【ライブレポート】『マガツノート』初ライブツアー千秋楽＜荒魂大祭＞、豪華声優陣が贈る狂想曲

8月27日（日）、近未来戦国を舞台にしたダーク楽曲メディアミックスプロジェクト『マガツノート』によるライブイベント＜「荒魂決起會」千秋楽公演【荒魂大祭】＞が、ヒューリックホール東京にて開催された。

◆ライブ写真

このイベントは、今夏に行なわれたプロジェクト初の全国ツアー＜全国巡業二〇二三「荒魂決起會」＞の千秋楽公演であり、『マガツノート』の楽曲を出演声優陣が歌唱するというもの。ライブには、峯田大夢（政宗役）、小笠原仁（秀吉役）、馬場惇平（官兵衛役）大河元気（左馬之助役）、美藤大樹（家康役）、岡本和浩（忠勝役）、沢城千春（直政役）、神尾晋一郎（織田信長役）、堂島颯人（才蔵役）の9名が出演。会場に集結した“有害人類”達を熱いステージで魅了した（“有害人類”は『マガツノート』に登場する用語であり、同プロジェクトのファンネーム）。

この日のライブは全4部構成。曲ごとに出演者が入れ替わりで登場し、全楽曲の演奏をYuh（G／vistlip）、燿（B／摩天楼オペラ）、ササブチヒロシ（Dr／CREATURE CREATURE）の3人によるサポートバンド「マガツノバックバンド」が務めるという、目まぐるしいスピードで駆け抜けて行く形になっていた。



第1部の「Season:1ブロック」では、『マガツノートSeason:1』で発表された各陣営のイメージソングが披露された。トップバッターを務めたのは、政宗役の峯田大夢。“ARK監査局”のイメージソング「リブラ」を、ときに台詞を絶叫しながらエモーショナルに歌い上げると、入れ替わりで左馬之助役の大河元気が姿を現し、“蛇-ウロボロス-”の「ウルトラムシケラボーイ」へ。疾走するハードなサウンドの上で、こちらも台詞を交えながら歌声を力強く放つ。




続いて「やっほー、みんな楽しんでる？」と家康役の美藤大樹が登場。「まだまだ足りねぇンじゃねぇか!?」「もっと、もっとだ！」と直政役の沢城千春と忠勝役の岡本和浩がキャラクターの台詞で有害人類を煽っているところを、美藤演じる家康が「ステイ」となだめて、“ARK医療局”の「In The End【BAND ver】」を披露。マガツノバックバンドの演奏でよりパワフルに、よりダンサブルになったサウンドを受けて歌を届けると、続いて「有害人類が物足りないって顔してますよ？」と話す官兵衛役の馬場惇平と、「当たり前だろ、ここからが本番だからな！」と叫ぶ秀吉役の小笠原仁が登場。“MAD FANG”の「惡鬼招雷」を、強烈なデスボイスを繰り出しながら叩きつけると、真っ赤な照明に包まれた織田信長役の神尾晋一郎が、第六天魔王軍のイメージソング「存在証明」を熱唱──と、ハードナンバーを台詞と歌を交え休みなく畳み掛けていくという怒涛の展開で有害人類を熱く盛り上げた。



続けて、第2部の「Side:EXPOSEブロック」へ。『マガツノート』には、【COVER&EXPOSE】と題したソロ楽曲シリーズがあり、武将達の表面的なイメージやこう見られたいという外面を【Side:COVER】としてダークな名曲のカバーで、また、武将達の誰にも見せたくない心の内や秘めた欲望を【Side:EXPOSE】としてオリジナル楽曲で表現するという企画が行われている。まずは、政宗のEXPOSE曲である「破壊天秤」を峯田が披露。ヘヴィなバンドサウンドの上で様々なデスボイスを巧みに使い分けていきながら「有害人類！　お前らの頭、ここに全部置いていけ！」とヘッドバンギングを煽る。そんなパワフルなパフォーマンスの後、美藤がステージに登場し、家康のEXPOSE楽曲「最終結論」がサプライズで披露された。美藤は、憂いのある表情を浮かべながら、儚げな旋律に乗せられた内省的な言葉を届けていた。



第3部は「Side:COVERブロック」。前述の通り、武将達のイメージに沿ったカバー曲が、矢継ぎ早にステージから放たれていく。まずは小笠原が登場。「ここにいる全員、“猿”になれるってことだよな!?」と客席を激しく焚き付け、秀吉のCOVER曲であるBugLugの「猿」になだれ込む。強烈な熱を放ちながらも、ときにステージに寝転がって歌うなど、奔放なパフォーマンスを繰り広げると、政宗役の峯田と家康役の美藤によるZOMBIEの「クソったれが」へ。物語上では敵対勢力同士である2人が、お立ち台に足をかけてヘッドバンギングする姿はかなりの迫力。峯田が凶暴なデスボイスを轟かせれば、美藤はステージを歩き回りながら拳を煽り、火花を散らすように声をぶつけ合った。



