【インタビュー】ママアーティスト・かなまる、「自分の中にある本当の自分を愛してあげてほしい」

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▪️どれだけ時間がかかっても、いずれは「いい歌だね」って広まっていけばいいな

──シンガーとしての成長や変化も感じられる1曲になりましたね。

かなまる:久しぶりに「Circle」のカップリングの曲のデモを聴いた時に思ったんですが、たぶん自信がなかったんですよね。声が震えてたり、伸ばすところが全然伸ばせてなかったりしてたんですけど、今回はデモの時点ですごく良かったんです。デモの段階でここまで胸張って歌える楽曲を作れたっていうのは、すごく自信にもなりました。

──きっと、表現したいことと表現できることが自然と一致してきたんでしょうね。

かなまる:そうかもしれないです。曲って、作っただけで終わっちゃう場合もあると思うんですよ。今は、例えばTikTokがきっかけになって楽曲がバズったり売れたりするっていうのは私もわかってるし、そういう作り方もあるとは思うけど、私自身、何よりも歌に支えられて生きてきたから、売れるとか売れないとかの前に、いろんな人に寄り添いたいっていう思いが強くあるんですよね。つらい時もハッピーな時も私にはそういう歌があったから、今度は私の曲が、誰かに寄り添うことで救われたり笑顔になってくれたりしたらいいなって。

──そういう気持ちを軸に、音楽を発信していると。

かなまる:いろんな方とお話してると、売れたいですよねとか、バズりたいですよねって話になるんです。それもちろんなんですけど、それ以前に、私がやりたいことってまだいっぱい残っているなって気がしていて。たくさんの人に聴いてもらう前に、1人1人に寄り添って、温かさや優しさなどみんなが感じてくれたことが大きくなって、そこからまたいろんな人に曲が伝わってくんじゃないかなって思うんです。だから、「Natural」も時間をかけて伝えていきたいなと思ったんですよね。


──ちなみに、かなまるさんが支えられた曲というと?

かなまる:YUIさんの「My Generation」です。私は中学の時ソフトテニスをやってたんですけど、同世代の子の夢や葛藤を歌ったこの曲にすごく支えられていました。先輩たちは全国大会に行くような学校で、朝から夜までずっと練習。友達とも遊べないし、体作りのためにジャンクフードも食べられないっていう、本当に厳しい3年間だったんですね。本当は陸上部か吹奏楽をやりたかったのに、お母さんにやれって言われてやらされてた感じだったんですが(笑)、毎日この曲に励まされながら練習して、結局はレギュラーになって関東大会まで行けたんです。

──なるほど!

かなまる:3人だった時のFUNKY MONKEY BABYSとかGReeeeNの「キセキ」とかの世代なので、そういうスポーツとか青春みたいな楽曲をMDやiPodで聴きながら、雨の中走ったりしてました。今みたいにバズるとかじゃなく、いろんな人がいろんな音楽を聴いて、支えられながら生きてきたみたいな感じだったので、私もそういう曲を歌えるようになりたいって思うようになったんですよね。

──そういう曲って、もちろん一瞬でこれだ!と思う場合もあると思うけど、意外とふとした瞬間に歌詞の意味がわかって引き込まれるみたいなこともありますよね。

かなまる:そうなんですよね。今娘が『ONE PIECE』にハマっていて1話からずっと見てるんですけど、「ウィーアー!」とか、そういう昔の楽曲も普通に聴いてるんですよ。全然歌えてないんですけど(笑)、踊りは完璧でニュアンスも完璧。古いとか新しいとか関係なく曲を聴いて覚えていくっていいなと思うし、いつか意味とかもわかってくれたらいいなって思うんですよね。

──じゃあ娘さんが好きだという今回の「Natural」も、そんな風に世代とか関係なく広がっていくといいですね。

かなまる:はい。実はこの曲のMVは、サラリーマン、主婦、女子高生っていう世代とかもバラバラな3人の方が主演になっているんですね。みんな色んな葛藤を抱えていて、落ち込んでいるんだけどだんだん自由になっていくというストーリーを、ダンスで表現した内容になっているんです。ぜひ曲を聴いて、MVも繰り返し見てもらって、みんなハッピーになってくれればいいなって思っています。

──わかりました。ではカップリングの「アイスクリーム」ですが、こちらはストーリーというよりも、デート中のふとした瞬間をスナップ写真みたいに切り取っていったようなMVになっていますね。

かなまる:その一瞬の、その子のかわいい瞬間みたいな感じというか。アイスクリームって、すぐ溶けちゃうじゃないですか。デートも、私はなんとなく“永遠”ではなくて“一瞬”みたいな感覚なんです。この男の子のために可愛くしてきた女の子のこの一瞬を見て!みたいな感じなんですよね。


──この曲は何かきっかけがあって作り始めたんですか?

