【インタビュー】Die(DIR EN GREY)、「“やっぱこれだよね”っていう感じがあった」
◾️やっぱライブの歓声は肌に染みる
──実際に<PHALARIS -Vol.II->でライブを10本ほど重ねた今はいかがです? 5月22日のZepp Haneda (TOKYO)のライブも観ましたが、凄かったですよ。ライブでのツインギターのアレンジやハーモニー、それぞれの鳴らす音もフレーズも。
Die:ツアーの中盤だったからというのもあると思いますよ。ツアー前半は、今回から披露した新曲に全部の意識がいっていたから。ライブのトータルに向き合うというより、新曲のクオリティを高めたいってところに、勝手に自分でターゲットを絞っていた。ツアーの中盤ぐらいになって、やっとライブ全体の流れで自分のテンションを持っていけた。それと同時に、いい意味で力が抜けてきたというかね。ツアーの前半は、どうしても力も入りすぎて前のめりみたいな感じで、曲もちょっとガチャガチャしていたかなと思って。ライブに向かうときの視野も狭まっていたと思う。ツアー中盤になったときには、グッと重心を下げて、いい感じでやれているなって。だからツアーの本数も、もうちょっとあったらなと思ってね。ちょうどいいときにツアーが終わってしまう気がして。昔は本数をもっとやっていましたからね。
──2000年代初期の<列島激震行脚>シリーズのころ。
Die:そう、あの時代はツアー本数もライブ本数も凄かったから。ツアーが始まったら3カ月ぐらいやっていたし、祝日とか平日とか関係なしに立て続けにライブやっていたから。あのときは身体も、完璧にツアーモードに入っていく感覚でしたね。
写真◎尾形 隆夫
──<PHALARIS -Vol.II->では、<列島激震行脚>ばりにオーディンスも歓声を出せるようになって、京さんもガンガンに歌わせていました。「オマエらが歌えよ」って指差したりして、観に来た全員を覚醒させる瞬間でした。
Die:それまでだいぶ我慢してもらってきたからね、この何年間か。とくにボーカリストが一番ダイレクトに感じていたんじゃないかな。ライブやっていて、言葉で煽っても、みんなから声で返ってこない時期がずっと長くて……。あれはちょっとキツいなと思いますよ。俺はギターだから、またちょっと違うけども。ボーカルはやっぱダイレクトに返ってくるもんがないと、テンション的にキツかっただろうなと思いますね。
──ギタリストのDieさんも、歓声あるのとないのとでは、やっぱり全然違うでしょ?
Die:もちろん、全然違う。声を出せるのはもっと先になるかなって思ってた。もしかしたら、歓声出せるライブができる日は、もう来ないんじゃないかなって思っていたこともあった。誰もがずっとマスクで、ライブやコンサートは拍手のみ、みたいな。それが当たり前の世の中になるんじゃないかなって気も、ちょっとしていて。それがこんなに早くというか、全然早くもなかったけど、やっと戻ってきてくれて。やっぱライブの歓声は肌に染みるというかね。身体で感じるのがいいなって。
──オーディエンスが思いっきり歌う中で、気持ち良さそうにコードストロークしているDieさんの姿もありました。
Die:歓声と歌声を思いっきり浴びながらね。「やっぱ、これだよね」っていう感じがあった。でもあの期間がなければ、そういうことも感じなかったんだろうなっていうね。ライブで歓声がない期間というのが。本当にあれは特別だった。今となっては、いい意味で捉えたいなと。
──観に行ったオーディエンスも、京さんの煽りなどもあって、何も遠慮せずにDIR EN GREYのライブを楽しんでいいんだって思ったはずなんですよ。どんどん活き活きした表情になっていきましたから。
Die:そうですね、うん。
写真◎尾形 隆夫
──WOWOWではZepp Haneda (TOKYO)の模様が放送されますが、見どころは盛りだくさんです。
Die:久しぶりに歓声の中でプレイしているメンバーの変わり具合も、見どころかな(笑)。コロナ禍のときと今の躍動感は、やっぱ全然違うと思う。正直、コロナ禍のときはツアーで地方へ行ってもどこでやっても一緒だった。ライブやっても拍手しかないから、熱が上がっていかない。ある一定のところまで上がったら、どのライブも、もう一緒みたいな。正直に言えばそんな印象でしたね。でも声って、全員がもっと出せば、どんどん上がっていくわけで。それがライブのおもしろさだったりするから。やっぱ、みんなの歓声を浴びたメンバーの熱の上がり具合も、尋常ではないと思います。
──ライブはオーディエンスと一緒に作るものって、よく言われます。
Die:いや、本当にそう。それもすごく感じましたね、この数年間のライブやツアーで。
──薫さんのオーラも、また一段と凄いことになっていて。
Die:ハイハイ(笑)。ほんとにね、両極端な感じのギターが二人だから。そういうメンバーのキャラクターも、WOWOWで放送されるライブで楽しんでもらいたいです。
──このインタビューが公開されるときには、ツアー第三弾も発表されているはずです。個人的に抱いている次に向けた意気込みは?
