした同期の二人は、“ひかるい”の愛称でコラボ動画配信も実施。「シスターピース」は“ひかるいの友情を表現した⻘春ソング”をコンセプトに、ロックバンドthe peggiesのギター&ボーカルにしてソロプロジェクトQ.I.Sとして活動中の北澤ゆうほが楽曲提供したものだ。
◆⾶良ひかり&瀬島るい × 北澤ゆうほ 動画 / 画像
e-sports大会の優勝経験がありアコースティックギターもたしなむ飛良ひかり。歌ってみた動画ではイラストや編集なども手掛ける音楽好き…特にガールズロックバンド好きの瀬島るい。異なる特技と個性を持つ二人はどんな経緯で親交を深めたのか。また、デビューから現在までの二人の関係性の変化を歌詞に落とし込んだという北澤ゆうほ作詞作曲の「シスターピース」は、三者のどんなやり取りを経て完成したのか。それぞれの思いから楽曲の背景を紐解く、ひかるい×北澤ゆうほ対談をお届けしたい。
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■ひかるいは可愛すぎるイメージじゃない
■それが二人の共通認識としてあった
──“ひかるい”のお二人は2020年に同時デビューした同期で、以前からコラボ配信などもよくなさっていますよね。どんなことがきっかけで仲が深まったのでしょうか?
瀬島るい:(飛良)ひかりと瀬島(るい)で、“距離が近づいた”と感じた出来事はそれぞれ違うかもしれないですけど、私は2021年1月の『じゃがりこドッキリ』だと思っていて。ひかりに「“瀬島の食べているじゃがりこは何味でしょう?」という問題をいくつか出したんですけど、私は全部同じ味のじゃがりこを食べてたんですね(笑)。ひかりは一生懸命、メモまで取りながら考えてくれていたのに。
飛良ひかり:あはは。
瀬島るい:ネタばらしをしたら、かなりのパッションでキレ散らかしてくれたんです(笑)。それまでひかりとの間にちょっと距離を感じていたんですけど、そこきっかけで、“あ、こういう感じも受け入れてくれるんだ” “仲良くなれそうだな”と思って打ち解けた気がします。
──となると、飛良ひかりさんは人と接するときに壁を作りがちなタイプなのでしょうか?
飛良ひかり:だいぶ分厚い壁を作ってしまうタイプです(苦笑)。だから、あんまり自分から遊びやコラボに誘わないんですけど、瀬島はラフに喋りかけてくれるタイプなんですよね。コラボに誘ってくれたり、チャットで話しかけてくれたり、実際に話していても積極的にたくさん話題を振ってくれるし。そういう積み重ねで仲良くなっていった気がします。
瀬島るい:ひかりは今まで出会ってきたどの人よりも、人との間にものすごく分厚くて高い壁を作る人でした(笑)。でも配信だとちょっとキャラが違うというか、なんでもパッションで解決していくんですよね。その感じがすごく面白くて、仲良くなりたかったんです。それで様子をうかがいながら、ちょっとずつちょっとずつ歩み寄っていきました。
──対極なお二人の共通点の一つが音楽なのではないかと思うんですが、お二人にとって音楽はどんな存在でしょうか? 飛良ひかりさんはアコースティックギターを弾かれますよね。
飛良ひかり:VTuberデビュー前に、ちょっとだけエレキギターを教えてもらったことがあって…でも本当にそんな大したものじゃないんです。自分の武器の一つとしてアコギをちゃんと弾けるようになれたらいいなと思って、独学で弾き始めました。でも、最近レッスンに通い始めてみたらコード譜とかも読めるようになって。感情を伝える方法としても、アコギを弾けるといいなって思ってます。
──“感情を伝える方法”という言葉が出てくるところからも、飛良ひかりさんにとってパッションは重要なのだろうなと。
飛良ひかり:歌が好きになったのも同じような理由なんです。もともと歌に苦手意識を持っていたんですけど、普段素直に言葉にできない感情を歌で伝えられることに気付いてから、気持ちの込め方や歌い方そのものが変わった気がします。アコギの弾き語りは自分のペースやテンポで歌えるので、そういうところも好きですね。
──瀬島るいさんはいかがでしょうか?
