【インタビュー】AI、アルバム『RESPECT ALL』にあなたへ届けたいメッセージ「もっと分かり合えたら」

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■私はきっかけ探しのプロです(笑)
■一番いいのは人と話すこと


──「Life Goes On」は、映画『春に散る』の主題歌。

AI:主題歌の話をいただいてから制作しました。まず台本や資料を見せてもらったんですけど、そのなかにいい言葉がたくさんあったんですよね。映画自体はボクシングがテーマなんだけど、スタッフの方から「それだけに限らない楽曲にしてほしいです」というお話もあって。一緒に制作したTOMOKO IDAさん(SixTONES、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEなどの楽曲を手がけるプロデューサー)といろいろアイデアを出すなかで、“すごくいいな”と思えるメロディができて。そこに歌詞を付けるところから制作しました。


──“命をかけて作る幸せ” “あなたといるため”という歌詞も心に残りました。

AI:ありがとうございます。映画の内容としては、“その一瞬にかける”という感じもあって。長く生きるためというより、先のことは考えず、目の前のことに全部を注ぎ込むっていう。

──ボクサーには、そういう刹那的なイメージがありますね。

AI:そうそう。もちろん人生は人それぞれだし、決めるのはその人自身なんだけど、私としては“一瞬を輝かせる”というだけではなくて、“絶対に死んではダメ”というメッセージも込めたかったんですよね。“今しかない”と思い込むのではなくて、“この先にも輝きがあるはず”と思ってほしいというか。そのことを諦めないでほしいなって思いますね。

──それはAIさん自身の経験にも重なってるんですか?

AI:そうですね。私はもともと共感しやすいタイプというか、どんな話でも、聞いてるうちに“わかる。自分もそう” “一緒じゃん”と思っちゃうんです(笑)。この映画もそうで、ストーリーを知ったり、登場人物のバックグランドを知るたびにすごく共感しましたね。


──ピアノと歌で構成された「指を握る小さな手」も、このアルバムのポイントだと思います。愛する子供と離れてしまった親の心境を描いた楽曲ですね。

AI:この曲、泣いちゃいますね。私自身が子供と離れているわけではないんですけど、そういう状況の方はこんな気持ちなんだろうな……と考えるだけで、涙が出てくるんです。歌詞にも書いたんですけど、“離れているほうがきっと良い”ということもあると思うんです。でも、そうなる前に……離れたことを後悔しながら生きるくらいだったら……子供の接し方とか、生き方を変えたほうがいいんじゃないかなって。それは私も経験があるんですよ。ついイライラしてしまったり、怒ることが増えて、“離れて暮らしたほうがいいのかな”と思ったり。

──とてもよくわかります。

AI:でも、大事なのは子供の気持ちですからね。親が離れたとき、子どもは“捨てられた”とか“自分のことが好きじゃないんだ”と思ってしまうかもしれないけど、この曲には“そんなふうに考えないでほしい”というメッセージも込めていて。本当にどうしようもない場合もあると思うけど、お互いに後悔がないように生きてほしいなって思いますね。

──「WE ARE ALIVE」は優しいメロディラインが印象的なバラードナンバー。語り掛けるように歌われる“自分で自分を苦しませないで”というフレーズに胸を打たれました。

AI:人の言葉が聞けなくなったときにこそ届いてほしい曲ですね。頑固になってるときって、何を言われても拒みたくなると思うし、孤独を感じることもあるだろうなと。そうやって悪い方向に考えず、自然に触れたり、人の話を聞いて、生きる力につなげていってほしいなって思いながら作りました。


──「Start Again」はUTAさんとの共作による楽曲。心と身体を引き上げてくれるポジティヴなナンバーですね。

AI:「Start Again」はキットカットのキャンペーン(『きっかけは、キットカットで。』)のために制作した楽曲ですね。先方からは「“きっかけ”という言葉を入れなくてもいいですよ」と言われたんですけど、「“きっかけ”を探すってすごくいいな」と思って、そのまま歌詞にしました。

──“きっかけを探して” “今その手伸ばして”ですね。AIさんもこれまで、いろんな“きっかけ”に出会ってきたと思いますが……。

AI:私は“きっかけ探しのプロ”です(笑)。いちばんいいのはやっぱり、人と話すことですね。たとえば歌詞で迷っていても、誰かと話すことでアイデアが沸いてくるし。なのでライターのみなさんはすごいですよ。たくさんのミュージシャンからいろんな話を聞いてるので、歌詞なんかいくらでも書けるんじゃないですか?

──いえいえ、書けません(笑)。

AI:ははは。子育てしてるときは、なかなか人に会えなくて。そういうときは歌詞もあまり書けなかったりするんですよ。でも、あるときシュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)が人生を語る動画を見て、がぜんやる気が出たり(笑)。人の話って面白いし、すごくためになるなって改めて思いましたね。成功した人の話もそうだし、うまくいかなくてボロボロになったという話も勉強になる。いろんな人の体験に触れながら、歌詞にしていくことが増えてる気がします。「Start Again」の歌詞は、キットカットの企画に応募してくれた実話をもとにしたみなさんの言葉も参考にさせてもらっていて。たくさんの人の思いを込めた曲だなって思います。

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