【インタビュー】札幌の誇りSILVERBACK、7年ぶりAL『THE HIDDEN』は「初心に戻った部分もあるし、キラキラした作品を作りたかった」
■ 解散とかは全く頭になかったんだ
── 今のSILVERBACKの集大成かなと感じたのが「A Light in the Darkness」でした。トリオになって転機となった曲は『A THOUGHT ON LIFE DURATION OF SPECIES AND HUMAN BEHAVIORS』(2006年)の「(No Title)」と捉えているのですが、それをどことなく感じさせる雰囲気もあって。
Kiyo:展開の多くないし、実は歌詞をどうやって書いたか覚えていないんだ。面白いコーラスの使い方ができたし。この曲もずっとやり続けていきたい曲だよね。
── イントロ部分もシンバルから入るのがKING CRIMSONみたいで面白いですよね。
Kiyo:実はKING CRIMSONやマイク・オールドフィールドの「TUBULAR BELLS」をイメージしてあのイントロにしたんだ。インスト曲の後にこの曲が来るとインパクトも強いんじゃないかと思って。
── 次の「Rock'n Roll」はこれまでのSILVERBACKにないキャッチーさあるコンパクトな曲ですね。こういう言い方が合っているかですが、曲のテーマもそれまでの曲と違って軽いですし。
Kiyo:こんな曲もあっていいかなって(笑)。昔の有名アーティストの、例えばBLACK SABBATHだったら『HEAVEN AND HELL』の「Walk Away」みたいな閑話休題的な曲がアルバムの最後にあったなって思い出して。そういった曲でちょっとアクセントとしてイメージしてみたのもある。階段があったらずっと上りだったら辛いし疲れるから踊り場があるし、それがこの曲になるね(笑)。実はこの曲の元ネタ的なリフは前にヘルプをやっていた某バンドで出したことがあります。
── 最後の「Invisible」も速い曲ですよね。前にも話に出て苦労したこの曲を最後にしたのは?
Kiyo:さっきも話したけどこの曲は作っては壊しを繰り返して苦労した曲で、いじればいじるほどダメなんだなって思ったよ。出来上がったらガツっとしたイメージで、そんな曲でアルバムを締めたかったからこの位置になったね。SILVERBACKのアルバムはどれもそうなんだけど、レコードの流れをイメージしているんだ。A面があってB面に続いていくっていうね。今回は「The Forest of Blanc Check」までがA面で、「The Hidden」からがB面なんだ。
── ということはレコードも作りたいですか?
Kiyo:世の中のブームとは関係なくアナログ世代だから作りたいけど、レコードをプレスするのにかなりのお金がかかるからね。レコードなら100年後も200年後経とうがずっと残っていくって言うし、作った作品ならずっと残って欲しいからね。曲を作っていて「何で、俺は曲を作っているんだろう」って思うこともあるんだ。人の世がこの後もずっと続いていて、俺が死んで生まれ変わって作った曲に再び巡り合ったら面白いと思うんだよね。それが創作意欲にも繋がっている部分もあるし。その時に作品が聴けない状態ならちょっと悲しいなって。
── これまでにステージで倒れたりメンバーが脱退したりと何度もピンチがあったと思うのですが、SILVERBACKなり音楽活動を止めようと思ったことはないのですか?
Kiyo:そんなことを考えたことがないんだよね(笑)。専任ヴォーカルだったIkumaが抜けた時がバンドの顔でもあったしオリジナル・メンバーでもあったからピンチだったかもしれないけど、何で止めなかったんだろうね?(笑)。解散とかは全く頭になかったんだ。
── Chikuzenyaさんが専任ヴォーカルとして加入した時期もありましたが、最終的にはトリオになって曲調も変わっていきましたね。
Kiyo:トリオになってから俺が作る曲も変わっていったよね。Ikumaがいた頃は「重くて強い」ってイメージだったんだ。彼が抜けてからトリオになっての曲は、基本の部分は変わらないけど、少し明るくなったんじゃないかなって。前2作で重心の部分が上がって、この『THE HIDDEN』では更に少し上がったと思う。明るいアルバムを作りたいなとも思っていたから。自分がキッズだった頃に聴いていたアルバム、例えばSCORPIONSだったりIRON MAIDENだったり、全部がキラキラしていたんだ。そういう作品を作りたいなっていうのが今回の作品ではあったんだ。
── SILVERBACKってヘヴィ・メタル以外の何物でもないのに、何かに似ているってのがないですよね。Kiyoさんの口から出てくるアーティストってどれも誰もが知っている基本的なのばかりでマニアックでないのに、こういった音楽になるのが面白いですね。
Kiyo:そうだろうけど、それは俺にも分かりません(笑)。でも、それで良いと思うよ。手法でも何一つ新しいことは取り入れてないんだけどね。他のミュージシャンの人から初めて聴いた時に変だとか独特と思ったとか言われることもあるし。だからって何かに合わせようとか変えようとかはない。と言うかできないからSILVERBACKを続けていけるんだと思う。
── 最後に『THE HIDDEN』を聴いてくれる人にひと言お願いします。
Kiyo:初心に戻って作った部分もあるし、さっき言ったようにキラキラした作品を作りたいなってものでもあるのでそういった面も感じてくれたらなって思います。
取材・文◎別府“Veppy”伸朗
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アルバム『THE HIDDEN』
レ-ベル: B.T.H. RECORDS (ビーティーエイチ・レコード)
フォ-マット:CD
POS:4988044090491 品番:BTH-087
定価:税抜価格2,700円/税込価格2,970円
<収録曲>
01. Firebird
02. Trial in absentia
03. Anemia
04. Moon child
05. The forest of blanc check
06. The hidden
07. The restaurant of many orders
08. A light in the darkness
09. Rock’n roll
10. Invisible