【インタビュー】Shinya(DIR EN GREY)、「久々に歓声を聴いたらこれもいいなと思いました」

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◾️全体像としての『PHALARIS』の印象は、今はない

──そう言いながら、YouTubeの『Shinya Channel』をまめにアップロードしてくれていました。

Shinya:はい。週2回、休まずにずっとやってますね。

──山手線を徒歩で巡る旅をしたり、いろんなところへ行ってみたり。登録視聴者としては嬉しいんですけど、もしかしてあれも不安から逃げるための行動ですか?

Shinya:いや、あれも不安ですよ。ネタがないんで(笑)。

──いま隣にいつもカメラマンやっている相方というか、マネージャーの藤枝さんがいますけど(笑)。

Shinya:藤枝クン、ネタ出さないし(笑)。「今週、ヤバいっすよ。ネタありません」しか言わないんですよ(笑)。いつも動画を出すその週の頭に僕が企画を考えていて。「今週はなにをやろう」って。ヤバいですよ、いつもギリギリ。

──動画の中でも常に撮れ高を気にしてますもんね(笑)。それも不安だと?

Shinya:そうですね(笑)。でもポジティブです。不安だけど、悩んではいないんで。ちっぽけなもんです。

写真◎尾形 隆夫

──それはともかく、<25th Anniversary TOUR22 FROM DEPRESSION TO ________>の直後から再び『PHALARIS』に向かっていったんですか?

Shinya:ツアーが終わった瞬間から曲をまた聴きだして、覚え直していましたね。始まるまでの何カ月間か。レコーディングのときに使った譜面も見ながら、ずっと曲と向き合っていました。譜面がないと無理っすね。なかったら逃げます(笑)。

──ライブで初披露するときは、音源のプレイを完全に再現したい?

Shinya:基本はそうですね。それで1回、バンドでやってみて、これではノリが合わないなと思ったら、バシバシ変えていきます。ノリというのは、バンドサウンド全体という面のときもあれば、自分自身でややこしいなと思ったときも変えます。

──とは言いながら、ドラムフレーズを考える最初の段階で、自分でわざわざややこしくしてるわけでしょ?

Shinya:いや、わざわざじゃないですよ(笑)。むしろシンプルさを心がけていますから。

──3〜4年前からそういう嘘を言うようになりましたね(笑)。

Shinya:いや、嘘じゃなく(笑)。心がけてはいるんです。実際は違ったとしても。

──結果的にややこしく感じるときもあるわけですね。ということは、自分の中でレコーディングモードとライブモードでは、曲への向き合い方も違うんですか?

Shinya:もう全然違いますね。新曲のフレーズを作っているとき、ライブを意識していたはずなんですけど、実際はあんまり意識してなかった感じです。それで1曲通して叩こうとすると、ややこしく感じるところが出てくるんです。

──2023年4月からスタートした<PHALARIS -Vol.II->では、自分に課したテーマなどもありました?

Shinya:テーマとかはないけど、覚えなきゃってことですね、まずは。『PHALARIS』からの曲が、新たに4曲増えることになって。最初は3曲だと思ってたのに、セットリストが最終的に決まったとき、「ウワーッ、4曲か!」と。

──でも『PHALARIS』を作り終えたときから、じっくりと噛みしめるようにライブでやっていきたいということも言ってました。実際に時間を掛けながら、ライブで『PHALARIS』と向き合っています。アルバムの捉え方やアルバム像が、リリースから1年経った今、変化していますか?

Shinya:それがですね、箇所箇所でしか聴いていないんで。アルバム全体の印象というのは、今はもうないです。アルバムはレコーディングが終わったときに聴いただけで、その後はツアーでやる曲しか聴いていない。全体像としての『PHALARIS』の印象は、今はないんです。この曲のここが難しいとか、ピンポイントごとの印象しかない。

──WOWOWで放送される5月22日のZepp Haneda (TOKYO)のライブも観に行きました。相当、仕上がってましたね。

Shinya:そうですか、へぇ〜!

──そのライブの2日後にこうしてインタビューしているので、思い返すこともいろいろあるでしょう。あの…、リスがいっぱいいたよ、とかではなく(Shinya Channelショート動画参照)。

Shinya:おっ、ありがとうございます(笑)。早いですね、見るのが。

──そこじゃないので、今、ほしい話は(笑)。

Shinya:ああ…。で、なんでしたっけ?

──ライブの手応えとか、ショート動画では語っていない内容でお願いします。

Shinya:あんまり頭で考えずにできたかなって印象ですね、やっと。ライブを10本ぐらいやって、ようやく。

──オーディエンスの様子も<PHALARIS -Vol.I->と全然違いましたね。歓声はOKになったし、京さんも「オマエらと歌ってるんだ」ってガンガンに煽って、フロアからどでかい歌声が巻き起こっていましたから。ショーとかコンサートじゃなくて、あれこそライブでした。オーディエンス一人ずつを、まるでライブの主役にするぐらいの熱さが、常に充満していました。

Shinya:ドラム叩いていても、歓声はめっちゃ聴こえてましたよ。歓声がないときはないで、別にいいと思ったんですけど、久々に歓声を聴いたら、これもいいなと思いました。どっちもいいですよ。僕からは以上です。

──『PHALARIS』の曲で、敢えて意図的に味付けを変えた部分も多かったですか?

