【ライブレポート】Bialystocksのライブ、それはひとつの芸術作品
10月2日、Bialystocksが、初のワンマンライブ<Bialystocks 第一回単独公演 於:大手町三井ホール>を開催。全18曲を演奏し、1つの集大成と言える公演になった。また、10月5日に配信開始の新曲「日々の手触り」の披露に加え、メジャーデビューアルバムの発売とライブハウスツアーといったニュースも発表された。
◆ライブ写真
映画監督・映像作家でもある甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)からなるBialystocksは、甫木元が監督した映画『はるねこ』の音楽の生演奏イベントをきっかけに結成。フォーキーで温かく印象に残るメロディと歌声、ジャズをベースにジャンルを自由に横断する作風は各方面で評価され、今年に入ると、1st EP『Tide Pool』、テレビ東京ドラマ25『先生のおとりよせ』のエンディングテーマ曲「差し色」、9月には「灯台」といった楽曲を次々にリリースした。11月25日に公開される甫木元の新作映画『はだかのゆめ』では、主題歌・劇伴を担当するなど、枠にとらわれない独自の仕方で活動している。
そうした彼らへの期待感を反映してか、この日の会場、大手町三井ホールは満席となった。全席着席で薄暗い空間は、さながら映画館のよう。「ごはん」のストリングス部分と海の中に沈むような音がBGMとして流れると、拍手とともにBialystocksが登場した。サポートメンバーとして、過去のライブにも参加した西田修大(G)、越智俊介(B)、小山田和正(Dr)、佐々木詩織(Cho)、オオノリュータロー(Cho)もステージに上がる。
しかし、存在感を発揮したのはミュージシャンたちだけでなく、壇上を照らす光、その照明だ。1曲目の「All Too Soon」が始まるとともに、ステージの真ん中に置かれた灯籠のようなライトがぼうっと浮かび、暗闇を一瞬照らしては消え、また現れる。ネオソウル的でグルーヴィーなサウンドに、分厚いコーラスとハイトーンなヴォーカルが乗ったこの曲は、ミュージカル映画も参照してはいる。しかし、このホールで曲が聞こえたきた途端に、映画の始まりあるいは舞台作品の導入のようだと強く感じて引き込まれたのは、「All Too Soon」が映画を参考にしたからでも、ましてや甫木元が映画監督であることを前情報として知っているからでもない。演奏と曲に新たな魅力を与え、Bialystocksの世界へと観客を誘うこの幻想的な照明ゆえだろう。
光は楽曲に合わせてその表情を豊かに変える。続く2曲目のポップな「花束」になって初めて、ステージ全体が穏やかな緑で照らされる。9曲目の「Winter」では、下から天井に向かって伸びる青、水色、白のライトが、バンドの役割とつながりを強調するかのように、舞台を4つに分けて光を注ぐ。R&B的な楽曲ながら徐々にロッキッシュに激しく展開し、エモーショナルに歌う13曲目「I Don’t Have a Pen」になると、回転する青いライトが客席にも当てられ、演奏者たちの体は銀色に包まれる。その直前、菊池がアコースティックギターを演奏する「Thank You」では、照明もあまり主張せず、ゆったりとした音に浸ることができた。
照明以外に特筆すべき演出を挙げるとすれば、アンコールまで、曲間のMCを廃したことだ。合間のトークは一切入らない。5曲目の「光のあと」を歌い終わると共に水面の映像や映画『はだかのゆめ』の台詞が、10曲目の「ごはん」のあとに車窓の映像が差し挟まれ音楽が止まるが、それ以外は、ほぼ休みなく次々と曲が演奏される。こうした演出は、ライブ全体にある種の緊張感を生む。それもあってか、曲に乗って体を揺らすだけでなく、あたかも映画を見ているかのように、舞台にじっと見入ってる観客の姿も多かったと思う。
ライブ本編最後の「Nevermore」が終わりアンコールが起きると、再び映像が流れる。そこで、IRORI Recordsから11月30日リリース予定のメジャーデビューアルバムと、東名阪を回るライブハウスツアー『Bialystocks Tour 2023』が発表され、会場からは驚きの声と拍手が上がった。
その後すぐ、ステージ後ろの幕が開く。露わになった外の景色をバックに、甫木元と菊池が再登場し、10月5日に発売された新曲「日々の手触り」を披露。それまでの構築された光とは違う都市の夜景と、フォーキーな楽曲、甫木元の優しい歌声は妙にマッチする。歌い終えると、彼はこの日初のMCを行う。客席に向けた挨拶でさえ特別なものに思え、これまでとはまた別の感慨に浸った。締めくくりは、再びバンドメンバーが揃って演奏された「夜よ」だ。「さよなら また会う日まで」と歌い上げ、この日のエンドロールに相応しい楽曲だった。
それにしても、このライブがまだメジャーデビュー前の2人組によるものだったとは、いまだに信じられない。演奏だけでなく、音楽と映画、映像、照明などが高いレベルで一体となった演出によって、一つの芸術作品のように感じられた。タイトルを、ライブではなく、より広い意味の単独"公演"としたのも納得がいく。いくつもの垣根を超えていく彼らの歩みと世界観が、これまで以上に詰め込まれた公演となった。
文◎島晃一(映画・音楽ライター、DJ)
写真◎白井晴幸
「日々の手触り」
配信リンク:https://lnk.to/hibinotezawari
アルバム情報
2022年11月30日(水)発売
■初回限定盤 [CD+Blu-ray] PCCA-06165 / 4,950円(税込)
■通常盤 [CD ONLY] PCCA-06166 / 2,970円(税込)
【収録内容】
CD 後日発表
Blu-ray ※初回限定盤のみ付属
後日発表
ご予約はこちらから:https://bialystocks.lnk.to/2ndAL_CD
※価格、収録内容共に予告なく変更する事が御座います。
■法人別特典
※特典は先着の付与となりますので、なくなり次第終了となります。予めご了承ください。
※一部店舗に取扱いのない店舗がございますので、ご予約・ご購入時にご確認ください。
※ECサイトでご予約の場合、特典付き商品をご希望の場合は必ず特典付きカートからご注文下さい。
※「音源ダウンロードコード付きポストカード」につきまして、タイプにより表面の絵柄が異なります。ダウンロードできる音源は共通です。
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・楽天ブックス:缶バッジ(Φ57mm)
・タワーレコード:音源ダウンロードコード付きポストカードTYPE-A
・その他法人:音源ダウンロードコード付きポストカードTYPE-B
<Bialystocks Tour 2023>
2023年1月22日(日)愛知・名古屋TOKUZO
2023年2月18日(土)東京・恵比寿LIQUIDROOM
チケットオフィシャル1次先行受付中
https://w.pia.jp/t/bialystocks-oat/
受付期間:10月2日(日)20:00〜10月10日(月・祝)23:59まで
◆Bialystocks オフィシャルリンク集
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