ACIDMAN、『Loop』再現ツアーがスタート「気づけば20年、でも宇宙は138億年」

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ACIDMANが、メジャー2ndアルバム『Loop』(2003年)の再現ツアー<ACIDMAN 2nd ALBUM Loop再現 TOUR “re:Loop”>をスタートさせた。以下、6月23日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開かれたツアー2日目の公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆6月23日 神奈川公演 画像

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今から20年前、ゼロ年代の日本のロックシーンに大きな爪痕を残す1枚のアルバムが生まれた。ACIDMANのセカンドアルバム『Loop』は、デビューアルバム『創』の世界を音楽的により大胆に攻撃的に、歌詞では哲学的に深化させ、その後のACIDMANの方向性を決定づけた傑作だ。その衝撃を新たな解釈で現代に蘇らせる、<ACIDMAN 2nd ALBUM Loop再現 TOUR “re:Loop”>。時代を超えるアルバムの真価を確かめるべく、ツアー2本目のKT Zepp Yokohama公演へ足を運ぶ。

「“re:Loop”ツアーへようこそ。最高の夜にしましょう」

中央に大木伸夫、向かって左に佐藤雅俊、右に浦山一悟。横一線に並んだフォーメーションは20年前とは異なるが、放たれる轟音は紛れもなく2003年のACIDMAN。いや違う、曲は『Loop』からのものだが、演奏の巧さと強さ、音色のクリアさ、進歩した機材を駆使した音の豊かさ、レーザービームや映像など視覚的な鮮やかさ、そして威風堂々と呼びたい大木のたたずまいは、確かに2023年のACIDMANだ。その勢いに応え、フロアをぎっしり埋めた満員の観客が上げる拳と歓声が、ようやく訪れたコロナ禍における行動規制緩和の喜びを表現する。“re:Loop”ツアーは、この時を待っていたのかもしれない。反骨のエネルギーに満ちた『Loop』の楽曲には、タガの外れた熱狂がよく似合う。


「『Loop』というアルバムが20年前に発売されて、その頃聴いてくれた人も、その後ファンになってくれた方も全員で、20年の時を経た奇跡的なこの夜を最高のものにしたいと思います」

セットリストはもちろん、『Loop』からの曲が次々と披露される。が、それだけではない。『Loop』の世界観を受け継ぐその後の曲をいくつか加えることで、アルバムのビジョンが壮大にスケールアップしてゆく。『Loop』は「type-A」「飛光」のような爆音ファストチューン、「Slow View」など叙情的なインストゥルメンタル、「ドライドアウト」など若々しくメロディックな曲、「リピート」のように静から動へとダイナミックに展開する曲など、実にバラエティに富んでいるが、地球上の生命の循環や輪廻転生をテーマにした、大木伸夫の歌詞の思想は一貫している。むしろ近年の曲と組み合わせることで、そのテーマ性がより明確に浮かび上がってくる。

「当時、ライブに来てくれた方はいますか? けっこういますね。ライブは大好きで、でも苦しくて、自問自答しながら毎日を繰り返して、気づけば20年です。でもね、宇宙は138億年なんですよ」

大木のMCに、また始まった、知ってるよ、というニュアンスの明るい笑いが起こる。20年かけて、ACIDMANの、大木の人格がしっかり浸透している証だろう。2003年当時のライブでのメインMCは浦山一悟で、大木はあまり多くを語らないスタイルだったと記憶する。メッセージは曲に込めたから聴いてくれ。そう言わんばかりに、ひたすら尖った歌とギターを叩きつけていた男が、温かいファンの優しさに包まれて今ここにいる。確かに時は流れた。

「何が目的でもなくて、夢が手に入れられなくなって、ただこの命を丁寧に、毎日感謝しながら生きること。それが僕がずっと伝え続けているメッセージです。それを受け止めてくれて、長い間、本当にありがとうございます」





まだツアー中なので詳しいセットリストを明かすのは控える。が、久々に聴いた「type-A」はライブ演奏の機会が少ないことがもったいない、ACIDMANの全レパートリーの中でも屈指のエモーショナル・ラウドチューンだったし、変拍子を組み込んだ技巧的な「swayed」、ループ感覚とコード進行の妙で感情がぐいぐい昂ってゆく「O(オー)」、そしてこれもライブ演奏が稀な「turn around」の、のちの「廻る、巡る、その核へ」への布石になったと思われる壮大なカオスとカタルシス、等々、どの曲も再発見と再認識の連続だ。さらに、このツアーのために新たに作られた映像もあり、深い森の中から遥かな銀河、素粒子の運動から美しいオーロラに至るまで、実写とCGを駆使した鮮明な映像で視覚を刺激する。もしかして通常のツアーよりも手間をかけている?と思わせるほど、映像と音響のクオリティが抜群に高い。

「めちゃくちゃ売れたいし、もっと大きな場所でやりたい。でもそのために表現方法を変えることはできない。せっかくもらった命だから、やりたいことをとことんやってみよう。そういう思いで作った『Loop』というアルバムは、僕らのその後の運命を決めたと思います」

大木のMCは20年前の若く尖った自分に思いを馳せながら、ブレずに続けてきた今を讃え、ファンに感謝する。「いつかもっと美しい世界があると信じてきたからこそ今がある」と語る、大木伸夫の音楽と思想は20年間かけて揺るぎないものになった。浦山一悟のドラムは激しさにしなやかさを加えて大きく成長し、佐藤雅俊は情熱を表現できる優れたベーシストになった。そんな3人を包み込む、目がくらむほどのまばゆい光溢れる美しいフィナーレ。そこにあるのはノスタルジーではなく、現在進行形のリアリティだ。

アンコールにもしっかり応え、たっぷり2時間半近くに及ぶライブ。<ACIDMAN 2nd ALBUM Loop再現 TOUR “re:Loop”>は、当時を懐かしむ人も最近ACIDMANを知った人も、すべてが等しく体験すべき特別なツアーだ。スケジュールはあと3本、7月21日の仙台Rensa、25日のZepp Haneda、28日のZepp Nagoyaを残すのみ。間に合えば、ぜひ見てほしい。ACIDMANの音楽が、時を超えて古びない理由がわかるはずだ。


撮影◎Victor Nomoto - Metacraft

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<ACIDMAN 2nd ALBUM Loop再現 TOUR “re:Loop”>

2023年6月16日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
2023年6月23日(金)神奈川・KT Zepp Yokohama
2023年7月21日(金)宮城・Rensa
2023年7月25日(火)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
2023年7月28日(金)愛知・Zepp Nagoya

SSエリア(最前ブロック) ¥8,000(税込)※SOLD OUT
1Fスタンディング ¥6,000(税込)
2F指定席 ¥6,000(税込)※SOLD OUT

※6歳以上有料。座席が必要な場合は6歳未満も有料
※ドリンク代別途必要
※イベント制限により開場・開演時間が変更になる場合あり

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