Shinya:そういうのは前からそうですけどね、ずっと。僕からは以上です(笑)。

──いや、曲のBPMも含めて、音源とは印象が違ったんですよ。

Shinya:ああ、そうなんですか。例えば?

──例えば「The Perfume of Sins」は展開の多い曲ですが、その変化の仕方がさらにスリリングになっていたんです。

Shinya:へぇ〜、勉強になります(メモを取る仕草)。

──その仕草は昭和っぽいよ(笑)。バンドで音合わせしていて、もっとああしよう、こうしようっていうライブアレンジもリハーサル段階であったんですか?

Shinya:いや、そういうのはなかった気がしますね、多分。「The Perfume of Sins」に関してはなかったですね。他の曲も、今、思い出そうとしてるんですけど、あったかもしれないですが、恐らくなかったですね。

写真◎尾形 隆夫

──セットリストはどういう感じで決まったんですか?

Shinya:羽田の1日目は、普段やっているAパターンと呼ばれているやつで。基本、AパターンとBパターンで交互にやっていってますけど。まあ、AとBもそんなに大きな違いもないんですけど。曲の順番がちょっと違うぐらいです。

──セットリストを決めるにあたり、Shinyaさんからのアイデアもインプットされたんですか?

Shinya:いや、1ミリもないですよ(笑)。とりあえず薫くんからセットリストが来るんで、「なるほど」って。今回のツアーでは『PHALARIS』以外の曲はこれか、と。最近はそんな感じですね。

──でも羽田のライブでは、脂がのりにのったShinyaさんの叩き方や表情も楽しんでいただける感じでしょうか?

Shinya:そうですね! あのライブ、めっちゃノリにのってるんで。

──<PHALARIS -Vol.II->が6月に終わって、第三弾ツアー<TOUR23 PHALARIS FINAL -The scent of a peaceful death->も発表されました。第三弾でライブにおける『PHALARIS』の全貌を体感できる感じでしょうか?

Shinya:さあ、どうですかね。一応、Vol.Xまで続く予定なんで。

──あなた、嘘を言ってますね(笑)。謎解きより簡単に見破れましたよ。

Shinya:いやいや、あるかもしれないじゃないですか(笑)。可能性を言ってるだけで、嘘は言ってない。でも『PHALARIS』も、ライブでやっていない曲は残り少ないんで、だいぶ気がラクですね。

取材・文◎長谷川幸信

番組情報

【DIR EN GREY 7〜9月WOWOWスペシャル】
■DIR EN GREY Member's Interview
2023年7月1日(土)より配信[WOWOWオンデマンド]
7月1日(土)Shinya ver.
7月8日(土)Toshiya ver.
7月15日(土)薫 ver.
7月22日(土)Die ver.
7月29日(土)京 ver.

DIR EN GREYのインタビュー番組からメンバー個別版をWOWOWオンデマンド限定で配信する。7月1日(土)より毎週土曜に、「Shinya ver.」「Toshiya ver.」「薫 ver.」「Die ver.」「京 ver.」を順に公開。個性あふれるメンバーひとりひとりをフィーチャーする。

■DIR EN GREY TOUR23 PHALARIS -Vol.II-
2023年8月11日(金・祝)午後5:15 放送・配信[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
(※放送終了後~1カ月間アーカイブ配信あり)

タイトルに“Vol.II”とある通り、今回はアルバム発売直後の2022年6月から行なわれた全国ツアー“Vol.I”の続編となる。2022年10月からは、アルバムツアーとは別に25周年記念ツアー<DIR EN GREY 25th Anniversary “TOUR22 FROM DEPRESSION TO ________”>を開催し、初期楽曲を多数披露した。一貫して“痛み”と向き合い、“死”も芸術表現として昇華させてきた彼らのパフォーマンスは、コロナ禍を経てよりタフさを増し、強い“生”の輝きを放っていた。“Vol.I”から1年がたち『PHALARIS』の表現にはどのような変化が生まれるのか?変幻自在な音楽性と衝撃のライブパフォーマンスで世界をとりこにしてきた彼らの最新の姿を目撃してほしい。

収録日:2023年5月22日(月)
収録場所:東京・Zepp Haneda

■DIR EN GREY Interview Special
2023年9月放送・配信予定

2022年6月に3年9カ月ぶりに11枚目のオリジナルアルバム『PHALARIS』をリリースすると、アルバム名を冠した全国ツアーを2022年と2023年に二段構えで決行。さらに2022年10月から25周年記念全国ツアーも行うなど、精力的に活動を続けている彼らの、撮り下ろしインタビュー&ドキュメンタリー特番をお送りする。

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