【インタビュー】超学生の「推し愛」と「誠意」と「探究心」
■生感を研究すればするほど、いかに元の歌がどれだけ大事かを痛感
──超学生さんはどの曲もコーラスワークが面白いですよね。それこそメインボーカルのピッチを触ってハモリを生成するようなデジタル的要素もあれば、ご自身でコーラスを入れる生要素もあって、そのハイブリッドというか。
超学生:ずっと響いててほしい!と思うくらいもともとハモリが大好きで。僕の音楽経験が「歌ってみた」講座の動画を観ながら自分で「歌ってみた」をミックスをするところから始まっているので、その時にパソコン上でしかできない魔法のようなものを感じたのが原体験のような気がします。だから今もああいう感じが好きなのかな。「スペースキャットビッグバン」はど頭からずっとハモリが鳴っているので、大好物なんです。
──それこそデジタルで作り出したハモリは、“ボーカルと“音”のちょうど真ん中のようなものだと思うんですよね。だからこそ通常の声を重ねたコーラスワークとは違う感覚を味わえる。
超学生:実際の録音したハモリと、メインから生成したハモリが巧みに切り替わってるのもいいのかなと思っていますね。デジタルで生成したハモリはメインボーカルを補強してくれるぶん厚みが出るし、実際にハモリを録音するとメインとは違う揺らぎ方をする声が合わさるからこその躍動感が生まれるし。ラスサビの“キミと出会えたのはビッグバン”のところはマイクから離れて何回か僕が“ビッグバン”と叫んだテイクを混ぜてもらってるところは、まさに後者ですね。
──先ほど“可愛い”と感じるものについて“両極端なもののハイブリッド”とおっしゃっていましたが、超学生さんの表現もそこがテーマになっているかもしれませんね。
超学生:デジタルと生の融合は、最近の僕のミキシングのテーマでもあるんです。ピッチ補正についてもさらに勉強しているんですけど、実際の声をデジタルで触るにあたって、生感を研究すればするほどいかに元の歌がどれだけ大事かを痛感していて。
──あら、かなり大きな気付きではないでしょうか。
超学生:そうですね(笑)。今も昔もリラックスして気軽に録ることを大事にはしているんですけど、前はちょっと歌のピッチがずれてもミックスでどうにかなると思っていたんです。でも生が良くなると、ミックスがより良くなるんですよね。それが最近の僕の中のマイブームなので、歌入れの段階から“こういう声の出し方だとマイクに乗りやすい”とか、“ミックスをした時にどういう声になりやすい”というのを意識したり、本来の歌声も試行錯誤したいな、というモードで。だから歌そのものをもっと研究したいなと思ってるところです。
──歌の研究は、ライブの場でも生きてきそうですね。ライブと言えば、今年3月に開催した初ワンマン<入学説明会>がオンライン配信されるということで。あれだけの曲数を歌い続けるのは、スタミナ的にはいかがでしたか?
超学生:いろんな方々から“全然息切れもしてなくて、声も最後までキープできていてすごい”と言っていただいたんですけど、あれが限界点すれすれでしたね……。リハーサルを何度も重ねて、ぎりぎり完走できるセットリストがあの日の内容だったんです。次回のワンマンまでに工夫や対策を練りながら、3、4年続いているランニングを糧に体力ももうちょっとつけられたらなと思っています。次回までに改善したいところもいくつかありますね。
──差し出がましいことを言えば、ライブ経験がものすごく豊富というわけではないのに、あのアイデアだらけのライブを完走できたんですから、ご自分を褒めてもいいと思いますよ。
超学生:ありがとうございます(笑)。とはいえもっと自分の動きを洗練させなきゃなと思いましたし、メイクさんやスタッフさんも「初ワンマンであれだけできるのはすごいよ」「完璧だったよ!」と言ってくれるんですけど、「しいて言うならどこを直せばいいですか?」と聞くと、大体何かしら出てくるんですよ。
──(笑)。そこを貪欲に聞けること、すごく感心します。人からの指摘はダメージをくらったりしちゃうとも思うので。
超学生:それは超学生をあまり自分だと思ってないからかも。僕自身は超豆腐メンタルなんですけど、超学生を操縦しているパイロットみたいなポジションなので、厳しいことを言われているのは僕自身というより超学生という認識なんです。<入学説明会>はあのときやりたかったことは全部できたし、観ていただいた方にはおおむね好評のようで良かったです。今できる最大限の変なことをできた実感がありますね。
──“変なこと”も超学生さんのキーポイントかもしれないですね。
超学生:やっぱりストレートにかっこいいライブはいろんなアーティストさんがやってらっしゃるし、かと言っておもしろを取り入れたライブは仲良くしていただいているめいちゃんやGeroさんといった先輩がやってらっしゃるし。既にやっている方がいるなら超学生はやらなくていいかなという考え方は、ライブにも持っているんです。だから<入学説明会>も、ぎりぎりコメディにならないようには気を配りましたね。
──なるほど。“変なこと=超学生にしかできないこと”とも言い換えられそうです。
超学生:ああ、そうですね。“これはやりたくない”と避けたものは、だいたいが“誰かがもうやってること”でした。そういうものをかいくぐっていった結果、<入学説明会>もあまりこれまでに見たことがないような絶妙な雰囲気のものになったというか。だからライヴにしても楽曲にしても、観てくださった方、聴いてくださった方の感想が知りたいんですよね。
──ご自身がパイロットとなり超学生に“ほかの人がやっていないこと”をしてもらって、周りの皆さんやファンの方々と一緒に育てていく。それが超学生に捧げる無償の愛や推し活かもしれませんね。
超学生:確かにそうかもしれません。僕自身も“超学生もっとこうしたらいいのに”と思うことが結構あるし、そのなかには一朝一夕では到達できないものもたくさんあるんです。あとは新たな実現のために誰かの力を頼ったり、皆さんの意見も取り入れながら試行錯誤していくのも大事だし、多くの人が僕を知ってくださった「歌ってみた」を続けることも皆さんに見せられる誠意のひとつだとも思っているんです。今後も焦らず、活動を続けていきたいですね。
取材・文◎沖さやこ
写真◎野村雄治
「スペースキャットビッグバン」
配信URL:https://lnk.to/Spacecatbigbang
作詞・作曲・編曲:栗原暁(Jazzin’park)、久保田真悟(Jazzin’park)、前田佑
TVアニメ『カワイスギクライシス』
・TOKYO MX 4月7日(金)22:30-23:00
・BS朝日 4月7日(金)23:30-24:00
・関西テレビ 4月9日(日)26:29-26:59
権利表記:(c)城戸みつる/集英社・カワイスギクライシス製作委員会
公式リンク集 :https://lit.link/kawaisugicrisis
<超学生 1stワンマンライブ『入学説明会』Online>
チケット料金:
FC会員 3,000円(税込)
一般 3,500円(税込)
学生 2nd LIVE
2023年10月22日(日)パシフィコ横浜国立大ホール
※チケット発売日など、詳細は後日公式ホームページで発表
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