【速レポ】<SAI 2022>DAY2、マキシマム ザ ホルモン「今日は塾の友達の誕生日会に呼ばれたみたいな感じ」
スタンディングのフロアも前から後ろまで、そしてスタンド席はステージを真横から見下ろすくらいの最上段まで、みっしりと観客で埋まっている。コロナ禍でのフェスではあまり見ることができなかった、本来の意味での満員の会場。その会場にSEが響きわたると、盛大な拍手、手拍子、そして歓声が起こる。登場するのは、マキシマム ザ ホルモンだ。
◆マキシマム ザ ホルモン ライブ写真
「maximum the hormone II ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」でスタートを切ったライブは、この会場全体が大きくうねりを帯びていくように、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)やマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)のヘッドバンギングに合わせ、フロアやスタンドのヘドバンが波打つように一面に広がる。この光景をさらに熱くするように上ちゃん(4弦)はアグレッシヴにベースをプレイし、ナヲ(ドラムと女声と姉)は自らの歌唱パートで、ドラムセットからステージ真ん中のお立ち台へとステージを移しキュートに歌い踊る。メタルもディスコも全速力で衝突していくようなサウンドと、アクロバティックなステージ上、さらに三面の大型ヴィジョンではリアルタイムのステージ映像と様々な映像、歌詞がザッピング的に映し出されてと、のっけから脳の処理が追いつかない状況だ。もはや、頭を振るしかない。
ナヲは、絶壁のようにそそり立った観客で埋め尽くされたスタンド席を見て、「すごいね、<SAI>!」と叫ぶ。結成25周年を迎えたACIDMANにおめでとうと伝えると、「ACIDMANとはだいたい年齢も一緒だし、私もね、大木とは2〜3ほど熱い夜を、ね」と会場をわかせる。同年代で活動歴も同じくらいだが、実はライブハウスでの対バンはないという両者。
「フェスとかでは一緒になって話すんだけど、ライブハウスで一緒にやってないから、同世代で仲もいいし友だちもいっぱいいるんだけど、塾の友達みたいな感覚? だから今日は塾の友達の誕生日会に呼ばれたみたいな感じ」というナヲに、ダイスケはんは「ちょっと緊張してるのね」と笑う。とはいえ、「若手も大御所もいっぱいいますけど、ここに立ったら男も女も年齢も関係ありません。やるしかないんですよ!」というナヲの叫びに爆音が重なって、キラーチューン「恋のメガラバ」へと突入。ドレッドヘアを鞭のようにしならせヘッドバンギングしながらど迫力のリフを鳴らしていく亮君、暴れまわりながらもグルーヴィなベースラインで観客をジャンプさせる上ちゃん。そのサウンドに、会場に壮大に広がっていくヘッドバンギングやジャンプ、ダンスの波が凄まじい。そこにさらに、超重量級のメタリックなリフトビートを連打する「F」では、もう観客も思いおもいの動きで轟音を浴び、堪能する。
<SAI>初日もいろんなアーティストから、“ACIDMAN大木による食事の席での宇宙話”がMCで話題となっていたが、大木とは同い年で実はご近所さんだというダイスケはんもまた、そのひとりのようだ。「ちょっと前に大木と久しぶりにご飯行って、出るんかなと思ったら、やっぱりはじまりまして。今日は特別に、一体大木がどんなことを喋ってるか、かいつまんで紹介します。例えばこれです」──そのダイスケはんの言葉で、大型ヴィジョンにダーンと打ち出されたのは『ノアの方舟 マヤ文明』の文字。「で、ここはまだ序の口。もうちょっといくとこうなります」と、プレゼンテーションのように繰り出されていく。ダイスケはん曰く、最終的にいちばん盛り上がった結末が『島忠最高!』だそうで、そんなふたりの間の話をおすそ分けしてもらったところで後半はさらに怒涛になっていく。
腹に響くキックと迫力のグロウル、そして数小節ごとに展開していくプログレッシヴで、あるいは支離滅裂な夢のような「爪爪爪」、そして「アカギ」が連投される。会場には熱気が立ち上っているが、もちろん4人のアンサンブルは1ミリの手加減もなく、ますますスピードとヘヴィさを加えながらフロアを蹂躙する。短い時間のステージでありながら、音楽でMCで映像でパフォーマンスで全方位で観客を沸かせた、マキシマム ザ ホルモン。
時間がないから端的に、と改めて友だちであるACIDMANの25周年を祝したダイスケはんは、「いろんなことがあって、続けることはすごく大変で。俺たちの人生も君たちの人生、1分1秒先何が待ってるかわからない。何が俺たちを待ち受けているかわからない。だけど今日は、そんなACIDMANを心の底からお祝いしたい、最後にこの曲をACIDMANに届けたいと思います……「tomorrow never knows」」。これに対して、「人の曲! 時間ないんだから止めて! では我々Mr.Childrenの最後の曲です」とナヲが応酬。さらには「こら!これは何のシーソーゲームや!?」とダイスケはん。熱い話かと思いきや、後に登場する大先輩Mr.Childrenの曲をも盛り込んだMCでぶっ飛ばしていく。まさにこのステージ上では怖いものなしで、ラスト「恋のスペルマ」までコッテリ濃厚に、キャッチーなライブを繰り広げたマキシマム ザ ホルモンだった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎浜野カズシ
セットリスト
2. 恋のメガラバ
3. 「F」
4. 爪爪爪
5. アカギ
6. 恋のスペルマ
■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ
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