【インタビュー】川崎鷹也、アルバム『ぬくもり』完成「あなたに向けて曲を書いてきました」

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■親としてのパワーを感じられる
■家族を守れるスーパーマンになれたら


──川崎さんのパーソナルな面が出た楽曲というと「4.11」と「This is 人生」だと思うのですが、なかでも「4.11」は我が子へ親としての強い思いが綴られていると感じました。

川崎:2020年に子どもが生まれて、成長はうれしいけれど、育児って本当に大変なんだなあ…と痛感しています。でも、“うちの子はきっと僕らを選んでくれたんだ”と僕ら夫婦は信じてきたんですね。子どもが大人になった時に“父ちゃんが自分のために書いた曲がある”と思ってもらえるような曲を、今のうちに書いておこうと思って作ったのが「4.11」です。

──お子さんの曲といえば、前作『カレンダー』収録曲「ぼくのきもち」ですが、“我が子がこういうふうに思ってくれていたらいいな”という理想をお子さん目線で綴っていました。でも、「4.11」には“君の眼に映る僕はスーパーマンさ”という一節があって、この2年間に親としての心境の変化があったのではないかと感じましたが、いかがでしょうか?

川崎:「ぼくのきもち」を作った頃はてんてこ舞いで、どう育児していいか、何が正解なのかもまったくわからなくて。でも2年経った今、少し僕ら家族のことを客観視できるようになったので、自ずと楽観視もできるようになってきたんです。そうした時に改めて、“自分の人生において我が子の存在はすごく大きい”と思ったんですよね。仕事で家に帰れないことも多いですけど、やっぱり子どもの顔を見ると疲れがすべてがリセットされるし、どれだけ疲れていても抱っこできる。そういう親としてのパワーみたいなものを感じられるようになってきたんです。だからこそ、この曲を作ることができたんだと思いますね。“スーパーマンだったらいいな”って感じです(笑)。


──歌詞では“僕はスーパーマンさ”と書いているものの、実際は控えめですね。

川崎:たぶん一生自分のことを立派な父親だとは思えないでしょうね。でも子どもが生まれてから、自分のために頑張るというよりは、奥さんと子どものために頑張るというモチベーションができたんです。“どうしたら家族全員がハッピーでいられるかな?”と考えるようになったのは、親になって最も大きな変化。そういう意味でも家族みんなを守れるスーパーマンになれたらいいなと思います。

──「4.11」も「ぼくのきもち」と同じくゴスペル調のアレンジですが、関連性を持たせたところもありますか?

川崎:言われてみたら、どちらもゴスペルっぽいアレンジが入ってますね。全然意識してなかった(笑)。曲作りの段階からコーラスラインは壮大なゴスペル調にしたいなというイメージがあって、専門学校時代からの師匠にコーラスのオファーをしました。僕はシンガーだから、声の持つ力、声が合わさった時の化学反応を信じているんです。「4.11」でも、後半からどんどん世界が広がっていくイメージをアレンジでも表現したかったんですね。

──音の広がりが、家族がこれから歩んでいく未来のイメージとリンクして聞こえました。あとゴスペル風のコーラスが入った後の“君のいないこの世界は/明かりのない暗闇のよう”というセクションは、ファルセットで歌い始める川崎さんが新鮮でした。

川崎:その2行は愛情深いという意味ではポジティヴなんだけど、ちょっと切なさや寂しさを孕んでいる歌詞で。でも言葉だけだとその入り混じった感情や、子どもへの思いを表現しきれないと思ったんです。だからこそのあのメロディであり、ファルセット始まりなんですね。



──「4.11」は3歳のお子さんを持つ川崎さんの生々しい思いが綴られていますが、「春が来る」は『スーツのはるやま』CMソングに書き下ろされたということもあって、一人立ちする子どもを持つ親御さんの思いが綴られています。人生のシビアさを説く歌詞も印象に残りました。

川崎:子どもが大きくなった時のことを想像したり、CMを観ながら“俺がこの親の立場だったらどう思うんだろう?”と考えたことも含めて書いた曲ですね。親から子へ伝えたいことを考えた時、人生の豊かさや幸せ、愛やぬくもりはもちろん、それだけじゃないという気持ちがあったので。ちょっとハッとするというか、胸が痛くなる歌詞も書きました。

──「4.11」や「春が来る」のような歌詞が書けるようになったのも、川崎さんが大人になったからでしょうか?

川崎:どうでしょうね…大人になっていたらうれしいですけど、そのあたりはわかんないな(笑)。


──冒頭でご自身もおっしゃってましたが、過去曲のリアレンジバージョンもしっかりとパワーアップされていますよね。なかでも「君の為のキミノウタ」は、原曲が2018年にリリースされているので、改めて聴き比べると、歌のムードが全然違うことに驚いて。

川崎:今の奥さんに向けて書いた曲ですけど、この曲を作った2016年はまだ結婚してなかったので。やっぱり今とは間違いなく歌うときの感覚が違いますね、リアルタイムな感情で歌える曲なんです。でも、彼女が奥さんになっても、伝えたい、届けたいメッセージは書いた時とまったく変わっていなくて。歌う時の感情がどんどん進化しているというか。奥さんへの思いはずっと変わっていないんだろうなと思います。

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