【現地レポート】L'Arc-en-Cielのコラボカフェ『L'Arcafe 2022-2023』の見どころと開発秘話「メンバーの意向を汲んだメニュー」

2022年12月27日(火)から2023年1月31日(火)まで、東京 渋谷のeplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて期間限定でオープンしている、L'Arc-en-Cielのコラボカフェ『L'Arcafe 2022-2023』。『L'Arcafe』は2006年以来、様々な場所を会場にして開催されてきた人気企画で、メンバーが制作に関わったオリジナルフードやドリンクを楽しめるだけでなく、ライヴ映像の上映、衣装やパネル写真の展示を含めたアミューズメントイベントである。その空間に身を置いて過ごす全ての瞬間が、ファンにとってL'Arc-en-Cielを体感できる貴重な時間となっている。盛況のうちに前期が終了し、1月16日(月)からは後期がスタートしており、メニューも一新された。試食レポートを交えながら、メニュー開発の秘話、『L'Arcafe』全体の見どころをお伝えしていく。

◆L'Arcafe (ラルカフェ) 画像18点

来場者は事前にWebでチケットを購入し、ランチ10:00～16:30 / ディナー17:00～22:00共に、2時間ごとの入れ替え制で案内されるシステム。オリジナルのランチセットとディナーコースは2種類ずつ用意されており、事前に選んで注文しておく。既存のカフェメニューも含め、追加注文は店頭で可能だ。前期開催中の某日、取材のために訪れてエレベーターを降り入口に到着すると、食事を終えて帰途につくお客様たちとすれ違い、その幸せそうな姿を目の当たりにし、期待が高まった。




一歩店内に足を踏み入れると、BGMはもちろんL'Arc-en-Ciel。大小様々なパネル写真が展示されており、メンバーを大写しにしたソロショットもあれば、ライヴの空気感が伝わる全景ショットもあり、いずれも色鮮やかで美しい。料理が運ばれてくる前の待ち時間を活かし、多くのお客様がスマートフォンを手に記念撮影に興じていた。

フロア中央にはステージを思わせる広いスペースがあり、巨大スクリーンが設置されていた。両脇には、2022年5月に東京ドームにて開催された＜30th L’Anniversary LIVE＞でメンバーが着用していた衣装を展示。ライヴ映像の上映が始まると、テーブルを離れていたお客様も速やかに着席する。同席者と談笑している様子も見受けられたが、多くの方は静かに、食い入るようにライヴ映像に見入っていたのが印象的だった。



未公開シーンや、配信でのみ公開されたシーンなどの貴重映像を含むライヴ映像は3種類用意されており、各回でどの映像を観られるかは、事前にタイムテーブルでチェックすることができる。この取材日は＜30th L'Anniversary Starting Live “L'APPY BIRTHDAY!”＞(2021年5月29日、30日 / 幕張メッセ国際展示場1～3ホール)の模様が上映され、開演前の気合い入れの場面から、思わず目と耳が釘付けに。スクリーンはフロア各所に設置されており、どの席からも映像を楽しむことができた。

前述した通り、フードメニューは、ランチ、ディナー共に2種類を用意。後期の「ランチセットA」は、大人のお子様ランチをイメージした低糖質パスタプレート。「ランチセットB」は低糖質パンを添えたビーフシチュー。メインディッシュに肉料理をセットした「ディナーコースA」には牛サガリのステーキとタマゴのサラダ。魚料理の「ディナーコースB」には、海鮮のロティと香味野菜のサラダが用意されている。






試食させていただいたのは、「ランチセットB」と「ディナーコースB」。ランチのパンにはL'Arcafeの文字を刻印、また、ディナーのスープにもL'Arcafeの精巧なアートが施されており、口に運ぶのがもったいないほど。市販の食材は極力使わずに開発されたメニューは、味へのこだわりはもちろん、まずは第一印象の美しさ、繊細な表現に、“L'Arc-en-Cielらしさ”を感じた。ランチのビーフシチューの隠し味として使われているバナナは、“L'Arc-en-Cielファンであれば、tetsuyaを想起させる食材だとすぐに分かるだろう。

