【ライブレポート】KNOCK OUT MONKEY、東名阪ツアーに巻き起こる歓声「この場所は夢と自由で溢れているぞ」
“神戸の暴れ猿”という異名を持つ神戸のロックバンドKNOCK OUT MONKEYが、12月に<東名阪TOUR 2022>を行なった。その名のとおり、東京、名古屋、大阪の3本のライブからなるツアーで、最終日となったのは12月11日、東京・代官山UNIT公演だ。
◆KNOCK OUT MONKEY 画像
18時、照明で真っ赤に染まったステージにサイレンの音と共に現れたw-shun(Vo, G)、dEnkA(G)、亜太(B)、ナオミチ(Dr)の4人。マイクやベース、スティックなどを高く上げながらオーディエンスの拍手に応えるメンバー各々だが、一人、松葉杖を上げる場違いな男が。dEnkAだ。11月25日のEGGBRAINとのライブで左足首を骨折し、全治2ヶ月半の重傷を負ったという。ギプスを巻いた痛々しい姿だが表情は明るいというギャップに、思わず笑い声も漏れる。こうしてライブはなごやかなムードで始まるかに思えた。しかし曲に入る直前、w-shunはこう叫んだ。
「葬式みたいなライブしに来たんじゃないんだ! 声ぐらい、いいんじゃないか!? 準備できてんのか!? 遊ぼうぜ、東京!!」──w-shun
w-shunの言葉を合図に、今まで溜まりに溜まっていたものが大歓声となって一気に噴き出した。そして「Primal」からライブに突入するや、オーディエンスはコブシを上げ、コーラスを歌い、曲に合わせて飛び跳ね、KNOCK OUT MONKEYとひとつに。ステージにいるのが神戸の暴れ猿なら、フロアを埋めつくすのは東京の暴れ猿たち。客席後ろからはマスクしているお客さんの顔が見えないから、コロナ禍前のライブを思わせる光景が会場に広がっている。“声出し解禁”と事前にアナウンスしてライブやツアーを始めているバンドも徐々に多くなってきているが、KNOCK OUT MONKEYの場合は、突然始まった。
「忘れたのか? ライブハウスで汗を流しまくっていたあの頃を。俺の歌が聴こえないぐらい声を出してもいいんじゃないのか? あなたの人生のあなたの時間、好きなだけ楽しんで! 前から後ろまで全員、連れて行く!!」──w-shun
もちろん政府や自治体等のガイドラインはもとより、入場時の検温やライブ中のマスク着用などのルールはきっちり守ったうえで、会場からの許可も得てのこと。大きな前進だ。ライブ特有の解放感を取り戻した気分。KNOCK OUT MONKEYのパワー全開の音を浴び、高まった気持ちのままコーラスを歌い、バンドとエネルギーのキャッチボールを思いっきり楽しむオーディエンス。巻き起こる歓声は、メンバー4人の表情をほころばせ、バンドサウンドの熱量もどんどん高めさせ、ライブパフォームの激しさにも拍車が掛かるばかり。バンドとオーディエンスが一緒になって作り出すライブの醍醐味がここにあった。
「Unite」では、“新しい世界へ 今 踏み出すとき”と、今ここで起こっていることに重ね合わせ、歌詞のひとつずつを強くメッセージしながら歌うw-shun。それを受けて、サビでは大きなコーラスが。いい意味で遠慮がなくなったオーディエンスに向けて「ライブハウスにお帰りなさい!」と大歓迎した。
ナオミチのファンキーなドラムソロからライブは後半へ突入。MCでは、ツアー先の名古屋から東京に前乗りした昨日、三浦霊園に眠るhideのお墓参りに行ったことも明らかにされた。“曲をお借りします”ということや、hideさんに生かされてきたバンド人生であることをhideの墓前に報告できたという。そしてオーディエンスに向かってこう語った。
「“好きだ”ってことを“好きだ”と言い続けた結果、ご縁が生まれました。一緒に歌ってください。この場所は夢と自由で溢れているぞ」──w-shun
w-shunの喜びに満ちた声で始まったのが、hide with Spread Beaverのカバー「ever free」。2023年の元旦に配信限定デジタルリリースすることも決まっている。尊敬と愛情がこもっているだけに、オリジナル曲に忠実だが、亜太が歌う場面やフックあるアレンジも。曲のエンディングでは、12月13日が誕生日のhideに向けて「hideさん、お誕生日おめでとうございます」と祝福するKNOCK OUT MONKEYとオーディエンスだった。
気持ちはひとつになったまま続くライブ。曲やプレイはラウドであっても、必ずキャッチーなメロディが貫かれているのがKNOCK OUT MONKEY。気持ちは蹴り上げられ、テンションは高まるばかりだ。
「暴れたいヤツもいるやろ。でもモッシュやダイブはまだ早い。暴れられるときが来たら、自信満々で飛んでこい。そのときは俺もそっちに飛びたい。これからもちょっとでも進めるように、来年もバンドマン、頑張らさせていただきます。今年1年、お世話になりました」──w-shun
そう言いながら本編ラストに披露したのは「Sunrise」。オーディエンスもコーラスで加わり、ダイナミックなスケール感とライブ感で描き出すその曲は、まさに新しい夜明けを強く感じさせることにもなった。
アンコールでは、約10年間お世話になったマネージャーが今年いっぱいでKNOCK OUT MONKEYから離れるということで、サプライズでマネージャーへ捧げる新曲「Say, Good bye」をプレゼント。これまで共に歩んできた道のりや感謝の気持ち、バンドマンとしての決意を歌にした曲に、マネージャーも男泣き。オーディエンスからも感謝の大拍手が贈られた。
そしてラストは強い意志をラウドな音と共に炸裂させる「Flight」をオーディエンス全員の掛け声と一緒になって決めた。ライブというよりは祭り。ワンマン版<猿爆祭>と呼べるステージとなった。そして2023年2月3日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて自身主催フェス<KNOCK OUT MONKEY presents『猿爆祭 2023 in Tokyo』>が開催されることも発表となった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎かわどう (@kawado_photo)
■ワンマン<東名阪ツアー 2022>12⽉11⽇(⽇)@東京・代官⼭UNIT
02. Laying down the rails
03. RIOT
04. Gun shot
05. Bite
06. Do it
07. Unite
08. Paint it Out!!!!
〜Drum Solo〜
09. Summer Days
10. サルビア
11. HOPE
12. Don't go back
13. ever free
14. Black or White
15. Wonderful Life
16. JET
17. Sunrise
encore
18. Say, Good bye
19. Flight
■配信限定デジタルシングル「ever free」
▼配信サービス一覧
Apple Music/Spotify/LINE MUSIC/YouTube Music/AWA/KKBOX/RecMusic/dヒッツ
■<KNOCK OUT MONKEY presents『猿爆祭 2023 in Tokyo』>
http://knockoutmonkey.com/live/enbakusai2023-intokyo/
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