【インタビュー】堂村璃羽の“オハコうた”は？

歌とトークでアーティストの素顔と魅力に迫るTOKYO MXの音楽番組『Artist#18File』。3月は、日本のみならず海外からの注目度も高いシンガーソングライターの堂村璃羽が登場。若い世代の代弁者としてSNSでも話題になっている彼が、自身の楽曲スタイルのきっかけとなったオハコうたや、最新アルバム『夜景』からの楽曲を披露する。

──堂村璃羽さんのオハコうたは、大柴広己さんの「さよならミッドナイト」。この曲を選んだ理由を聞かせてください。

堂村璃羽：音楽活動を始めるにあたって、僕はボーカロイドの「歌ってみた」界隈から入ったんですが、どんなカバーをしようかなって探していた時にこの曲を知り、まずタイトルに惹かれたんです。いろいろな歌い手の人がカバーしていて気になったから覗いてみたら、めっちゃ良い曲で。今の自分の楽曲スタイルにつながるきっかけにもなったし、学んだことも多かった曲なので、今回オハコうたとして選びました。

──この曲のどういうところに魅力を感じましたか？

堂村璃羽：＜テーブルの上に缶ビールとコンドーム＞なんて生々しいワードもありつつ、でもメロディーはすごく綺麗。攻めているようで、曲全体としてはバラードで落ち着いてるっていうところと、背景とかも読み取りやすいのに直接的で簡単すぎないリリックが魅力だと思います。

──今回の歌唱のポイントはどういうところになりそうですか？

堂村璃羽：いろいろな歌い手さんに感化された部分もあるんですが、メロディーをちょっとアレンジしている部分です。僕は語尾を下げたりしがちな癖もあるので、原曲との違いも楽しんで聴いていただけたらと思います。

──次に、代表曲として歌っていただく「溺れ愛 Remix」について聞かせてください。

堂村璃羽：この曲は、両思いなんだけどちょっと男の子の方の気持ちが強いっていう恋愛ソング。想い過ぎている気持ちを言葉にすると嫌われてしまうかもしれないっていう心配もあるんだけど、自分を選んでくれた相手にはしっかり恩を返していくみたいな楽曲になっています。

──この曲は、今年1月に配信リリースされたアルバム『夜景』でセルフカバーされているんですよね。

堂村璃羽：はい。もともと大好きな曲で2020年に一度リリースしているんですが、今回のアルバムにリミックス版として収録されています。すごくおしゃれな音色に仕上がっているので改めて注目していただきたいなと思い、今回歌うことにしました。あとは、今TikTokでたくさんの方が踊ってくれているので、リスナーさんとの距離を縮めるためにも、そしてまだちゃんと聴いたことなかったっていう方にも再認識してもらえたらと思って選びました。

──そのアルバムからもう1曲、リード曲の「Prima Stella」も歌っていただきます。

堂村璃羽：周りからバカにされながらも自分の夢を真っ直ぐに追いかけていく男の子と、その姿に惹かれていった女の子の恋愛を描いた曲です。男の子はずっと、誰にも知られていない星を見つけるという夢を追い続けていたんだけど、いつの間にか、自分についてきてくれていたその女の子に心惹かれていき、自分の一番星としてその子のことを思うようになっていたっていうハッピーエンドの曲…なんだけど、実はバッドエンドなんです。

──というと？

堂村璃羽：女の子にとっては夢を追いかけている男の子が好きだったわけで、夢を追いかけるのをやめてしまったら、もうそれは自分が好きだった相手ではない。気持ちが離れていき、すれ違ってしまうっていう裏のストーリーがあるんです。

──いろいろな角度から解釈ができるんですね。

堂村璃羽：例えば音楽でご飯を食べたいと思って辛い下積み時代を頑張っていても、自分を応援して愛してくれる人を見つけた時に、このままではご飯を食べさせてあげられないってなったら音楽をやめて別の仕事に就く人もいる。それも正解だと思うんです。どの職業でも、どんな夢を持っている人にでも当てはまるかなと思って、自分の下積み時代なんかも思い返しながら作りました。何かしらの夢を追いかけている人に聴いてほしい1曲です。

──この曲を歌う時のポイントはどういうところですか？

堂村璃羽：裏声からの張り上げで歌うみたいな切り替えが多かったりして、とにかく難しいです。先日カラオケでも歌ってみたんですが、この曲の点数が一番低かったですから。俺の曲なのになあと思いながら歌いましたけど、点数が低いってことは伸びる余地があるってことなのでもうちょっと頑張ろうかなと思いました（笑）。今回初めてテレビで歌わせていただきますが、いつも通りに歌って、いつも通りの自分を届けられたらなと思っていて。新しく知ってくださった方に、少しでも刺さるものがあったらいいなと思っています。

取材・文：山田邦子