ランチのデザートは、4ピースのパイ生地と、カスタードクリーム、ホイップクリームをレイヤード。それらを土台に美しく配置されているのは、栗、餡子など、メンバーがセレクトしたという和洋折衷のトッピング。また、ディナーコースA/Bに共通して提供されるデザートには色とりどりのゼリーが用いられ、L'Arc-en-Cielという名前通り“虹”のハーモニーをイメージした、というお品書きにも納得。しかし、逆に言えばそれ以外には「この食材はメンバーの○○発案」という種明かしがあるわけでもない。メンバーは一体、制作にどのように関わったのか？　メニュー開発を担当した齋藤鉄平さんに尋ねると、そこには、四者四様の個性を誇るL'Arc-en-Cielらしい“理由”が存在していた。






「メンバーのみなさんには今ハマッている食材やお料理をヒアリングしたんですが、返答のジャンル自体がまちまちだったんです。食材で答えてくださった方もいれば、もちろん味や、 “こんな感じ”という見た目のイメージで戻してくださった方もいて。ですので、メンバーさんの意見を反映させたメニューを個別に制作するというよりは、“メンバーさんの意向を汲んだL'Arc-en-Cielのメニュー”として全体をまとめた、という感じです。食べながら“あ、これは〇〇さんの好物だな”とか、“あ、これはこういう理由で入っているのかな？”とか、お客さまご自身で考えたり、気付きながら楽しく召し上がっていただけたらいいな、と思いながらメニューを仕立てました」──齋藤鉄平氏(メニュー開発担当)

「世代的にL'Arc-en-Cielはド真ん中なので、お話があった時はうれしかった」と、出発地点を振り返る齋藤さん。名だたるコラボカフェの数々を手掛けて来た彼にとっても、昼と夜とで、世界観をキッチリと分ける、という今回の試みは、珍しいコンセプトに思えたという。

「L'Arc-en-Cielというバンドはファンの方の層がすごく広いイメージがあります。例えば、“すごくポップで元気が出るよね”と感じて好きだという方もおられれば、歌詞に深く共鳴して好きだという方もおられますよね。明るいお昼にエネルギッシュに食べていただきたいメニューと、ムーディーな夜に、アダルティーに楽しんでいただきたいメニューと、これだけの振り幅を出せるアーティストはあまりいない。懐の深い、いろいろな方に楽しんでいただけるお料理になればいいな、という想いで開発しましたね」──齋藤鉄平氏(メニュー開発担当)


オリジナル ドリンク(ソフトドリンク / アルコール)は12種開発し、前期、後期それぞれ6種ずつ提供。齋藤氏曰く、12種というのは数が相当多く、実際に提供するお店側にとってもハードルが高いそうだが、お客様に満足していただくことを一番に考えて踏み切ったという。一つ一つにL'Arc-en-Cielのオリジナルアルバムの名を冠し、作品の特徴に合ったドリンクの色やフレーバーを選択したという。後期は『ray』『REAL』『SMILE』『AWAKE』『KISS』『BUTTERFLY』を展開。ちなみに、店頭でスタッフさんに質問したところ、前期で最も人気が高かったドリンクは『TRUE』だった、とのこと。試飲させていただくと、数種類のベリーの甘みと酸味が溶け合い、さっぱりとした中にも程よい刺激を感じる、奥深い味わいだった。

オリジナル ドリンクは、2杯目を追加注文すると、ジャケットをイメージしてつくられたシロップボトル付きで提供され、ボトルは持ち帰ることができる。それ以外にも、来場者には「特典 / スペシャル スーヴェニア」も用意。ランチを注文した方にはオリジナル コースター、ランチとディナーを注文するとオリジナル ランチョンマットが特典として入手でき、ディナーを注文した方にはスペシャル スーヴェニアとしてオリジナル キャンドルとオリジナル グラスが手渡される。また、土日祝限定でオリジナル ドリンクのテイクアウト販売も行なわれており、こちらはオリジナル シロップボトル / オリジナル コースター付。提供時間帯などの詳細はWebサイトでチェックしてほしい。

カフェに隣接したスペースには、TETSUYAがクリエイティヴ ディレクターを務めるファッションブランド「STEALTH STELL’A」のコーナーを併設(※1月26日(木)～POP UP STOREを再び開催)。アイテムを実際に手に取ってたしかめることができる、貴重な場となっている。

取材・文◎大前多恵