【インタビュー】TERU(GLAY)、最新EPを語る「今自分たちに何ができるか──それは手を差し伸べること」
今年2月にリリースした61stシングル「HC 2023 episode1-THE GHOST/限界突破-」の続編として、9月27日にEP『HC 2023 episode2-GHOST TRACK E.P-』をリリースするGLAY。
◆撮り下ろし写真
6月に完走した全国ホールツアー<HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost of GLAY->は、隠れた(Ghost)名曲たちに光を当てる、というコンセプトでセットリストを構成。「誘惑」や「HOWEVER」といった代表曲は一切含まれず、ともすれば華やぎを欠く恐れもあったが、蓋を開けてみればそれは完全に杞憂だった。
“今が最高だ”と断言できるTERU(Vo)の歌唱とTAKURO(G)、HISASHI(G)、JIRO(B)の演奏、それらが絡み合って生まれるグルーヴと熱量は、楽曲の宿していたポテンシャルを十全に引き出し、熟練と青春感が共存するパフォーマンスによって、ロックバンドの一つの理想形を体現していたのだ。
成功裏に終わったホールツアーのコンセプトを踏襲しつつ、EPに収められた新曲群を引っ提げ、<GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Huner->と銘打ったアリーナツアーが11月2日からスタートする。BARKSでは、TERUとJIROにそれぞれソロインタビューを行ない、EPの制作秘話やライブに向けての想い、30周年を控えた現在の心境などを掘り下げていく。TERUには、EPリリースの経緯と、収録楽曲一曲一曲についての詳細を尋ねた。
◆ ◆ ◆
■デモの時に「良い歌だな」と思ったテイクをそのまま使うことが多い
■それができるのも、30年を目前にしている今のGLAYの懐の広さかな?
──TERUさんには、このタイミングでEPをリリースすることになった経緯から、まずはお伺いしたいと思います。
TERU:GLAYはコロナ禍においてリモートで曲づくりをしていたんですけども、TAKUROから、「その曲たちを次のアルバムには入れず、一度ここで全部出してしまおう」という提案があってスタートしたんです。実はアルバムの楽曲も既に出揃ってきているんですけど、TAKUROの頭の中にある“これからのポップス”が心機一転、どういう形になっていくのか、僕らも楽しみで。一旦ここで過去の曲をまとめたのは正解だったな、という気がしています。僕のつくった「刻は波のように」に関しては、<LIVE at HOME>(※2020年6月に始動した、TERUプロデュースによる配信ライブシリーズ)でしか披露していなかった曲なんですが、TAKUROが「あの曲も良いから入れようよ」と言ってくれて、収録されることになりました。
──そうだったんですね。今回BARKSではTERUさんとJIROさんにインタビューさせていただくのですが、TERUさんにはEP全体について、GLAYを代表して語っていただきたいと思っております。
TERU:はい、分かりました。
──「Buddy」はホールツアー<THE GHOST of GLAY>で初披露されていました。レコーディングはいつ頃されたのですか?
TERU:これは去年の12月ぐらいですね。TAKUROがその時点で「次の作品(2月リリースのHC 2023 episode1-THE GHOST/限界突破-)に入れるかもしれない」とある程度選んでいた曲たちを、そのレコーディングで歌ってはいたんです。それで、今年の3月に始まったホールツアーで「『Buddy』をやりたい」という話になって。実際に披露したのは後半からだったんですけども。
──5月26日、TAKUROさんの誕生日当日に行われた長野公演からですね。
TERU:そうですね。早くからリハーサルはしてあったんですけども、「このタイミングで初披露したい」というのがあったから、温存しておいたんです。ただ、実際に4本ぐらいライブで歌うと、歌の感じがやっぱり当初とは違ってきたので、「改めてレコーディングし直したい」ということで、今年の6月、函館で歌い直しました。
──相棒がテーマとなっている曲ですが、モデルも実在するのだとか。TERUさんはどんなイメージを抱きながら表現されていたのですか?
TERU:実は僕らがよく行くお店のご夫婦がモデルになっていて、TAKUROはそのお2人を見て思ったことがあったようですね。店主はまだこのことを知らないんですけどね。そういうテーマもありながら、ツアーでは「Buddy」を演奏する前にTAKUROがMCで、目の前にいるファンの皆さんが僕らのバディです、と言っていて。やっぱり30周年を目前にして、長年連れ添ったファンの方たちへの想い、僕らとの関係性が歌に凝縮されたんじゃないかな?と思いますね。
──「HEY!」という掛け声が入っていますが、あれはライブ感を反映させたものなのでしょうか?
