【MORCライブレポート】KIX、地道なライブ活動で培った爆発的なパフォーマンス力

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1981年にデビューしたアメリカのKIXは、このクルーズフェスティバル<Monsters of Rock Cruise 2023>では常連ラインナップ。船内の一番大きなライブ会場も満員であるし、歌の力量だとか、ギターのテクニックだとか、そんな事ではなくライブを観たらきっと心から魅力されてしまうバンドなのである。



スティーブ・ホワイトマン(Vo)が登場したその瞬間から会場の空気感が一気に高揚する。赤いシャツに黒ベスト、そしてスパンコールのジャケットに身を包み、「Hot Wire」「Red Lite, Green Lite, TNT」両日ともにパワフルなナンバーから始まる。ブライアン・フォーサイス(G)、ロニー・ユンキンス(G)、ジミー・チョコレート(Dr)、マーク・シェンカー(B)の放つ乾いたグルーヴが場内を支配していく感がもうたまらない。終始動き続けるホワイトマンからも目が離せないし、キレのあるアクションで時にコミカルに、時にセクシーにも見せるパフォーマンスは全く衰えていないのだ。解散した時期もあったが、バンドが30年以上プレイしてきて、「未だに昼の仕事はした事がなく過ごせている」と言えるバンドはそう多くはいないと思う。













1988年にプラチナ・セールスを記録したアルバム『Blow My Fuse』からの選曲が中心のセットは当時の音楽シーンを思い起こさせてくれるし、「No Ring Around Rosie」でのハーモニカや「Girl Money」でのドルマークサングラスでもホワイトマンは楽しませてくれる。そして途中、謎のゴリラも観に来たりするのがこのフェスならでは。

ルックス的にも技術的にも特別なわけでなく、アルバムを聴くだけではそこまでの魅力は伝わらないかもしれないが、ブレイクするまでの苦節時代に地道なライブ活動で培ったパフォーマンスは爆発的な威力を持っている。たしか初来日時のBURRN!の人気投票でも上位にランクインしていたはずだ。







一曲歌い終わる度に「Thank you!」、観客は「You're welcome!」と応えるのがKIXのお約束なのだが、それに「Fuckers!」を付けてくれ、とホワイトマン。まるで指揮者のように両手を振り、「You're welcome, Fuckers!」をまずは練習させるのだ。以降、このコール&レスポンスは何度言ったことか(笑)。

最大のヒット曲「Don't Close Your Eyes」の大合唱はもちろん、このバンドの優れた点のひとつとして、「Cold Blood」のようなブレイクが入る曲がとにかく上手い。フロント4人が膝を付くフォーメーションも変わらず、「Are you ready for blow my cruise?」とクルーズバージョンでの「Blow My Fuse」まで、一瞬の隙もないショウだった。





文・写真◎Sweeet Rock / Aki

<KIX ~ Monsters of Rock Cruise 2023 ~>

2023.4.30 & 5.2 Mariner of the Seas Port Canaveral Concert, FL , USA
<1st Stage / 4.30>
1.Hot Wire
2.Midnite Dynamite
3.No Ring Around Rosie
4.Same Jane
5.Get It While It's Hot
6.Girl Money
7.The Itch
8.Don't Close Your Eyes
9.Wheels in Motion
10.Cold blood
11.Blow My Fuse
<2nd Stage / 5.2>
1.Red Lite, Green Lite, TNT
2.Midnite Dynamite
3.No Ring Around Rosie
4.Scarlet Fever
5.Get It While It's Hot
6.Girl Money
7.Don't Close Your Eyes
8.Baby Time Bomb
9.Cold Shower
10.Cold Blood
11.Blow My Fuse
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