そして、忠勝のCOVER曲であるアリス九號.の「TSUBASA.」を、このステージで初披露。瑞々しくも力強く疾走するサウンドの上で、岡本は力強く伸びやかな歌声を届けていた。そんな爽快感に溢れた場面から一転、邪悪なベース音が場内に響き渡る中、峯田と神尾がステージイン。MUCCの「大嫌い」で獰猛なシャウトを絡ませ合う。禍々しい空気を増幅させるようにギターのフィードバックノイズが鳴り響く中、馬場惇平が姿を現し、官兵衛のCOVER曲、NIGHTMAREの「ジャイアニズム天」へ。馬場はデスボイスを繰り出しながら「こんなもんじゃねぇだろ、有害人類！」と客席の興奮を引きずり上げていた。ブロックのラストを飾ったのは、政宗のCOVER曲であるLUNA SEAの「JESUS」。峯田は鋭くも艶やかに歌い上げていた。



そこから間髪開けずに第4部の『戦シーズン2ブロック』に突入。『マガツノート』の本編とは異なる外伝的な立ち位置となる“戦シーズン”。その第2弾となる今回は、武将達が各陣営の枠を超え、「喜」「怒」「哀」「楽」をそれぞれテーマにした4組のシャッフルバンドを結成するというもので、今回開催された全国ツアーも「戦シーズン2」と連動する形で行なわれていた。



まずは、チーム喜・化楽²の「おねだり！ろまんちっく」から。家康役の美藤と才蔵役の堂島颯人が、可愛さと艶やかさを放ちながら歌を届けると、チーム楽・益荒鬼-MASRAO-による「漢の宴」へ。政宗役の峯田と秀吉役の小笠原が、ステージをド派手に暴れ回る激しいパフォーマンスを繰り広げると、扇子を振り回す有害人類も。続けて届けられたのは、チーム哀・屠所之羊による「遺書擬き」。左馬之助役の大河と直政役の沢城は、ラップを交えながら、ときにナイーブに、ときに激情的に歌い上げると、ラストを飾ったのはチーム怒・逆鱗による「追憶の果てに眠れ」。織田信長役の神尾は、客席に鋭い眼光と低音を効かせた歌声を飛ばしながら、邪悪な高笑いを響かせていた。



また、『戦シーズン2』では投票企画が行なわれており、全ブロック終了後に行なわれたトークコーナーで、投票数の最終結果が発表された。結果は、4位：チーム怒・逆鱗、3位：チーム楽・益荒鬼-MASRAO-、2位：チーム哀・屠所之羊、1位：チーム喜・化楽²。接戦を制した化楽²には、描き下ろしイラストと新規楽曲が制作されることとなった。最後に、この日の全演奏を務めたマガツノバックバンドを呼び込み、オールキャストで「天下多事CHAOS」を披露。9人が代わるがわるマイクを取り、イベントを締め括った。



大団円で幕を下ろした『マガツノート』初のライブツアーだったが、その熱気が冷める間もなく、今後の展開がこの日のライブで解禁された。まず、10月15日にはミニアルバム『Side:EXPOSE vol.1』が発売される。こちらは前述の【Side:EXPOSE】の楽曲を集めたものになっており、収録曲は、現在公開されている政宗の「破壊天秤」と、この日サプライズ解禁された家康の「最終結論」に加え、才蔵、織田信長、直政のEXPOSE曲も収録されることになっている。さらに、ミニアルバム発売当日には、公開収録イベント『マガツノ集会 出張版 第2回～大暴露騒動～』がLUMINE 0にて開催されることも決定。ミニアルバムで歌唱を担当した峯田、美藤、堂島、神尾、沢城の5名によるトーク＆バラエティコーナーや、会場限定ミニライブが行なわれることになっている。詳しくは『マガツノート』オフィシャルサイトならびにSNSでご確認を。



そして、9月20日からは、待望の『マガツノート Season:3』がついにスタート。イベントの最後には、光秀がフィーチャーされた耽美で意味深長なティザームービーも解禁され、有害人類から驚きと歓喜の声が上がっていたが、はたして新シーズンではどんな物語が繰り広げられるのか。引き続き、『マガツノート』の世界に深く溺れていただきたい。

取材・文◎山口哲生
写真◎菅沼剛弘、清水ケンシロウ