【速レポ】<SAI 2022>DAY1、東京スカパラダイスオーケストラ「思いっきりACIDMANを祝おうぜ!」
露払いを誰に任せようか──。フェスの主催者の多くが頭を悩ませるところだと思う。しかし、東京スカパラダイスオーケストラが出演者にラインナップされている今回の<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>はもう、スカパラで即決だったんじゃないだろうか。もしかしたら、露払いを任せる前提で今回出演をオファーしたのかもしれない、なんて想像したりも。
◆東京スカパラダイスオーケストラ ライブ写真
観客の気持ちを1つにするエモーションと観客をとことん楽しませるエンタメ精神を兼ね備えた歴戦のライブ・アクト。しかもメジャーデビュー33年目のキャリアの持ち主だ。朝一番の景気づけという意味でも、客席に活を入れ、フェスに勢いをつけるという意味でも、スカパラほど頼もしい存在はいなかったんじゃないか。
そんな期待に応えるようにステージの9人は、加藤隆志(G)のトレモロ・グリッサンド奏法からなだれこんだサーフ・ロック調のスカ・ナンバー「TONGUES OF FIRE」から「DOWN BEAT STOMP」とたたみかけるように繋げ、午前10時にもかかわらずアリーナはもちろん、スタンドも埋めた観客を踊らせていく。
「跳べ!跳べ!」という加藤の声に応え、ジャンプを始めた観客が谷中敦(Baritone sax)の「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」という掛け声に合わせ、拳を振る。開始から5分も経たないうちに、すでに大きな盛り上がりが生まれている。
「朝早いからお客さんが集まらなかったらどうしようと思ったけど、いっぱい集まってくれたね! 心の中でモッシュとダイブしてください。大好きなACIDMANのため、9人、気合を入れて、思いっきりやっていきます。闘うように楽しんでいってください!」(谷中)
一息つくように披露した「銀河と迷路」は、メロウでハートウォーミングなスカ・ナンバー。ドラムを叩きながら笑顔でリード・ボーカルを取る茂木欣一(Dr,Vo)の歌声を聴きながら、観客が心地よさそうに体を揺らす。そこから一転、加藤のギターが轟音で鳴ったフランキー・ヴァリ~ボーイズ・タウン・ギャングのヒット・ナンバーのカバー「Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-」では茂木の頭打ちのドラムに合わせ、観客が再びジャンプ。曲の後半、演奏がディスコ調になると、観客全員がワイプで応え、その光景に加藤が快哉を叫んだ。「みんな最高だ!」
谷中が歌ったスカパンク・ナンバー「Glorious」では、メンバーと観客がタオルを振り回しながらさらに1つになる。そして、沖祐市(Key)が華麗なピアノ・ソロを披露したジャジーなスカ・インスト「水琴窟-SUIKINKUTSU-」を挟んで、「大事な友達をゲストに呼びます!」と谷中に呼ばれ、スカパラのメンバーと同じスーツを着たACIDMANの大木伸夫が登場。スカパラのトリビュート・アルバム『楽園十三景』でACIDMANがカバーしたバラード「追憶のライラック」を、大木とともに披露するというフェスならではの共演が実現した。
「ヘイ!ヘイ!ヘイ! 思いっきりACIDMANを祝おうぜ!」とGAMO(Tenor sax)が客席を煽りながら披露したラスト・ナンバーは、「Paradise Has No Border」。最後の最後に飛び出したキラー・チューンに客席が盛り上がらないわけがない。しかし、そんなもんじゃないだろうとステージの9人は、誰もがどこかで一度は耳にしたことがあるに違いないキャッチーなリフを繰り返しながら、「どこが一番盛り上がってるんだー⁉」(GAMO)と拍手を含めたリアクションの大きさを客席に競わせ、さらに大きな盛り上がりを作り上げ、ACIDMANから託された露払いの役目を期待以上に全うしたのだった。
スカパラの魅力を約35分のセットリストに凝縮したステージは観客のみならず、彼らに続くバンドも歓ばせ、同時に刺激したことだろう。今日1日、熱いライブが楽しめそうだ。
取材・文◎山口智男
撮影◎AZUSA TAKADA
セットリスト
2. DOWN BEAT STOMP
3. 銀河と迷路
4. Can't Take My Eyes Off You -君の瞳に恋してる-
5. Glorious
6. 水琴窟-SUIKINKUTSU-
7. 追憶のライラック feat. 大木伸夫(ACIDMAN)
8. Paradise Has No Border
■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ
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