Die:ライブでまだやっていない『PHALARIS』からの曲があるですけど、それが来ることによって、やっと完成する、完成させないといけない。他の曲は<PHALARIS -Vol.I->と<PHALARIS -Vol.II->でプレイしてきたから、しっかりクオリティも上げて、音源から進化した『PHALARIS』というのを、次のツアーでは見せたい。「あっ、実はこんなアルバムだったのか」ってね。あの『PHALARIS』がどんなものなのかって、自分たちでも感じてみたいなって思ってます。
──<PHALARIS -Vol.II->のときから、音源とはだいぶ違う印象でしたけどね。作り込んだ印象の楽曲も、意外にライブ向きの曲だったんだなと。
Die:そう、やっていて俺もそう思った。複雑な展開がスリリングさになっていて、プレイしていていい緊張感があるんです。次のツアーでもっと突き詰めたいと思ってますよ。
取材・文◎長谷川幸信
番組情報
■DIR EN GREY Member's Interview
2023年7月1日(土)より配信[WOWOWオンデマンド]
7月1日(土)Shinya ver.
7月8日(土)Toshiya ver.
7月15日(土)薫 ver.
7月22日(土)Die ver.
7月29日(土)京 ver.
DIR EN GREYのインタビュー番組からメンバー個別版をWOWOWオンデマンド限定で配信する。7月1日(土)より毎週土曜に、「Shinya ver.」「Toshiya ver.」「薫 ver.」「Die ver.」「京 ver.」を順に公開。個性あふれるメンバーひとりひとりをフィーチャーする。
■DIR EN GREY TOUR23 PHALARIS -Vol.II-
2023年8月11日(金・祝)午後5:15 放送・配信[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
(※放送終了後~1カ月間アーカイブ配信あり)
タイトルに“Vol.II”とある通り、今回はアルバム発売直後の2022年6月から行なわれた全国ツアー“Vol.I”の続編となる。2022年10月からは、アルバムツアーとは別に25周年記念ツアー<DIR EN GREY 25th Anniversary “TOUR22 FROM DEPRESSION TO ________”>を開催し、初期楽曲を多数披露した。一貫して“痛み”と向き合い、“死”も芸術表現として昇華させてきた彼らのパフォーマンスは、コロナ禍を経てよりタフさを増し、強い“生”の輝きを放っていた。“Vol.I”から1年がたち『PHALARIS』の表現にはどのような変化が生まれるのか?変幻自在な音楽性と衝撃のライブパフォーマンスで世界をとりこにしてきた彼らの最新の姿を目撃してほしい。
収録日:2023年5月22日(月)
収録場所:東京・Zepp Haneda
■DIR EN GREY Interview Special
2023年9月放送・配信予定
2022年6月に3年9カ月ぶりに11枚目のオリジナルアルバム『PHALARIS』をリリースすると、アルバム名を冠した全国ツアーを2022年と2023年に二段構えで決行。さらに2022年10月から25周年記念全国ツアーも行うなど、精力的に活動を続けている彼らの、撮り下ろしインタビュー&ドキュメンタリー特番をお送りする。
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