【速レポ】<SAI 2022>DAY1、ストレイテナー「俺たちのロックフェス<SAI>へようこそ」
2017年にACIDMAN結成20周年の集大成として、このさいたまスーパーアリーナで初開催された<SAI 2017>にも出演し、ACIDMANとは同期として長く日本のロックシーンを並走してきたストレイテナー。
◆ストレイテナー ライブ写真
この世代ならではのところがあるのか、ACIDMANにしてもストレイテナーにしても、またDragon Ash、10-FEETやTHE BACK HORNといった同期・同世代のバンドは皆とにかく、いかに誰かと違うかを肝に、それぞれがオルタナティヴな存在としてまっさらな自分の道を耕してきた、そんなバンドたちばかりだ。時を経て、互いの道が時に混じり合ったり、またはその音楽や活動を通じて陰ながら刺激を与え続けながら、こうして20年、25年という機会に集うことができているのは、なんて幸せなことだろうと思う。
ストレイテナー、ホリエアツシは“<SAI>開催に寄せたメッセージ”で、「しのぎを削った仲間たちとの同窓会であり、自分のこれまでとこれからを見つめる貴重な機会」だと記している。そんな<SAI>という特別な場に向けて考えられたのだろう、いつものイベントやフェスともちょっと違った大人の雰囲気も漂うセットリストで、それでいてライブを主戦場にしてきたバンドだからこその変幻自在にアイディアを盛り込み、スタンダードを鮮やかに更新していく曲が並んだ、グッとくる30分となった。
SEが響き渡るなか、背景に“STRAIGHTENER”というバンド名が映し出されたシンプルなステージに登場した、ホリエアツシ、ナカヤマシンペイ(Dr)、日向秀和(B)、大山 純(G)。ナカヤマはいつものようにドラムの上に立ち上がって、フロア後方までじっくりと眺めて響きわたる拍手を全身に浴びる。そして1曲目に選んだのは「Graffiti」。エモーショナルに歌いはじめたホリエのボーカルに、メンバーの奏でる音が重なっていく。繊細さとダイナミズムとが同居したアンサンブルが、観客の体をとらえる。現在、ツアー真っ最中のストレイテナー。そのいいノリもあるのか、すぐにグッとギアが入ってグルーヴの温度が上がっていくのがわかる。互いに目線と呼吸を合わせ、笑顔をかわしながら音を紡いでいる4人の姿がいい。
「俺たちストレイテナーって言います、よろしくお願いします」──ホリエアツシ
ホリエによるいつもの挨拶に続いて演奏されたのは、「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」。冒頭はいつもよりもスロウダウンして、一音一音を丁寧に描いていく感覚で、曲の物語の入り口へと観客を連れていく。しかしそこからは、メロディもアンサンブルもうねりを帯びて会場を飲み込む。その心地よい余韻をさらに、「シーグラス」がたっぷり引き伸ばしていく。
「俺たちのロックフェス<SAI>へようこそ」とホリエは改めて観客に挨拶をする。そして自らがオーガナイザーかのように「5年ぶりに<SAI>を開催することができました、ありがとうございます」と言って会場一体となった大きな拍手を浴びた。ACIDMANには2年前にオファーをもらったという。「5年前の<SAI>もそうだったんですけど、同期のバンドが、しのぎを削って戦ってきた25年間の証でもある日です。個人的には今日、back numberと対バンできたのが嬉しい」──ホリエアツシ
このMCで折り返した後半は、「Lightning」でスタートした。ホリエはキーボードの前に座り静かに鍵盤を奏で、そこにギター、ベース、ドラムが重なっていく。主旋律を挟むように低音を大山が、高音をナカヤマが担い、クールでいて甘美な3声のハーモニーと、楽器が織り成していく柔らかなアンサンブルは、ますます洗練されている。
「(宇宙が好きな)大木くんの前で宇宙というのは気が引けるけれど、僕らなりの宇宙の曲を聴いてください」(ホリエ)と言ってスタートしたのは、2021年リリースしたEP『Crank Up』に収録された「宇宙の夜 二人の朝」だ。鮮烈な音で切り開いていくベースから、疾走感と爆発感のあるサウンドで駆け抜けていく。ダイナミックにドラムを叩くナカヤマのプレイもまた、観客のボルテージを上げた。
この宇宙に続いたのは、「冬の太陽」。一筋縄でない旋律だがキャッチーで、リスナーの心に鮮やかにその歌を刻んでいくメロディ&ボーカルが冴える。いつも新鮮な形で心をノックしながら、でも聴けば一発でストレイテナーとわかる、そして懐かしい琴線にも触れるメロディメイカーぶりはキャリアを重ね円熟味を増している。会場をぎゅっとひとつにする怒涛のアンサンブルから、ラストは「TRAIN」で高揚感を加速。
ここは屋内であるけれど、爽快な風を起こしていくようなエネルギッシュなサウンドで、フロアいっぱいの観客のコブシを片っ端からあげさせると、続くDragon Ashへと熱いバトンを渡していった。終始、「シーグラス」や「TRAIN」といったテッパンで盛り上がる曲がありながらも、全体としては4人が奏でるハーモニーにメロウで贅沢な時を味わった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎石井麻木/AZUSA TAKADA
セットリスト
2. SAD AND BEAUTIFUL WORLD
3. シーグラス
4. Lightning
5. 宇宙の夜 二人の朝
6. 冬の太陽
7. TRAIN
■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ
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