TERU:そうそう、目の前に聴いてくれるファンの人たちがいるライブの時の「HEY!」と、何もないスタジオで歌った時の「HEY!」では全然感じが違ったので、そこはまさに新しく歌い直した部分なんですよ。あとはサビも。AメロとBメロはそのまま過去のレコーディングのものを使っています。やっぱり、その時々の想いというのもあるから大事にしたいんですよね。
──全てを新しく歌い直すのだけが良い、というわけでもないのですね。
TERU:うん。TAKUROといろいろと話していくうちに思ったんですけど、デモの段階で何も考えずに感じたまま歌っている歌と、考えに考え抜いてヴォーカルレコーディングする時に歌う歌とは、また違うんですよね。ここ4、5年は、デモの時に「良い歌だな」と思ったテイクに関しては、微調整してそのまま使うことが多いです。それができるのも、30年を目前にしている今のGLAYの懐の広さかな?と思いますね。
──2人組をイメージした時、TERUさんとTAKUROさんもバディー感がありますが……。
TERU:そうでもないんじゃないですか(笑)。大きい視点に立つと、やっぱりGLAYに関わってくれるスタッフ、マネージャーもツアースタッフもそうだし、ファンの子たちはもちろんですけど、そういう一人一人に向けての歌なんだろうな、とは思います。
──ホールツアーの中で育っていった曲を、音源で改めて聴くのが感慨深いです。
TERU:そうですね、ライブではあの曲で僕が変な踊りをつくっちゃったりしてね(笑)。賑やかに大合唱する曲にしたいとTAKUROが言っていたし、ホールツアーでその兆しが見えてきたので、次のライブでは皆で大声で歌いたいですね。
──HISASHIさん作詞作曲の「Pianista」は、モバイルゲームアプリ『ブラッククローバーモバイル 魔法帝への道 The Opening of Fate』のテーマ曲として、早々に完成していましたよね。
TERU:「Pianista」は「限界突破」(61stシングル『HC 2023 episode 1-THE GHOST/限界突破』-収録)と同じタイミングで、去年できていた曲でした。
──Maison book girlのプロデュースなどを手掛けるサクライケンタさんがアレンジに参加。メロディはキャッチーながら、リズムは複雑な変拍子で、高難度な曲となっていますね。
TERU:ゲームアプリのための曲として、HISASHIと僕とで、お互いに2曲ずつ出して二人のプロジェクトみたいな形でつくっていった中で出来た1曲なんですけども。最初はもっと素直なロックバージョンだったんですよ。でもアレンジをしていくうちにどんどん奇抜に、どんどん難しくなってきて。今のGLAYの熟練があってこそ表現できるのかもしれないですね。今までもHISASHIの楽曲はGLAYのいろいろな殻を破ってくれる曲が多かったので、こういったアグレッシブでありながらも繊細な音楽が、これからまた増えていくと思います。演奏の楽しみがあるんじゃないかな?とも思う曲ですね。メロディもすごくいいし、歌詞の内容も当初とあまり変わってないんですけど、夢に破れることについて歌っていて。「夢見て行こうぜ!」と歌っている僕たちが今言えることって何だろう?と……。HISASHIが次の世代に向けて贈る応援歌なのかな?と思いながら僕は聴いていました。
──ミュージックビデオにもHISASHIさんのこだわりが炸裂。ユニークな内容でしたね。
TERU:僕は最初内容を全然分かっていなくて、「白衣を着て、とりあえずあっちから歩いて来てもらえませんか?」と言われるがまま、撮影が進んでいきました。役柄はHISASHIが全部考えてくれたんですけど、「登場してほしい」と言われて。演奏シーンは普通なんですが、仕上がりを観たら「こんなに長いドラマだったんだな」と(笑)。HISASHIはGLAYのライブの演出も手掛けてきた人なので、映画監督のような感覚でつくり込んだんじゃないかな?と思います。
──2019年~2021年のアリーナツアーで上映された『HOTEL GLAY殺人事件』のキャラクターに再会できるとは、ファンの方は喜ばれたでしょうね。
TERU:そうですね、TERU画伯がまた登場していましたからね(笑)。
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