【インタビュー】札幌の誇りSILVERBACK、7年ぶりAL『THE HIDDEN』は「初心に戻った部分もあるし、キラキラした作品を作りたかった」

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■ 優れた童話は坊さんの説教と一緒

── 「The Forest of Blanc Check」はダークな雰囲気の曲ですね。

Kiyo:今までホラーっぽい曲を作ったことなかったからキング・ダイアモンド大先生を意識した曲調で。それでコンセプトはシュルレアリスムの画家、マグリットの「白紙委任状」って絵をイメージしてみたんだ。その絵は森の中に馬に乗った人がいるんだけど、騙し絵みたいな感じでね。イメージはそうなんだけどポリティカルでもあって、それを隠してこそのホラーだとも思っています。スプラッターで血が噴き出すみたいなのも怖いけど、ラストにそんな事実があったんだって分かるホラーの方が実は怖いとも思っているからね。この曲について裏に流れているテーマは俺の中ではあるけど、自由に捉えてみてください。

── 先にもチラっと出たタイトル曲の「The Hidden」は内容では「Trial in Absentia」と「Anemia」と続いているんですよね?

Kiyo:どういったものかはこれも聴き手に任せますよ。

── 因みにこのアートワークは関係しているのですよね?

▲アルバム『THE HIDDEN』ジャケット

Kiyo:白い部分があると思うけど、そこには具体的に何かは言わないけど「あるモノ」が隠されていて、それが少しずつ明らかになるようにしたかった。アルバムのタイトルにもした位だから「隠された」ってことは大きいんですよ。本当はここにあるモノが見ないようにさせられていること、あるって分かっているのに意識させないようにしているってことが。陰謀論とかではなくて、今そういった世の中になっていませんかねって投げかけです。その思いは特に最近強いですね。色々な情報が溢れているけど、それによって知りたい情報が隠されちゃう恐れもあるんじゃないかなって。歌詞の最後に『If You Come To Your Senses』ってあるけど、そこだと思います。

── 「The Hidden」も激しい曲で、今回はアルバム全体通してもそういったタイプの曲が多いですね。

Kiyo:テーマ的に怒りに結び付く曲が多いからそうなったと思われそうでけど、それは偶然で狙った感じではないです。ただ、今の自分達にしっくりしているかなとは思います。今回はあまりアレンジをがっつりとかけない手法を取って、最初に頭でイメージした曲のままってのが多いですね。例えば、「The Hidden」はギターだけ言えば10分位で出来た曲なんです。その後に他のメンバーとあれこれやり取りは当然ありましたけど。逆に「Invisible」はかなり早い時期からあったんだけど何度もアレンジして作っては壊し作っては壊しを繰り返していた曲です。でも何度やってもしっくりこなくて結局はファーストタッチに戻してレコーディングしました。アレンジをしないというのは勇気のいることだったんだけど、自分達の感性を信じてファーストタッチを重視して曲にしましょうって。「Trial in Absentia」とかもそうですね。



── インスト曲の「The Restaurant of Many Orders」はどちらかと言えばKiyoさんのソロに近い印象でした。宮沢賢治の童話にインスパイアされている曲ですか?

Kiyo:何で宮沢賢治かと言うと、JURASSIC JADEのHIZUMIさんから「アンデルセンも良いけど、Kiyoさんは日本人なんだから日本の童話から曲を作ってよ」と言われたからなんです。確かにそれまでは海外の童話をネタにソロの曲を作っていて、日本の童話からは作っていなかったから。元々ソロのギター曲であるんだけど、曲も長いしバンド曲としてレコーディングしてみました。他のメンバーはゼイゼイ言っていたけど(笑)。

── SILVERBACKとは離れますが、Kiyoさんはソロで童話の世界を元ネタにしているものが多いですよね。それはまた何故ですか?

Kiyo:優れた童話は坊さんの説教と一緒で深い話が多いんだよ。俺は童話ってジャンルの括りはイメージ的に良くないとも思っていて、あれは優れた小作品的小説なんじゃないかなって。般若心境も凄いけど、長いか短いかだけで童話も一緒だと思うんだ。学ぶことは本当に多いんだよ。ソロでこういった童話を題材にした曲をやるんだけど、その曲の背景とか話しながら演奏すると大人でもボロボロ泣きながら聴いている人がいたんだ。子供に話にするものと思われているけど、本当は大人も読むべき話なんだよ。

── あとアコースティック・ギターと言われるのは好きではないのですよね?

Kiyo:ガット・ギターと言われる方が好きなんです。ガット弦を使っている人がかなり少ないし、ちょっとした拘りもあったりして。鉄弦をつかっていないんだって分かってくれたら嬉しいね。

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