瀬島るい:音楽は自分の一部みたいな感じがしてますね。小っちゃい時からよく家族にカラオケへ連れられて、歌う機会も歌を聴く機会も多かったので、音楽や歌は幼い頃からずっと触れてきたんです。だから、ふとしたときに聴きたくなるし、暇だなって思ったときも何かしたくなるときも、どんなときでも音楽をかけちゃうぐらい人生の一部です。
──なかでもガールズバンドがお好きだそうですが、その理由とは?
瀬島るい:えー!? ……カッコいいから(一同笑)! どのジャンルの音楽ももちろん魅力的なんですけど、私は生楽器ならではの臨場感とか、心躍るワクワク感のある音がすごく好みなんです。あと、私が最初にバンドの音楽に触れたときのイメージって、男性だったんですね。だからガールズバンドを観たとき、“あ、女の子でもバンドできるんだ!”って衝撃的で。そこから“ガールズバンド、カッコいい!”と思うようになりました。
──そんなお二人の初のオリジナル曲「シスターピース」を書き下ろしたのが、ロックバンドthe peggies / Q.I.Sの北澤ゆうほさんです。
飛良ひかり:ゆうほさんにお願いしたきっかけは、「ひかるいの関係がTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の主人公やキャラクターにちょっと似てる」という話になったことで。改めて結束バンド(『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場するバンド)の曲を聴くなかで、ゆうほさんの作った「なにが悪い」がすごくいい!って盛り上がって、ゆうほさんにお願いしたいなと思ったんです。あと、瀬島がゆうほさんのことをとても好きで。
瀬島るい:ご本人を前に言われると照れるね(笑)。
北澤ゆうほ:うれしいです(笑)。
瀬島るい:ひかるいは“可愛すぎるイメージじゃないな”というのがもともと共通認識としてあって。「なにが悪い」以外にも改めてゆうほさんのいろんな曲を聴いて、ひかるいに合う曲を作ってくださるんじゃないかなと思ったんです。ゆうほさんの作る曲は、明るい曲調にメッセージ性の強い歌詞が乗るんですけど、そこがすごく好きで。「シスターピース」もそういう曲になったと思います。
飛良ひかり:ゆうほさんは、聴く人によって自由に受け取ることのできる深い歌詞を書いているのが印象的で。だから、ひかるいの楽曲でもそういう歌詞を書いてくれそうだなと思ったので、“ひかるいの友情”をテーマに書いていただけないかってお願いしたんです。
──北澤ゆうほさんはこれまでもアニメの劇中アーティスト曲を手掛けてきたほか、アーティストへの楽曲提供も多いですが、VTuberへの楽曲提供は今回が初めてだそうですね。
北澤ゆうほ:だからお話をいただいたときに、また一つ自分の新しい扉を開けるきっかけにもなりそうだなと思って、「ぜひやらせてください」とお返事しました。この数年で、ネットとリアル、その二つのジャンルの垣根はほとんどなくなった気がしているんですね。純粋にいい音楽をやられているVTuberさんも多いし、何よりVTuberの皆さんは声がいいので、聴いていてすごく心地いいですよね。これは作る側もレコーディングが楽しいだろうなって。お二人が歌っているYouTube動画を調べて、“こんな素敵な歌声で歌ってもらえるの、楽しみだな”と思いながらピュアな気持ちで曲作りに入りました。
──ご自分で歌う楽曲と提供する楽曲では、制作の心持ちは変わりますか?
北澤ゆうほ:やっぱり全然違いますね。自分で歌う曲の場合は、自分自身に向き合ったうえで作り始めるんですけど、提供曲の場合は、まず最初に資料をしっかり読み込んで、その人の気持ちになりきる時間が必要です。だから作品の登場人物に憑依して書いている感覚ですね。
──なるほど。
北澤ゆうほ:周りの人や他人のことをよく知れば知るほど、同時に自分のことも知れるところもあると思っているので。人と話したりコミュニケーションを取っていると、すごく面白いなと感じるんです。それが音楽制作にもつながってるのかなと思います。
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