Sir Vanity、2ndライブ開催「今回のライブ、休みがねえんだわ」

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声優の梅原裕一郎と中島ヨシキ、作曲家の桑原聖、クリエイティブディレクターの渡辺大聖。異なるシーンの一線で活躍する4人によって結成され、あくまで「趣味」だと公言しながら活動するバンドプロジェクト・Sir Vanity。彼らの<2nd Live「midnight sun」>が4月2日、東京・Zepp Hanedaにて開催された。

◆ライブ写真

2022年7月に開催した<1st Live「Vain Fish」>から一年を経ずに開催される今回のライブは、一回きりの公演。果たしてこの一点集中ライブで彼らが何を披露するのか、その様子を見ようと会場には多くのファンが詰めかけた。


会場の扉を開くと、夜の森を思わせるセットが観客を出迎える。後方のスクリーンには星空が映し出され、手前には植物が並び、耳を傾けるとそこには動物達のさえずりが聞こえる。そのコンセプチュアルな空間に開演までの時間ゆったりと浸っていると、突如スクリーンに数字が浮かび上がり、カウントダウンが始まる。60から始まったその数字が0になった瞬間、スクリーンが真っ赤に染まり、ステージが照らされる。そこにはSir Vanityの姿があった。

赤く光るライト、その中で一曲目に披露したのは「Dawn」。ボーカルをつとめる梅原裕一郎と中島ヨシキ、二人の声が力強いバンドサウンドともに客席に届けられると、客席はそれに手を振って答える。間髪を入れずに2曲目「Ray」へと移行すると、歌声はさらにエネルギーを増し、それを映えさせるようにステージライトが幻想的な光を放つ。


「声聞かせてくれよ、Zepp Haneda!」中島が叫ぶと、それに観客が答える。Sir Vanityにとって初の声出しライブ、観客の声援からは、この瞬間を待ち侘びていたことが大いに伝わった。

息つく間もなく、続けて「酔狂」が披露されると、会場はさらにヒートアップ。3曲目にして本ライブは既に大熱狂の中にあった。疾走感溢れるナンバーが続いたが、ここで一度口直しのようにミドルテンポの楽曲にスイッチする。「rain」、その心地よさに自然と身体が揺れる。さらに「透明なわたし」が続き、ステージが青い光で照らされる。酔い知れるような音の空間に手拍子を送る観客の姿も見られた。


「今回のライブ、休みがねえんだわ」ここまでノンストップで5曲を披露してきたSir Vanity、身体を張ったパフォーマンスに本音がこぼれる。その一言に、彼らがどれだけの今回のライブに情熱をかけて臨んだかが伺える。
しかし、ここでのMCタイムは長く続かない、熱気を途切らせまいと続いてのナンバーが走り出す。4拍のビートからスタートしたのは「紫陽花」。スクリーンには雨降る海が映し出され、手書き文字で歌詞が綴られていく。楽曲のエモーショナルさを演出がさらに加速させた。

ここに失恋3部作の「goldfish」「finder」が続く。先ほどまで雨降る海が映し出されていたスクリーンには、気づけば満点の星が現れる。さらなるエモーショナルが会場中に溢れ、涙を見せる観客もいた。失恋3部作を終え、会場が暗闇に包まれる。そこにスポットライトが落ち、Sir Vanityの面々が照らし出されると、客席からは歓声が上がった。


「次は記憶に関わる曲です」そう曲ふりがなされると、梅原にのみスポットライトがあたる。歌い始めたのは「桜、猫、電車」。梅原の歌声とギターに他メンバーの演奏が合流、それにあわせてステージ全体に光が落ちる。バンドメンバー全員が楽しみながら演奏している、それが客席ににも一層伝わってくるナンバーだった。続いては「マイペース・メイカー」。エネルギッシュな演奏がスタートすると、応えるようにライトも青に、黄色にと目まぐるしく点灯する。観客は頭上に手を掲げ、曲にあわせて左右にふる。会場が一体感に包まれた瞬間だった。

さらにサウンドの力強さがさらに一段階上がり、誘発されたようにスモークが吹き出す。披露したのは「HERO」、サウンドに合わせて無数のレーザーが開場中を駆け巡った。“ノンストップ”という言葉通り、続いての曲がすぐに運ばれてくる。赤い光と白い光、二つがせめぎ合うステージの中で披露したのは「悠」だ。圧倒的な音の力に場内は昂らせられる。そこにハードなロックサウンドが続く。「will」、そのエネルギッシュな音に観客は手を天に掲げる。

この盛り上がりを途切れさせまいとドラムソロが唸りを上げ、バンド面々の演奏が合流してスタートしたのは、彼らのデビュー曲「Vanity」だった。ここまで文字通り、ノンストップで4曲が披露されたのだった。


「次が最後の曲になります」「えー!」「そう言われてももう曲がありません、全曲やりました!」そんな微笑ましい観客とのやりとりから、ラストナンバーがスタートする。今回のライブを締め括ったのは「一日の終わりに」。当たり前のように過ぎ去っていく毎日の尊さを歌った本楽曲、爽やかな歌声が響くと、スクリーンには一日の締めくくりのように夕暮れの空が映し出される。曲の終わりには大量の紙吹雪も降り注ぎ、本ライブは大盛況のまま終わりを迎えたのだった。

「一日の終わりに」を終え、会場は拍手に包まれる。拍手は徐々に手拍子に変わり、「アンコール」というリクエストが加わる。そこにSir Vanityの面々が帰ってきた。改めて今回ライブが開催できたことへの喜びを語ると、グッズ紹介のコーナーへ。ここまでノンストップで、息つく間も無く展開された今回のライブ。グッズ紹介は実にゆるいトーンで行われ、そのギャップが笑いを誘う。

そしてアンコールも締めくくりに突入する。とはいえ全ての曲を披露しきってしまったため、アンコールでは観客のリクエストに応える形で既に披露した曲を再演するとのこと。再演候補に選ばれたのは「透明なわたし」「一日の終わりに」「マイペース・メイカー」の3曲だ。結局3曲とも披露する流れになり、これらをメドレーで披露すると、本ライブの本当の締めくくりが訪れたのであった。


(c)2023 Sir Vanity

1st Mini Album『midnight sun』


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¥2,200(tax included)
1.Dawn
2.一日の終わりに
3.桜、猫、電車
4.透明なわたし
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