【インタビュー】愛に溢れた女になりたい眉村ちあき、LINE CUBE SHIBUYAワンマンは「大海にします!」
■セレブはちゃんと休んでベストコンディションに持って行く
──眉村さんは感覚的な創作をするミュージシャンですけど、そこに音楽理論に裏付けられたこともできる人が加わると、可能性がいろいろ広がるでしょうね。
眉村:はい。だから音楽隊のバンドでの編曲も、本当にすごいと思っています。
──一緒に作業をするミュージシャンも、眉村さんの発想に刺激を貰うことがよくあるはずです。例えば「ピッコロ虫」のピアノなんて、わけがわからないのに、なんだかものすごく良いですからね。あれは理論に沿って作ることはできないフレーズですよ。
眉村:あれ、手の甲で弾いてますもん。「なんでもいい」っていう感じで弾きました。
──そういう発想をする眉村さんと、音楽隊のみなさんのやり取りは、面白そうですね。
眉村:兼松くんに、「ここはこうしたいから、なんとかして」ってグニャグニャポン!みたいな意見を言うんですけど、「うわあ~。わかりました……」みたいな感じで頑張ってくれています。
──グニャグニャポン!みたいなぶっ飛んだ発想でありながらもキャッチーな曲になるのが眉村さんの音楽の独特さです。それは今後も変わらないでしょうね。
眉村:はい。キャッチーではあり続けたいと思っています。心に迫ってくる歌い方もしたいと思っていて。この2年くらいで圧倒的に歌が上手くなったなって思うんです。前と比べて全然ハートが違うし、意識も違うし。半分の半分の半分も音がズレないように、めっちゃ気をつけて歌うようになってきました。1音1音に対する意識が昔とは全然違いますね。「ブレスをマイクに入れるか、入れないか」みたいなことも考えるようになりました。だから1本のライブでめっちゃ頭が疲れるようになりました。前だったら「1日何本でもできるぜ!」っていう感じだったのに。
──1日に何本か掛け持ちでイベントに出たりしていましたからね。
眉村:はい。体力は無限なんです。でも、私、頭は無限じゃないんですよ。だからライブよりラジオの方が疲れて、お腹も空くんです。でも、最近はライブをすると、めっちゃ疲れる。「ライブって疲れるんだ?」って思って(笑)。
──疲れるのが自然です(笑)。
眉村:最近『ima』ツアーが終わったんですけど、1本1本でめっちゃ疲れちゃって、2日連続でやった時とか、2日目はリハが終わった後に昼寝をしないとやれないくらいだったんです。自分が疲れることに気づきました、今年(笑)。今まで疲れたことなかったのに。「アリーナ、ドームとかでやって、世界で活躍している人ってもっと大変なのかも」って思って、1個扉が開いた気がしています。「あと3個くらいさらに開けないといけない」って思ったら、「すごい人たちはどれだけケアをしてるのかな?」とか思います。
──ベストコンディションを保つために、スーパースターたちはいろいろやっているはずです。
眉村:そうですよね。だから私も休むことを覚えました。昼寝するのもそうです。ちゃんとお風呂に入ってアロマを焚いて寝ているセレブとかいるけど、あれはちゃんと休んでベストコンディションに持って行くための仕事の1つなんですよね。そういうことを学んで、意識が広がりました。
──コンディション維持に対する意識が高まったし、歌の進化も感じるようになっているんですね?
眉村:はい。今、1年前の映像とかを観ると「めっちゃ下手やん!」って思います。
──1年前とかも、歌のレベルは高かったですよ。
眉村:ありがとうございます。でも、まだまだだったって気づけて良かったです。トイズのスタッフさんに蒸気で喉を潤すやつを貰ったんです。でも、それがまだ使いこなせていなくて。蒸気が喉に届くのを待っていられないんですよ。「まだかなあ」ってなっちゃって、結局、蓋を開けて中の水を全部飲んで終わりました。
──水は美味しかったですか?
眉村:はい。まだ蒸気で喉を潤わす意識の高さには行っていないみたいです。ちゃんと待てるような大人に早くなりたいです(笑)。
──(笑)。眉村さんの歌のすごさは、例えば「Individual」にすごく出ていますよね。オペラの要素も入っていて、とんでもない展開を完璧に歌いこなしているし、「この人、あからさまにすごい!」って思ってもらえる曲だと思います。
眉村:書き下ろしとかCM曲とか、テーマに沿って作るお仕事を何本か頂いていたのが終わった後に作ったので、「めちゃくちゃ全部詰め込んでやろう」って思ったんです。オペラにハマっていたからそういうのも詰め込んで、たまたまできた曲です。
──元々オペラは好きでしたよね? アメリカに行ったのにコロナの影響で中止になった『Naka-Kon 2020』の時も、現地からの配信ライブの1曲目で「夜の女王アリア 復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」を歌っていたじゃないですか。
眉村:オペラは楽しいし、ずっと歌っていても喉が枯れないんですよ。無限にずっと歌えます。不思議な歌い方だなと思っています。
──「Individual」はそういう歌い方もできる眉村さんの魅力も出ていますし、曲としてもすごくインパクトがありますよ。例えば地上波の番組で歌う時とか、初めてのお客さんの前に立つ機会でどんどん歌った方が良いと思います。
眉村:わかってくれるかな、お茶の間?
──大丈夫だと思います。「この人、すごい!」ってガツン!と喰らうと思います。変わった曲ではありますけど、ものすごくキャッチーですし。
眉村:はい。キャッチーです。「面白いでしょ?」って見せても、「えっ? 全然わからない」みたいな反応を今までに受け過ぎて、「わかってくれないんだ……」っていう気持ちがあるんですよ。でも、「そんなことないでしょ?」っていう気持ちで生きようかなと思います。
──Mステで「Individual」を歌ったら痛快ですよ。
眉村:音楽隊で「Individual」を演りたいですね。あの曲、めっちゃ速いから「音楽隊のみんな、痙攣してます」みたいになるんです。それを見るのもめちゃくちゃ面白い(笑)。それは画としても映えるし、急にオペラが始まるし、いいと思う。
──「Individual」は、ライブでも楽しいですからね。LINE CUBE SHIBUYAでも、その日にしか聴けないバージョンになるんじゃないですか?
眉村:そうですね。バンドだとそういうことができるので。
──トラックを流して歌うライブも、アレンジをいろいろ変えて臨むことが多いですよね?
眉村:はい。『ima』ツアーの時もライブバージョンとしてその日用にオケをいじったり、各地で変えてました。でも、それは事前に決めなきゃいけないし、「事前に決めたことに沿って自分がやる」っていう感じなんですよね。自分でやっているから自由ではあるんですけど、その場で思いついても変えられないんです。バンドだったらその場で変えられるから、「もっと自由になっちゃうけど大丈夫?」っていう感じです。
──それぞれの形の自由の楽しさがあるということですね?
眉村:はい。自由だけだとあれだから、ちゃんと決めるところを決めたいです。ちゃんと指揮者としての能力を身に付けないといけないなと思っています。
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