【速レポ】<SAI 2022>DAY2、ELLEGARDEN「とにかく今日はここに来れて嬉しかったです」

ポスト
no_ad_aritcle

会場が暗転しSEが流れるなか、ステージの背にある巨大ヴィジョンにバンドロゴがせり上がってくる。映像ではあるが、まるで大きなバックドロップがスルスルと上がっていくような感じで、それに合わせるように拍手や歓声がどんどん大きくなっていく。登場するのはELLEGARDEN。

◆ELLEGARDEN ライブ写真

5年前の<SAI 2017>では、細美武士(Vo, G)はthe HIATUSで出演した。その翌年の2018年、ELLEGARDENは10年ぶりに活動を再開し、そしてこの<SAI 2022>への出演となる。現在は、16年ぶりのワンマンツアー<Lost Songs Tour 2022>を回っているELLEGARDENだが、コロナ禍もあってまだなかなかライブを観れていないという人も多いだろう。この日、このステージを待っていたという観客の熱量が、歓声や拍手を通じて伝わってくる。





「Fire Cracker」でスタートしたライブ。のっけからドライブ感のある力強いバンドアンサンブル、そして会場を突き抜けていくようなブライトなメロディとヴォーカルに、フロアでは一斉に手が上がって、そして手拍子をする。観客は、余すことなくこの音を全身で浴びようと前のめりでステージにかぶりついている、という感じだ。そこから、歌心に溢れ、また構築的なサウンドによる「Space Sonic」、ど頭からコブシが掲げられたエネルギッシュな「The Autumn Song」、そして「風の日」を連投。生形真一(G)による緻密なギタープレイ、曲の体感速度を司る高橋宏貴(Dr)のビートと、曲の温度感を操る高田雄一(B)によるベースライン、エモーショナルにグッドメロディを紡ぎ出しその声を遠くまで放っていく細美。活動休止前にリリースしてきた曲たちだが、それぞれ今なお鮮やかなまま、そして今この瞬間のアンサンブルで奏でその曲の最高の熱量とアグレッシヴさを更新しながら、序盤から飛ばしていく。曲の終わりには、メンバーの笑顔が覗いた。

「こんばんは、ELLEGARDENです」という細美の挨拶に、待っていたとばかりに歓声が湧く。この日のTシャツは、9月にBRAHMAN、マキシマム ザ ホルモン、10-FEETとともに行なった<BAND OF FOUR -四節棍->のものを着てきたという。「また会えて嬉しいです」と語るとともに、「今日、お初にお目にかかる方もたくさんいらっしゃると思うんですが、我々ELLEGARDENと申します、ぜひ以後お見知りおきをよろしくお願いします。これからもフェスとかでお目にかかる機会があると思いますが、その度にかっこよくなっていく俺たちを、楽しみにしていてください。ACIDMAN今日は呼んでくれてどうもありがとう」と語る。


「Supernova」でスタートした中盤は、よりド派手なライティングや映像も加わって、曲がまばゆさを増していく。続けざまに最高のライブでのキラーチューン「ジダーバグ」で、疾走感のあるサウンドで会場を揺らしていく。かと思うと、「Salamander」ではサイケデリックなギターフレーズを奏で、そして「行こうぜ!」(細美)の声とともに、重厚なロックサウンドが咆哮をあげる。どっしりと、そしてド派手な響きで会場に鳴り響くビート、濃い音の絡みでグルーヴを上げていくサウンドがフロアの温度を上げて、一体感を生んでいく。

「本音を言えば、次の10-FEETもMr.ChildrenもACIDMANさえもぶち抜いて、このままずっとやっていたいですが」という細美に、拍手と歓声が上がる。「まあ、それは次に会った時にやろう。とにかく今日はここに来れて嬉しかったです」。その言葉にさらに拍手は大きくなった。





「もしかしたらそのうち、大きな声で一緒に歌える時がくるかもしれない。そんな時がきたら、ぜひ大声で一緒に歌ってもらいたい曲があります。今日は残念なんだけど、さっきから、俺たちが休止していた間もずっと曲を聴いていてくれたんだなって。今日は会えて嬉しかったなって、本当に思いながらライブができました。また会おうぜ」と、「Make A Wish」につなげていく。以前のライブでは、前半のアルペジオやゆっくりと歌い出されるオープニングから歓喜の声が上がり、さらに大合唱を巻き起こしていくこの曲。今回はまだその形はかなわないが、バンドとともに今同じ空間でこの曲を味わっているという観客の思いが、勢いよく爆発していくバンドサウンドに乗って、多幸感を放っていった。

このフレンドリーな時間を締めくくったのは、10月末にリリースした新曲「Strawberry Margarita」。これぞポップパンクというキャッチーで疾走感のあるサウンドに、コーラスやハーモニーが効いた切なくもブライトなメロディが冴えわたる。最後まで、コブシにぐっと力が入るセットリスト。ラストのジャンプが決まったところで、大きく、長く拍手が送られた。


取材・文◎吉羽さおり
撮影◎三吉ツカサ/石井麻木

セットリスト

1. Fire Cracker
2. Space Sonic
3. The Autumn Song
4. 風の日
5. Supernova
6. ジターバグ
7. Salamander
8. Make A Wish
9. Strawberry Margarita

■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>

2022年11月26日(土) さいたまスーパーアリーナ
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ

この記事をポスト

この記事の関連情報