【インタビュー】「チグハグ」TikTokバズの理由をつば男チーフマネージャーが明かす
■いいものしかバズらない
──今、話を聞いていて、ものすごく計算されてるなと感じました。TikTokのアルゴリズムを含めて初動を意識したとか、再投稿でもとにかく公式音源で投稿してもらうとか、堀切さんのTikTokへの理解度の高さを感じます。
堀切:いや、ホント計算なんてそこまでないです。向いてる方角だけは合ってたみたいな感覚です。その理由の一つとしては、いいものしかバズらないと思ってるんですね。「この曲、TikTokでバズらせたいんですけど」って相談が多いんですけど、それって「美味しくないカレーを行列できるようにしてくれ」って頼まれてるのと一緒で(笑)。行列できるようなカレー作りから、だからスパイスとか調味料のところから考えないと根本はバズるわけがないんです。やっぱり音楽に置き換えた時に、メロディーの段階からそういったポテンシャルを持っているかどうかがすごい大事なんですけど、けっこうそこが抜けがちな気がしております。音楽業界の風潮的にですが。
──まずとにかく楽曲が大事だと。
堀切:TkTokでヒットしても人がつかないパターンと、そのままメジャーシーンに上がりきれるパターンがあるじゃないですか。その後の話の方が大事だと思ってます。曲だけをバズらせたいのか、グループを押し上げたいのかイメージの仕方によっても変わってくると思ってます。スパフルはどちらかというと曲だけのヒットで終わりたくないイメージがそもそもあったので、ライブでファンの方が増えてったときにメンバーと喜び合いましたね。感動的な光景の連続でした。あとメンバーにはデビューの1年前からずっと「今の時代で言うとTikTokはとにかく大事。SNSの使い方は鍵になるから、SNS対しては全力で頑張ろう」って話はしてて、でもそれと同じぐらいライブ力・実力も大事だって話もずっとメンバーに口酸っぱく言ってきました。TikTokで跳ねたときに見に来てくれても、至らないパフォーマンスをしてたら、2回目は来なくなっちゃいますし。やっぱりTikTokきっかけで知った方がライブを見に来たときに「生で見たスパフル、めっちゃ良かった!」とならないとまず本当のメジャーシーンに上がっていけないって話をメンバーにはデビュー前からよくしてました。なので、スパフルメンバーも今の状況に有頂天になっているメンバーは本当にいないです。
──見に来た人を取り込むという点だと、スパフルは最初からネット上の動線の設計がきれいにされているなと思いました。
堀切:そんな大層なものでもなく・・バズったときに慌てないようにする準備だけはしてたってだけですが。逆に「実力だけあってもダメなんだよ」って話もよくしてましたね。そういう考えのアーティストさんもいるじゃないですか。「いいものを作ってれば売れる」って。でも個人的にはそれは違うと思ってるんで、本当にどっちも大事なんだよって強調して話してはいましたね。
──「チグハグ」は、8月3日にTikTokに公式音源が登録されて、MVは8月6日に公開、8月23日にダンス・プラクティスの動画が公開されました。「チグハグ」の発売は8月31日で、その前にかなりのコンテンツが出てるんですよね。
堀切:ダンス・プラクティスは、ちょいバズり始めぐらいに「あ、これ必要だな」と思いついて、すぐもろもろ動いた感じです。
──音楽性について堀切さんは、YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、ヨルシカなどを意識されているとのことでしたが、それをTHE SUPER FRUITというグループの個性にどうチューニングされたのでしょうか?
堀切:実は「チグハグ」は、もうそれを取っ払ったんですよ。前作のMiniAL「THE SUPER FRUIT」の5曲は、相当そのあたりを意識したんですよね。ボカロからJ-POP市場に上がってきた、洗練されたJ-POP。それとアイドルを掛け算しているグループっていないなと思って、「ここはもしかしたら穴場かもしれない」って思ってやったんですよ。「チグハグ」は、メロディーもアレンジもとことん中毒性を求めて制作しました。
──「チグハグ」は転調も耳に残りますよね。キャッチーなメロディー自体はTikTokに溢れているし、転調などメロディーの面で工夫されたところもあるでしょうか?
堀切:転調は、もう本当におっしゃる通りです。デモの段階から良かったんですけど、サビで突き抜ける感じが欲しくて、一回実験的に半音だけ上げたんですよね。唐突に上がる感じが気持ちよくて。
──THE SUPER FRUITのTikTokは毎日のように動画が投稿されています。接触機会を増やすために、あえて「量」を重視されているでしょうか?
堀切:デビュー前に一回、統計を取ったんですよ。メンバーが18時に上げる日、19時に上げる日、20時に上げる日、21時に上げる日って試してみて、結果的としては、この子たちの年代は19時に上げると一番伸びが良かったんです。だから19時になると、メンバーの携帯のアラームが鳴ります。もちろん上げられない日もあるんですけど、基本的にはそれがもう全員の身についてて、通常運転で続けてる感覚です。
◆インタビュー(3)へ
この記事の関連情報
THE SUPER FRUIT、2025年に幕張メッセ公演&グループで初の舞台公演
THE SUPER FRUIT、11月20日にミニアルバム発売決定
【インタビュー】THE SUPER FRUIT、新曲「サマー☆★げっちゅー」に青春「一瞬一瞬を大切にしたい」
THE SUPER FRUIT、音楽情報番組『Tune』の8月マンスリーゲストに決定
スパフル、中日ドラゴンズ開催<勝夏フェスティバル 2023>で初ドームパフォーマンス
THE SUPER FRUIT、六本木ヒルズアリーナでのイベント<SUMMER STATION>に初出演決定
<サマステ>音楽ライブにエビ中、XIIX、ASH DA HERO、=LOVE、OWV、梅田サイファーら
つばさ男子プロダクション所属アーティスト一挙集合。この日限りのシャッフルユニットも出演
【インタビュー後編】THE SUPER FRUIT「僕ら一人ひとりの世界観を出せるような広い振れ幅の曲調でたくさん踊ってほしい」