かなまる:私、ラブストーリーを曲にしたことがなかったんです。恋愛っぽい曲はあるけど、実は娘に対しての曲だったりするものが多くて。でも今回はせっかくだから、夏に聴いて爽やかに、ちょっと青春を思い出したり、今好きな人のこと思い出したりする曲にしたいなって思ったんです。私、アイスクリーム食べてる女の子ってめっちゃかわいいって思うんですよ。しかもコーンで、アイスを2つ乗っけて食べてる女の子以上にかわいいものはないって思っていて(笑)。あと、子どもが口の周りを汚しながら食べるのもかわいいなって思ってたから、これはいつか曲にしようって思ってたんです。歌詞の大まかな部分は私が作らせてもらって、ノザワ・Hendrixさんにブラッシュアップしてもらった楽曲です。

──「一口目はさ、いつも私にくれるのなんで?」っていう歌詞、刺さりまくりでした(笑)。

かなまる:ノザワさんはお付き合いも長いのでこういう風に一緒に曲を作れるのがすごく嬉しいんですけど、まさかこういう甘酸っぱいことになるとは思ってなかったです(笑)。

──かなまるさんは、思い出に残るデートのエピソードってありますか?

かなまる:学生の頃は、向こうの親が厳しくてどこかに行くようなデートができなかったから、2人でコンビニに行って、その前で喋ったりしてたのが一番心に残ってます(笑)。中学生の頃なんですが、相手は別の中学のソフトテニス部の子だったから、体力作りも兼ねてお互いの家の中間地点のコンビニまで走って、夏はアイスを食べたり、冬はカップラーメンを食べたりしてましたね。携帯もなかったから、家電で連絡しあって。

──怒られないギリギリの感じのデートですね(笑)。

かなまる:そうなんです。「ちょっと外走ってくる」って感じだったんで、親も「それなら」みたいな感じで(笑)。でも今って小学生でもiPhone持ってて、LINEでやり取りしてる子もいっぱいいるじゃないですか。そう思うと、私いい時代に生まれたなって思うんですよね。あの固定電話ならではの歯痒さとか、青春の甘酸っぱさみたいな感じはLINEだけじゃ経験できないなって思うから。

──確かにそうですね。この「アイスクリーム」も、人と直接会ってるからこその景色が体温と共に描かれているなと思います。でもSNSがメインの世代は、それはそれでまた違った景色を描くんでしょうしね。

かなまる:そう思います。私もそれこそTikTokとかで、好きな人が撮る女の子とか、好きな人が撮る男の子とか、何かそういった一つの場面にこの曲を使ってくれたらなって思ってるんですよ。これは完全に自己満足なんですけど、私も娘とアイスクリーム食べに行って、TikTokとかにアップしたいなって思ってますし(笑)。広まり方は、もう本当にゆっくりでいいと思ってるんです。この業界、“何年越しに”なんてこともあることだし、私にとっては1曲1曲が宝物なので、どれだけ時間がかかっても、いずれは「いい歌だね」ってたくさんの人に広まっていけばいいなって思うから。そういう曲を作って、これからも伝え続けていきたいなと思ってます。


──9月にはワンマンライブも予定されているそうですね。

かなまる:ワンマンっていうと私が主役みたいな感じになりがちだと思うんですけど、私はいつも、来てくれたみんなが主役だと思っていて。コロナが落ち着いて声出しもできるようになって、一人一人がより自由にライブを楽しめる感じになってきたと思うんですね。頑張った自分へのご褒美でもいいし、ファンのみんなに会いに行こうでもいいし、私の歌を聴いてまた明日から頑張ろうでも、きっかけはどんなことでもいいんです。必ず、笑顔になれるライブですから。当日はちょっと嬉しい発表もできると思うので、「Natural」を聴きながら、スキップしながら、楽しみに来てくださいね(笑)。

──最後に、何か伝えたいメッセージがありましたら。

かなまる:うまく行かないこととかしがらみとか色々あると思いますが、生まれてきた意味は1人ずつあると思うから、自分なんてって思わないでほしいです。私の人生が音楽で支えられてきたように、「Natural」もみんなにとってのそういう1曲として聴いてもらえたら嬉しい。たった1回きりの人生ですからね。ファンの皆さんには、自己肯定感を上げて、楽しい人生を送ってほしいと思っています。

取材・文◎山田邦子

2nd Single「Natural」

2023年8月4日 Release
STKN-1002 ¥1,300

1.Natural
2.アイスクリーム
3.Natural ~instrumental~

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